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第5章 5 立ち寄った店で
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湖を目指して3人は青空の下、石畳の上を歩いていた。カールとスカーレットは手を繋いで歩き、アリオスはその少し前方を歩いていた。
「あ、スカーレット様。これ見て下さい」
ふとカールが通りに面した店の前で足を止めた。
「何かありましたか?カール様」
スカーレットも足を止めて、店を眺めた。ここは『リムネー』の木製の民芸品の店であった。そしてカールが足を止めて見つめていたのは店のウィンドウケースに入った小さな木製の汽車だった。
「この汽車、僕たちが乗って来た汽車と同じですね」
カールが目をキラキラさせながら言う。そこへ少し先を歩いていたアリオスも2人の元へ戻ってくると言った。
「カール、このおもちゃ欲しいのか?」
「あ、あの…別に欲しいと言う訳では‥ただ、よく見てみたいなとは思いました」
カールは頬を赤らめてモジモジしながら言った。
「カール様、お店の中へ入ってみませんか?」
「え?でも…」
カールはスカーレットを見上げた。するとアリオスが言った。
「よし、3人で店に入ってみよう。俺も『リムネー』の民芸品には興味があるからな」
「はい!」
カールは嬉しそうに返事をした。そこで3人はアリオスを先頭に店の中へ入ることにした。
カランカラン
「いらっしゃいませ」
店内の奥にいた初老の男性がカウンター越しから声を掛けて来た。店番をしながら何やら小刀で木工品を制作しているようであった。
「少し品物を見ても良いですか?」
スカーレットは店主に声を掛けた。
「ええ、どうぞ。ごゆっくり見て行って下さい」
「ありがとうございます!」
カールが頭を下げて礼を言い、3人は品物を見て回ることにした。
木製のドアに取り付けられたドアベルが店内に響き渡った。店内は床も壁も天井も全て温かな木のぬくもりを感じさせる作りだった。客の姿は他に無く、木製の棚が並べられ、そこには何とも可愛らしい木製のおもちゃや雑貨が並べられている。
「うわあ…」
カールは店の外で見つけたショーウィンドウの一番目立つところに飾られた木製列車のおもちゃを発見し、目をキラキラさせた。
「ああ、これだな?カールが見ていたおもちゃは」
アリオスは背後に立つと、目を止めた。
「は、はい…」
カールはそのおもちゃから片時も目を離さずに返事をする。
(カール…相当このおもちゃが気に入ったのだろうな…)
アリオスはじっとカールの様子を伺った。カールはアリオスの知る限り、ほとんどと言っていい程、何か物をねだる事は無かった。まるで遠慮しているかのように。
「よし、これを買おう」
アリオスはヒョイと木製列車を手に取ると言った。
「そ、そんな!アリオス兄様!だ、大丈夫です!僕は見てるだけで」
だがスカーレットは言った。
「カール様は毎日勉強を頑張ってらっしゃるじゃありませんか。どうぞこれは日頃のご褒美と思って受け取られた方がよろしいかと思いますよ?」
「ああ、そうだ。カール。お前は普段から何かをねだることは殆ど無かった。家族の初めての旅行なのだから遠慮する事は無い」
「は、はい。分りました」
カールは返事をした。
「家族…」
スカーレットは誰にも聞かれないように小さく呟いた。
「これを頂こう」
アリオスはカウンターにいる店主に木製列車のおもちゃを見せた。
「はい、銀貨1枚になります」
アリオスは財布から銀貨を1枚取り出すとコイン皿に入れた。
店主は銀貨を受け取るとカウンターの下から紙袋を取り出し、木製列車を入れて3人を見渡すと言った。
「仲の宜しい家族ですね」
その言葉にスカーレットはドキリとし、言った。
「い、いえ。私は…」
いい掛けたがアリオスが先に口を開いた。
「ああ。そうなんだ」
え?
