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3−8 少女2人の願い
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「それで、明日は今日知り合いになったニコラスっていう男の子と午後2時に会う約束をしてしまったというわけね?」
ジェニーは向かい側の椅子に座るジェニファーを頬杖をつきながら、じっと見つめている。
「え、ええ。その……どうしても断れなくて。駄目……かしら?」
様子をうかがうように、すこし俯き加減にジェニファーは尋ねた。
「……そうねぇ。本当なら行かないでと言いたいところだけど……」
その言葉にジェニファーの肩がピクリと跳ねる。
「でも約束してしまっているし、大好きなジェニファーを困らせたくないもの」
「え? それじゃ……」
ジェニファーの顔が笑顔になる。
「ええ、行ってきていいわ。ただし、出かける時間は2時間まで。それ以上はやめてね?」
「2時間……」
フォルクマン伯爵家から町まで、ジェニファーの足では片道20分はかかってしまう。そうなると、あまりニコラスと会う時間を取ることは出来ない。
(それではあまり長い時間ニコラスとは会えないわ。せめて2時間半にしてもらえないかしら……)
「あのね、ジェニー……」
するとジェニーはジェニファーの手を握りしめた。
「ジェニファー。言いたいことは分かっている。だけどその間、私はこの部屋に1人ぼっちになってしまうのよ? 1人は寂しくてたまらない……あなたなら分かってくれるわよね?」
縋り付くような目で訴えられてしまえば、時間の延長をお願いすることは出来なかった。
(そうよね、ジェニーに外出許可を貰えただけ良いと思わなくちゃ。それに身体が弱くて外に出ることも出来ないジェニーの側にいるのが私の役目なのだもの)
「分かったわ。2時間で必ず戻ってくると約束するわ」
ジェニファーはジェニーの手を握り返した。
「あと、もう一つあなたに言っておきたいことがあるわ」
「何? ジェニー」
「そのニコラスって言う人と、どんな話をしたのか全て教えてね? 2人だけの内緒の話にするのはイヤよ? 仲間はずれにはされたくないのよ」
「ええ、もちろん。ニコラスとの話したことは全て伝えるから安心して」
自分が綺麗なドレスを着ることが出来て、辛い家事をすることもなく、勉強までさせてもらえているのは全てジェニーのおかげなのだ。
ジェニーのためなら、何だってしてあげたいとジェニファーは考えていた。
すると、その言葉を聞いたジェニーはフフッと笑った。
「ありがとう。ジェニファーなら、そう言ってくれると思っていたわ。それでニコラスってどんな人なの? 素敵な人だった?」
「ええ、そうね。髪の毛が銀色で、お日様に当たるとキラキラ光って綺麗なの。着ていた服も、とても立派で、まるで王子様みたいだったわ。お城に住んでいると言ってたから、本当に王子様だったのかも……。そううそう、瞳の色も素敵だったの。少し黄色のような、オレンジ色の様な色で……あれは、何ていう色なのかしら……」
その後も、少女たちの楽しいおしゃべりは夕食の時間になるまで続くのだった――
ジェニーは向かい側の椅子に座るジェニファーを頬杖をつきながら、じっと見つめている。
「え、ええ。その……どうしても断れなくて。駄目……かしら?」
様子をうかがうように、すこし俯き加減にジェニファーは尋ねた。
「……そうねぇ。本当なら行かないでと言いたいところだけど……」
その言葉にジェニファーの肩がピクリと跳ねる。
「でも約束してしまっているし、大好きなジェニファーを困らせたくないもの」
「え? それじゃ……」
ジェニファーの顔が笑顔になる。
「ええ、行ってきていいわ。ただし、出かける時間は2時間まで。それ以上はやめてね?」
「2時間……」
フォルクマン伯爵家から町まで、ジェニファーの足では片道20分はかかってしまう。そうなると、あまりニコラスと会う時間を取ることは出来ない。
(それではあまり長い時間ニコラスとは会えないわ。せめて2時間半にしてもらえないかしら……)
「あのね、ジェニー……」
するとジェニーはジェニファーの手を握りしめた。
「ジェニファー。言いたいことは分かっている。だけどその間、私はこの部屋に1人ぼっちになってしまうのよ? 1人は寂しくてたまらない……あなたなら分かってくれるわよね?」
縋り付くような目で訴えられてしまえば、時間の延長をお願いすることは出来なかった。
(そうよね、ジェニーに外出許可を貰えただけ良いと思わなくちゃ。それに身体が弱くて外に出ることも出来ないジェニーの側にいるのが私の役目なのだもの)
「分かったわ。2時間で必ず戻ってくると約束するわ」
ジェニファーはジェニーの手を握り返した。
「あと、もう一つあなたに言っておきたいことがあるわ」
「何? ジェニー」
「そのニコラスって言う人と、どんな話をしたのか全て教えてね? 2人だけの内緒の話にするのはイヤよ? 仲間はずれにはされたくないのよ」
「ええ、もちろん。ニコラスとの話したことは全て伝えるから安心して」
自分が綺麗なドレスを着ることが出来て、辛い家事をすることもなく、勉強までさせてもらえているのは全てジェニーのおかげなのだ。
ジェニーのためなら、何だってしてあげたいとジェニファーは考えていた。
すると、その言葉を聞いたジェニーはフフッと笑った。
「ありがとう。ジェニファーなら、そう言ってくれると思っていたわ。それでニコラスってどんな人なの? 素敵な人だった?」
「ええ、そうね。髪の毛が銀色で、お日様に当たるとキラキラ光って綺麗なの。着ていた服も、とても立派で、まるで王子様みたいだったわ。お城に住んでいると言ってたから、本当に王子様だったのかも……。そううそう、瞳の色も素敵だったの。少し黄色のような、オレンジ色の様な色で……あれは、何ていう色なのかしら……」
その後も、少女たちの楽しいおしゃべりは夕食の時間になるまで続くのだった――
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