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第7章 18 これからの事
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「「…」」
スカーレットとアリオスは応接室で向かい合わせにソファに座っていた。お互い、なかなか口を開こうとしない。が…ついにしびれを切らしたアリオスが言った。
「スカーレット」
「はい」
「君の父上はシュバルツ家を取り戻す事が出来たら、すぐにでも呼び寄せる気でいるが…スカーレット。君の気持はどうなんだ?」
アリオスはじっとスカーレットを見つめている。
「私の気持ちですか…?」
「ああ、単刀直入に聞こう。父親と一緒に暮らしたいか?それともここでまだ…家庭教師を続けたいか?」
「アリオス様…」
元々、スカーレットがここに家庭教師としてやって来たのはアグネスの陰謀で屋敷を追い出されたのが原因だった。リヒャルトが屋敷を取り戻せば、スカーレットはまたシュバルツ家で暮らせるようになるのだが…。
「ですが…私が家庭教師を辞めれば誰がカール様の家庭教師をなさるのですか?」
スカーレットはキュッとスカートを握りしめると尋ねた。
「ああ、それならまた別の家庭教師を探せばよいだけの事だ」
「それでは…それでは仮とはいえ、アリオス様と婚約をした話はどうなるのですか?まだお約束した期間の1年には全く満ちていませんけど?」
スカーレットは何故自分がこれほどまでにアリオスに訴えているのか理由が自分でも良く分からなかった。ただ…分ることは、もう少しここに居たい…その気持ちが勝っていた。
(お願いです。アリオス様…せめて最初に約束した1年間だけでもここに置いて頂けませんか…?)
スカーレットは心の中で必死に訴えるも、アリオスは俯き加減に言った。
「ああ…婚約の話か。…その話ならもういいんだ」
「え?」
「元々婚約の話しもヴァイオレット皇女を遠ざける為の手段だったからな。その皇女も…既に結婚し、遠い地へ行った事だからもう世間に婚約者のフリをする必要も無くなったしな」
「そ、そうなのですか…」
(そ、そんな…!)
スカーレットは震える手を必死で抑えながら思った。
(やはりアリオス様は私に同情して…ここに置いて下さっていただけだったのね…本当はカール様の家庭教師の話だってもっと優秀な人を雇いたかったのかもしれないし…)
アリオスに必要だと言って貰いたかった。何所にも行かずに、ずっとここに残って貰いたいと言って貰いたかった。けれど…。
「わ、分りました…」
スカーレットは絞り出すように言った。
「…」
アリオスは黙ってスカーレットの言葉を待っていた。
「シュバルツ家の件が全て片付いたら…私、『リムネー』に戻ります。それまでの間…どうぞよろしくお願い致します」
「ああ。それまでは…こちらこそよろしく頼む」
躊躇いがちに返事をするアリオス。
「…それでは…お話も終わった事ですのでこれで失礼致します」
スカーレットは立ち上がった。
「今日は…カールの授業は休みにしていいぞ。明日からまた頼む。カールには…俺から伝えておくから」
「!」
その話に一度スカーレットは反応したが、頭を下げると言った。
「はい。どうぞよろしくお願い致します」
そしてスカーレットは応接室を後にした。
泣きたい気持ちを抑えながら―。
スカーレットとアリオスは応接室で向かい合わせにソファに座っていた。お互い、なかなか口を開こうとしない。が…ついにしびれを切らしたアリオスが言った。
「スカーレット」
「はい」
「君の父上はシュバルツ家を取り戻す事が出来たら、すぐにでも呼び寄せる気でいるが…スカーレット。君の気持はどうなんだ?」
アリオスはじっとスカーレットを見つめている。
「私の気持ちですか…?」
「ああ、単刀直入に聞こう。父親と一緒に暮らしたいか?それともここでまだ…家庭教師を続けたいか?」
「アリオス様…」
元々、スカーレットがここに家庭教師としてやって来たのはアグネスの陰謀で屋敷を追い出されたのが原因だった。リヒャルトが屋敷を取り戻せば、スカーレットはまたシュバルツ家で暮らせるようになるのだが…。
「ですが…私が家庭教師を辞めれば誰がカール様の家庭教師をなさるのですか?」
スカーレットはキュッとスカートを握りしめると尋ねた。
「ああ、それならまた別の家庭教師を探せばよいだけの事だ」
「それでは…それでは仮とはいえ、アリオス様と婚約をした話はどうなるのですか?まだお約束した期間の1年には全く満ちていませんけど?」
スカーレットは何故自分がこれほどまでにアリオスに訴えているのか理由が自分でも良く分からなかった。ただ…分ることは、もう少しここに居たい…その気持ちが勝っていた。
(お願いです。アリオス様…せめて最初に約束した1年間だけでもここに置いて頂けませんか…?)
スカーレットは心の中で必死に訴えるも、アリオスは俯き加減に言った。
「ああ…婚約の話か。…その話ならもういいんだ」
「え?」
「元々婚約の話しもヴァイオレット皇女を遠ざける為の手段だったからな。その皇女も…既に結婚し、遠い地へ行った事だからもう世間に婚約者のフリをする必要も無くなったしな」
「そ、そうなのですか…」
(そ、そんな…!)
スカーレットは震える手を必死で抑えながら思った。
(やはりアリオス様は私に同情して…ここに置いて下さっていただけだったのね…本当はカール様の家庭教師の話だってもっと優秀な人を雇いたかったのかもしれないし…)
アリオスに必要だと言って貰いたかった。何所にも行かずに、ずっとここに残って貰いたいと言って貰いたかった。けれど…。
「わ、分りました…」
スカーレットは絞り出すように言った。
「…」
アリオスは黙ってスカーレットの言葉を待っていた。
「シュバルツ家の件が全て片付いたら…私、『リムネー』に戻ります。それまでの間…どうぞよろしくお願い致します」
「ああ。それまでは…こちらこそよろしく頼む」
躊躇いがちに返事をするアリオス。
「…それでは…お話も終わった事ですのでこれで失礼致します」
スカーレットは立ち上がった。
「今日は…カールの授業は休みにしていいぞ。明日からまた頼む。カールには…俺から伝えておくから」
「!」
その話に一度スカーレットは反応したが、頭を下げると言った。
「はい。どうぞよろしくお願い致します」
そしてスカーレットは応接室を後にした。
泣きたい気持ちを抑えながら―。
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