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2−6 部屋にいた者
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ジェニファーが部屋に戻ってみると扉が開いていた。
「あら? 私、開けて出てきたかしら?」
不思議に思いながらも中を覗いてみると、伯爵がプレゼントしてくれたドレスの入った箱が何箱も置かれている。
箱の前には背を向けたアンが、箱の中身を漁っていた。
「あの人は専属メイドになってくれたお姉さんだわ。ひょとして、片付けてくれているのかしら?」
だったら、自分も手伝わなければ。
そう思ったジェニファーは部屋の中へ入ると、アンが何やらブツブツ呟いている声が聞こえてきた。
「……何よ、どれもこれも子供向けの服やドレスばかりじゃない。アクセサリーでもあるかと思ったのに……。衣服なら私が着られるはずないわ。それにしても、高級そうなドレスばかりね。あんな子供には勿体ないわ」
ジェニファーは躊躇いがちに声をかけた。
「あの……」
「ひぃっ!」
背後から突然声をかけられ、悲鳴をあげるアン。
「ジェ、ジェニファー様。お戻りになられていたのですか? 随分お早いお戻りですね?」
動揺を露わに、アンは尋ねる。
(そんな! ジェニー様のお部屋にいるはずじゃなかったの!? それよりもいつからいたの? どうしよう……私の独り言を聞かれてしまったかしら……)
「ジェニーとお話していたのですが、突然咳が止まらなくなったので部屋に戻って来ました。お姉さんはここで何をしていたのですか?」
ジェニファーは、まさか金目の物を狙ってアンが荷物を漁っていたとは夢にも思っていなかった。
「あ、あのジェニファー様の荷物がお部屋に運び込まれたので、片づけをしていたのです!」
(大丈夫、相手は無知な子供よ。バレっこないわ)
アンはドキドキしながら答えた。
「本当ですか? ありがとうございます! でも荷物整理なら自分で出来るから大丈夫です。お姉さんは自分のお仕事をしてきてください」
「え……?」
ジェニファーの言葉に、アンは青ざめた。
実は先程「何でも自分で出来るから大丈夫です」と言われてしまったアンは行く当ても無く、廊下をぶらぶら歩いていた。
するとメイド長が通りかかり、手が空いているなら洗濯をするように命じられたのだ。アンは洗濯が大嫌いだった。そこでジェニファーの部屋の整理をしてくると言って逃げてきた。
そして部屋に戻ってみるとジェニファーの荷物が運び込まれており、何か金目の物は無いか物色していた真っ最中だったのだ。
(冗談じゃないわ! 今ここで部屋を出て行ったら、また洗濯場に行かされてしまう! あんなにきつくて辛い仕事なんか絶対にやりたくないわ!)
何としても、ジェニファーの部屋から出たくないアンは粘った。
「いいえ、ジェニファー様はまだお子様です。こんなに沢山の荷物を1人で片づけるのは大変でしょう? どうか私にお任せ下さい」
「でもジェニーの部屋には行けないし、何もすることが無くて暇なの。だから自分で荷物整理します。お姉さんは沢山仕事がありますよね? なのでお仕事してきてください」
「ですが、ジェニファー様!」
アンが大きな声を上げた時。
「アン。こんなところにいたのね?」
扉の外から大きな声が聞こえた。
「あ! メイド長!」
「何をしているのです? 私は洗濯をするように言ったはずです。早く持ち場に戻りなさい!」
メイド長は怖いことで有名だった。
「は、はい!」
返事をすると、アンは逃げるように部屋を飛び出して行った。その後姿を見届けると、メイド長はジェニファーに視線を向けた。
「ジェニファー様」
「はい」
「もし、メイドが何か不手際なことをした場合はいつでもおっしゃって下さい」
能面のように無表情のメイド長は迫力があった
「は、はい……」
怯えながら返事をするとメイド長は一礼し、去って行った――
「あら? 私、開けて出てきたかしら?」
不思議に思いながらも中を覗いてみると、伯爵がプレゼントしてくれたドレスの入った箱が何箱も置かれている。
箱の前には背を向けたアンが、箱の中身を漁っていた。
「あの人は専属メイドになってくれたお姉さんだわ。ひょとして、片付けてくれているのかしら?」
だったら、自分も手伝わなければ。
そう思ったジェニファーは部屋の中へ入ると、アンが何やらブツブツ呟いている声が聞こえてきた。
「……何よ、どれもこれも子供向けの服やドレスばかりじゃない。アクセサリーでもあるかと思ったのに……。衣服なら私が着られるはずないわ。それにしても、高級そうなドレスばかりね。あんな子供には勿体ないわ」
ジェニファーは躊躇いがちに声をかけた。
「あの……」
「ひぃっ!」
背後から突然声をかけられ、悲鳴をあげるアン。
「ジェ、ジェニファー様。お戻りになられていたのですか? 随分お早いお戻りですね?」
動揺を露わに、アンは尋ねる。
(そんな! ジェニー様のお部屋にいるはずじゃなかったの!? それよりもいつからいたの? どうしよう……私の独り言を聞かれてしまったかしら……)
「ジェニーとお話していたのですが、突然咳が止まらなくなったので部屋に戻って来ました。お姉さんはここで何をしていたのですか?」
ジェニファーは、まさか金目の物を狙ってアンが荷物を漁っていたとは夢にも思っていなかった。
「あ、あのジェニファー様の荷物がお部屋に運び込まれたので、片づけをしていたのです!」
(大丈夫、相手は無知な子供よ。バレっこないわ)
アンはドキドキしながら答えた。
「本当ですか? ありがとうございます! でも荷物整理なら自分で出来るから大丈夫です。お姉さんは自分のお仕事をしてきてください」
「え……?」
ジェニファーの言葉に、アンは青ざめた。
実は先程「何でも自分で出来るから大丈夫です」と言われてしまったアンは行く当ても無く、廊下をぶらぶら歩いていた。
するとメイド長が通りかかり、手が空いているなら洗濯をするように命じられたのだ。アンは洗濯が大嫌いだった。そこでジェニファーの部屋の整理をしてくると言って逃げてきた。
そして部屋に戻ってみるとジェニファーの荷物が運び込まれており、何か金目の物は無いか物色していた真っ最中だったのだ。
(冗談じゃないわ! 今ここで部屋を出て行ったら、また洗濯場に行かされてしまう! あんなにきつくて辛い仕事なんか絶対にやりたくないわ!)
何としても、ジェニファーの部屋から出たくないアンは粘った。
「いいえ、ジェニファー様はまだお子様です。こんなに沢山の荷物を1人で片づけるのは大変でしょう? どうか私にお任せ下さい」
「でもジェニーの部屋には行けないし、何もすることが無くて暇なの。だから自分で荷物整理します。お姉さんは沢山仕事がありますよね? なのでお仕事してきてください」
「ですが、ジェニファー様!」
アンが大きな声を上げた時。
「アン。こんなところにいたのね?」
扉の外から大きな声が聞こえた。
「あ! メイド長!」
「何をしているのです? 私は洗濯をするように言ったはずです。早く持ち場に戻りなさい!」
メイド長は怖いことで有名だった。
「は、はい!」
返事をすると、アンは逃げるように部屋を飛び出して行った。その後姿を見届けると、メイド長はジェニファーに視線を向けた。
「ジェニファー様」
「はい」
「もし、メイドが何か不手際なことをした場合はいつでもおっしゃって下さい」
能面のように無表情のメイド長は迫力があった
「は、はい……」
怯えながら返事をするとメイド長は一礼し、去って行った――
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