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第9章 7 リヒャルトからの手紙
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リヒャルト達が『リムネー』へ旅立ち、1カ月が経過した。季節は9月に移り変わっていた―。
「はい、カール様。それでは本日の授業は全て終わりです。お疲れさまでした」
スカーレットはパタンと教科書を閉じると目の前に座るカールに言った。
「はい、有難うございます。スカーレット様」
カールは元気よく返事をする。スカーレットが教科書や本を片付けているとカールがニコニコしながら声を掛けて来た。
「スカーレット様、今夜はアリオス兄様とデートなのですよね?」
「え、デ、デート…ですか?一緒に音楽を聞きに行って食事をして来るだけなのですが…」
頬を染めながら答えるとカールが言った。
「ですから、それを世間ではデートって言うんですよ」
「それでは…デートと言う事に…なるわけですね?」
スカーレットの頬がますます赤くなる。
「羨ましいです…僕も夜の時間帯じゃ無ければ行ってみたかったのですけど…」
それを聞いたスカーレットは小さなカールをギュッと抱きしめると言った。
「でしたらカール様。今度音楽の授業を兼ねて一緒にクラシックコンサートに行きましょう。昼間の時間帯で公演しているコンサートが無いか探してみますね?」
「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」
カールはスカーレットの首に腕を回して抱きしめた―。
****
「ふぅ…」
カールとの授業を終えて自室に戻って来たスカーレットは部屋でメイドが淹れてくれた温かい紅茶を飲んでいた。そして窓の外を見ながらポツリと呟く。
「早いものね…もうすぐ秋になるなんて…」
その時、部屋の扉がノックされた。
「スカーレット様、お戻りになっておられますか?」
それはブリジットの声だった。
「ええ、戻っているわ。どうぞ、中へ入って」
すると…。
「失礼致します」
カチャリと扉が開かれ、ブリジットが部屋の中へ入って来た。手には白い封筒が握られている。
「スカーレット様、旦那様からお手紙が届いております!」
ブリジットは興奮気味に言う。
「まぁ!お父様から?!」
スカーレットは立ち上がるとブリジットの元へ駆け寄り、手紙を受け取った。封筒は封蝋が押してある。
「間違いないわ…この文字はお父様の字だし、封蝋もお父様の物だわ!」
「一体何と書いてあるのでしょうか?」
ブリジットも封筒に視線を落としながら尋ねた。
「…開封してみてみるわ」
スカーレットはライティングデスクに向かい、引き出しからペーパーナイフを取り出し、開封すると2つ折りにされた便箋を取り出した。便箋の枚数は全部で2枚だった。
「それじゃ読んでみるわね」
スカーレットは早速ブリジットにも手紙の内容を聞かせる為に声を出して手紙を読んだ。そこには無事にリヒャルトはアグネスからシュバルツ家の屋敷を取り戻した事が書かれていた。アグネスは投獄され、クビになった使用人達も次々と屋敷に戻ってきているとあった。
「まぁ…ジミーもレストランを辞めて再びシェフになってシュバルツ家に戻ったのね。それにアーベルも執事として戻って来てくれたのだわ…」
「ええ。本当に良かったですね」
ブリジットは嬉しそうに眉を細めた。
「でも…」
スカーレットの顔が曇った。
「どうかなさいましたか?スカーレット様」
「ええ、お父様から…シュバルツ家に戻ってくるように書かれているとは思わなかったわ…」
「そうですね。旦那様はアリオス様と婚約されたことをまだご存じありませんからね…」
実はまだスカーレットはリヒャルトに正式にアリオスと婚約した事を話していなかったのだ。全てが落ち着いたら報告しようとアリオスと2人で決めていた。それなのに、いきなりリヒャルトからの手紙で国に帰って来るように書かれていたのだ。
「今夜…アリオス様に相談するわ」
スカーレットはポツリと言った―。
「はい、カール様。それでは本日の授業は全て終わりです。お疲れさまでした」
スカーレットはパタンと教科書を閉じると目の前に座るカールに言った。
「はい、有難うございます。スカーレット様」
カールは元気よく返事をする。スカーレットが教科書や本を片付けているとカールがニコニコしながら声を掛けて来た。
「スカーレット様、今夜はアリオス兄様とデートなのですよね?」
「え、デ、デート…ですか?一緒に音楽を聞きに行って食事をして来るだけなのですが…」
頬を染めながら答えるとカールが言った。
「ですから、それを世間ではデートって言うんですよ」
「それでは…デートと言う事に…なるわけですね?」
スカーレットの頬がますます赤くなる。
「羨ましいです…僕も夜の時間帯じゃ無ければ行ってみたかったのですけど…」
それを聞いたスカーレットは小さなカールをギュッと抱きしめると言った。
「でしたらカール様。今度音楽の授業を兼ねて一緒にクラシックコンサートに行きましょう。昼間の時間帯で公演しているコンサートが無いか探してみますね?」
「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」
カールはスカーレットの首に腕を回して抱きしめた―。
****
「ふぅ…」
カールとの授業を終えて自室に戻って来たスカーレットは部屋でメイドが淹れてくれた温かい紅茶を飲んでいた。そして窓の外を見ながらポツリと呟く。
「早いものね…もうすぐ秋になるなんて…」
その時、部屋の扉がノックされた。
「スカーレット様、お戻りになっておられますか?」
それはブリジットの声だった。
「ええ、戻っているわ。どうぞ、中へ入って」
すると…。
「失礼致します」
カチャリと扉が開かれ、ブリジットが部屋の中へ入って来た。手には白い封筒が握られている。
「スカーレット様、旦那様からお手紙が届いております!」
ブリジットは興奮気味に言う。
「まぁ!お父様から?!」
スカーレットは立ち上がるとブリジットの元へ駆け寄り、手紙を受け取った。封筒は封蝋が押してある。
「間違いないわ…この文字はお父様の字だし、封蝋もお父様の物だわ!」
「一体何と書いてあるのでしょうか?」
ブリジットも封筒に視線を落としながら尋ねた。
「…開封してみてみるわ」
スカーレットはライティングデスクに向かい、引き出しからペーパーナイフを取り出し、開封すると2つ折りにされた便箋を取り出した。便箋の枚数は全部で2枚だった。
「それじゃ読んでみるわね」
スカーレットは早速ブリジットにも手紙の内容を聞かせる為に声を出して手紙を読んだ。そこには無事にリヒャルトはアグネスからシュバルツ家の屋敷を取り戻した事が書かれていた。アグネスは投獄され、クビになった使用人達も次々と屋敷に戻ってきているとあった。
「まぁ…ジミーもレストランを辞めて再びシェフになってシュバルツ家に戻ったのね。それにアーベルも執事として戻って来てくれたのだわ…」
「ええ。本当に良かったですね」
ブリジットは嬉しそうに眉を細めた。
「でも…」
スカーレットの顔が曇った。
「どうかなさいましたか?スカーレット様」
「ええ、お父様から…シュバルツ家に戻ってくるように書かれているとは思わなかったわ…」
「そうですね。旦那様はアリオス様と婚約されたことをまだご存じありませんからね…」
実はまだスカーレットはリヒャルトに正式にアリオスと婚約した事を話していなかったのだ。全てが落ち着いたら報告しようとアリオスと2人で決めていた。それなのに、いきなりリヒャルトからの手紙で国に帰って来るように書かれていたのだ。
「今夜…アリオス様に相談するわ」
スカーレットはポツリと言った―。
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