スカーレットは驚いてアリオスを見た。しかし、アリオスはスカーレットに視線を合わす事無く、店主から紙包みを受け取るとカールに手渡した。
「さ、行こうか」
アリオスはカールを促し、スカーレットを見ると口元に笑みを浮かべた―。
「あ、スカーレット様。これ見て下さい」
ふとカールが通りに面した店の前で足を止めた。
「何かありましたか?カール様」
スカーレットも足を止めて、店を眺めた。ここは『リムネー』の木製の民芸品の店であった。そしてカールが足を止めて見つめていたのは店のウィンドウケースに入った小さな木製の汽車だった。
「この汽車、僕たちが乗って来た汽車と同じですね」
カールが目をキラキラさせながら言う。そこへ少し先を歩いていたアリオスも2人の元へ戻ってくると言った。
「カール、このおもちゃ欲しいのか?」
「あ、あの…別に欲しいと言う訳では‥ただ、よく見てみたいなとは思いました」
カールは頬を赤らめてモジモジしながら言った。
「カール様、お店の中へ入ってみませんか?」
「え?でも…」
カールはスカーレットを見上げた。するとアリオスが言った。
「よし、3人で店に入ってみよう。俺も『リムネー』の民芸品には興味があるからな」
「はい!」
カールは嬉しそうに返事をした。そこで3人はアリオスを先頭に店の中へ入ることにした。
カランカラン
「いらっしゃいませ」
店内の奥にいた初老の男性がカウンター越しから声を掛けて来た。店番をしながら何やら小刀で木工品を制作しているようであった。
「少し品物を見ても良いですか?」
スカーレットは店主に声を掛けた。
「ええ、どうぞ。ごゆっくり見て行って下さい」
「ありがとうございます!」
カールが頭を下げて礼を言い、3人は品物を見て回ることにした。
木製のドアに取り付けられたドアベルが店内に響き渡った。店内は床も壁も天井も全て温かな木のぬくもりを感じさせる作りだった。客の姿は他に無く、木製の棚が並べられ、そこには何とも可愛らしい木製のおもちゃや雑貨が並べられている。
「うわあ…」
カールは店の外で見つけたショーウィンドウの一番目立つところに飾られた木製列車のおもちゃを発見し、目をキラキラさせた。
「ああ、これだな?カールが見ていたおもちゃは」
アリオスは背後に立つと、目を止めた。
「は、はい…」
カールはそのおもちゃから片時も目を離さずに返事をする。
(カール…相当このおもちゃが気に入ったのだろうな…)
アリオスはじっとカールの様子を伺った。カールはアリオスの知る限り、ほとんどと言っていい程、何か物をねだる事は無かった。まるで遠慮しているかのように。
「よし、これを買おう」
アリオスはヒョイと木製列車を手に取ると言った。
「そ、そんな!アリオス兄様!だ、大丈夫です!僕は見てるだけで」
だがスカーレットは言った。
「カール様は毎日勉強を頑張ってらっしゃるじゃありませんか。どうぞこれは日頃のご褒美と思って受け取られた方がよろしいかと思いますよ?」
「ああ、そうだ。カール。お前は普段から何かをねだることは殆ど無かった。家族の初めての旅行なのだから遠慮する事は無い」
「は、はい。分りました」
カールは返事をした。
「家族…」
スカーレットは誰にも聞かれないように小さく呟いた。
「これを頂こう」
アリオスはカウンターにいる店主に木製列車のおもちゃを見せた。
「はい、銀貨1枚になります」
アリオスは財布から銀貨を1枚取り出すとコイン皿に入れた。
店主は銀貨を受け取るとカウンターの下から紙袋を取り出し、木製列車を入れて3人を見渡すと言った。
「仲の宜しい家族ですね」
その言葉にスカーレットはドキリとし、言った。
「い、いえ。私は…」
いい掛けたがアリオスが先に口を開いた。
「ああ。そうなんだ」
え?
スカーレットは驚いてアリオスを見た。しかし、アリオスはスカーレットに視線を合わす事無く、店主から紙包みを受け取るとカールに手渡した。
「さ、行こうか」
アリオスはカールを促し、スカーレットを見ると口元に笑みを浮かべた―。
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