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第5章 4 約束
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スカーレットは一瞬、そこに立っているのが誰か分らなかった。何故ならジミーは以前かけていなかった眼鏡をかけ、髪も少し伸びて一つに後ろで縛っていた。そして帽子を目深に被っていたからである。
「久しぶりだな。まさか帰ってきているとは思わなかったよ」
ジミーはスカーレットに近付き…1m程手前で止まった。そしてアリオスを見て頭を下げた。
「ひょっすると…貴方がスカーレットの雇い主の方ですか?」
「あ・ああ…そうだ」
「そうですか。いつもスカーレットがお世話になっております。俺はジミーと言います。初めまして」
アリオスは黙ってお辞儀をし、ジミーを見た。
(誰だ?この男は…服装から貴族ではなさそうだし、苗字も名乗らない。ひょっとすると…貴族ではないのかもしれない)
するとスカーレットが言った。
「アリオス様、彼はシュバルツ家で厨房で働いていたんです。私の幼馴染で彼にお菓子作りを習っていたんです」
すると今まで黙っていたカールが会話に加わって来た。
「え?それではスカーレット様の先生ですか?」
「いえ、先生なんて恐れ多いですよ。スカーレットは本当に才女ですから。な、そうだろう?」
ジミーはスカーレットを見て笑顔を向けた。
「も、もう…ジミーったら…」
そしてスカーレットはふと思った。以前に比べて全ての男性を怖いと思うようにはならなくなっていた自分に。ジミーの事は扉越しで別れた時に比べ、恐怖を感じなくなっていた。
一方、アリオスはあまり良い気分では無かった。スカーレットとジミーが互いに笑みを浮かべて見つめ合っているのを見て、何故かいらいらした気持ちが高まって来た。
「スカーレット、そろそろ湖へ行こう」
「あ、はい。そうですね。元気でね、ジミー」
スカーレットはジミーに手を振り、立ち去ろうとした時―。
「スカーレット!」
ジミーが突然呼んだ。
「何?」
「ここで会えて良かった。実は大事な話があるんだ。今夜2人で会って話せないかな?俺の仕事は今夜8時で終わるんだ。その後、時間を取って貰えないか?」
「ジミー…」
スカーレットはジミーをじっと見るとアリオスに尋ねた。
「あの…アリオス様、宜しいでしょうか…?」
「スカーレット…」
(多分大事な話と言いうのは…シュバルツ家に関する話だろう。だが…いくら幼馴染でも2人きりにするのは…)
アリオスは自分は部外者なので2人の話しに立ち入ることは出来ないと思っていた。だが、世間の目を欺くために仮ではあるが、婚約者同士になったのだ。男と2人きりにさせるわけにはいかなかった。
それ以前にアリオスがそうさせたくなかったのだ。
「だが…いくら何でも2人きりにさせる訳には…」
するとスカーレットが言った。
「それなら、ブリジットはどうですか?ブリジットと3人で話をするなら良いですか?」
「ああ、そうだな。それなら。良いだろう」
「え?ブリジットさんも一緒なのか?それなら尚更都合が良いかもしれない」
ジミーが言う。
「よし。なら今夜仕事が終わったら。我々の宿泊しているホテルに来てもらうか。滞在先は駅前にある『オラクルホテル』だ」
「えっ?!あの一流ホテルに滞在しているのですか?!流石侯爵家の方は違いますね!」
ジミーは驚きの声を上げた。
「ジミー、何時頃ならホテルに来れそう?」
「そうだな…厨房の片付けとか色々あるから…う~ん‥21時頃なら行けそうかな?」
「なら21時に1階のロビーで待ち合わせをすればいいだろう」
アリオスは自分で出しゃばっているとは思ったが口を出さずに入られなかった。
「はい、分りました。それじゃまた今夜」
ジミーは嬉しそうに言うと、手を振って背を向けると立ち去って行った―。
「久しぶりだな。まさか帰ってきているとは思わなかったよ」
ジミーはスカーレットに近付き…1m程手前で止まった。そしてアリオスを見て頭を下げた。
「ひょっすると…貴方がスカーレットの雇い主の方ですか?」
「あ・ああ…そうだ」
「そうですか。いつもスカーレットがお世話になっております。俺はジミーと言います。初めまして」
アリオスは黙ってお辞儀をし、ジミーを見た。
(誰だ?この男は…服装から貴族ではなさそうだし、苗字も名乗らない。ひょっとすると…貴族ではないのかもしれない)
するとスカーレットが言った。
「アリオス様、彼はシュバルツ家で厨房で働いていたんです。私の幼馴染で彼にお菓子作りを習っていたんです」
すると今まで黙っていたカールが会話に加わって来た。
「え?それではスカーレット様の先生ですか?」
「いえ、先生なんて恐れ多いですよ。スカーレットは本当に才女ですから。な、そうだろう?」
ジミーはスカーレットを見て笑顔を向けた。
「も、もう…ジミーったら…」
そしてスカーレットはふと思った。以前に比べて全ての男性を怖いと思うようにはならなくなっていた自分に。ジミーの事は扉越しで別れた時に比べ、恐怖を感じなくなっていた。
一方、アリオスはあまり良い気分では無かった。スカーレットとジミーが互いに笑みを浮かべて見つめ合っているのを見て、何故かいらいらした気持ちが高まって来た。
「スカーレット、そろそろ湖へ行こう」
「あ、はい。そうですね。元気でね、ジミー」
スカーレットはジミーに手を振り、立ち去ろうとした時―。
「スカーレット!」
ジミーが突然呼んだ。
「何?」
「ここで会えて良かった。実は大事な話があるんだ。今夜2人で会って話せないかな?俺の仕事は今夜8時で終わるんだ。その後、時間を取って貰えないか?」
「ジミー…」
スカーレットはジミーをじっと見るとアリオスに尋ねた。
「あの…アリオス様、宜しいでしょうか…?」
「スカーレット…」
(多分大事な話と言いうのは…シュバルツ家に関する話だろう。だが…いくら幼馴染でも2人きりにするのは…)
アリオスは自分は部外者なので2人の話しに立ち入ることは出来ないと思っていた。だが、世間の目を欺くために仮ではあるが、婚約者同士になったのだ。男と2人きりにさせるわけにはいかなかった。
それ以前にアリオスがそうさせたくなかったのだ。
「だが…いくら何でも2人きりにさせる訳には…」
するとスカーレットが言った。
「それなら、ブリジットはどうですか?ブリジットと3人で話をするなら良いですか?」
「ああ、そうだな。それなら。良いだろう」
「え?ブリジットさんも一緒なのか?それなら尚更都合が良いかもしれない」
ジミーが言う。
「よし。なら今夜仕事が終わったら。我々の宿泊しているホテルに来てもらうか。滞在先は駅前にある『オラクルホテル』だ」
「えっ?!あの一流ホテルに滞在しているのですか?!流石侯爵家の方は違いますね!」
ジミーは驚きの声を上げた。
「ジミー、何時頃ならホテルに来れそう?」
「そうだな…厨房の片付けとか色々あるから…う~ん‥21時頃なら行けそうかな?」
「なら21時に1階のロビーで待ち合わせをすればいいだろう」
アリオスは自分で出しゃばっているとは思ったが口を出さずに入られなかった。
「はい、分りました。それじゃまた今夜」
ジミーは嬉しそうに言うと、手を振って背を向けると立ち去って行った―。
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