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2−14 2人の計画

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「あのね……この屋敷は大きな丘の上に建っているでしょう?」

「そうね。外に出れば、町が見下ろせるもの」

ジェニーの言葉に、ジェニファーは頷く。

「その町には教会があるの。そこへ私の身代わりでジェニファーに行ってもらいたいの」

「え? ジェニーの代理じゃなくて私があなたになって行くってこと?」

「ええ、そうよ。私の名前で教会に行ってもらいたいの」

「だけどバレないかしら? わざわざジェニーのフリをしなくても、教会には代わりに来ましたって言えばいいと思うのだけど」

ジェニファーの言葉にジェニーは首を振る。

「それじゃ駄目なの。だって私その教会に必ず遊びに行きますって約束してしまったの。……私、他の人たちに自分の身体が弱いことを知られたくないのよ……だって、皆私が弱いってことを知ると気を使ってくるのだもの」

「ジェニー……」

ジェニーの言葉は寂しそうだった。

「初めて療養の為にこの町に来たとき、お父様と一緒に挨拶するために教会へ行ったの。そこでは親のいない、小さな子どもたちがシスターに育てられていたわ。それで、皆が私を慕ってきてくれて……とても楽しかった。それで、また遊びに行くって約束したのだけど……お父様が許してくれないの。その後に、酷い熱と喘息で寝込んでしまったから」

「そんなことがあったの……」

ジェニファーは俯くジェニーの手をそっと握りしめた。

「その後も暫く体調が悪い日が続いて、それでお父様は私が町へ行くことを禁止してしまったの。屋敷の人たちにお願いしても誰も連れて行ってくれないわ。皆、お父様から強く言われているから。だから私、このままでは寂しくて死んじゃうって言ったら……」

そこでジェニーはジェニファーを見つめた。

「私が、ジェニーの話し相手として呼ばれたのね?」

「……そうなの」

「分かったわ。だったら任せて頂戴。私がジェニーになって、教会に行ってくる。そして、子どもたちと遊んでくればいいのね?」

「本当? ありがとう! ジェニファー!」

「お礼なんていいわよ」

ジェニファーは笑顔を浮かべた。

(可哀想なジェニー。絶対に約束を守りたいのね……私はこのお屋敷で沢山お世話になっているわ。だったら、ジェニーのお願いを聞いてあげなくちゃ)

「それで、いつ教会に行ってくればいいかしら?」

「出来れば……今日にでも行ってきてもらえないかしら? 約束してから一ヶ月以上経ってるの。多分、皆心配していると思うわ。だから……」

「今日ね? 大丈夫、行ってくるわ。何時頃に行けばいいかしら」

ジェニファーの質問に、少しジェニーは考える素振りを見せた。

「そうね……それなら午後2時頃、お願いできる? その時間に行けば、皆でオヤツを食べることが出来ると思うし。お父様がくれた外国のクッキーがあるの。きっと皆喜んで食べてくれると思うわ」

「ジェニーは本当に優しいのね、それじゃ教会の詳しい場所を教えてくれる?」

「ええ、いいわよ。場所はね……」

こうして少女たちは勉強をそっちのけで、教会へ行く計画を立て始めた――

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