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第4章 16 アリオスの苛立ち
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スカーレットの話を聞き終えたアリオスは怒りで身体を震わせた。
「な、何だって…?そ、そんな事をアイザック皇子にされたのか…?!」
「は、はい…」
スカーレットがうなずくと、突然アリオスが両手の拳を握りしめて立ち上がった。
「アリオス様?どうされたのですか?!」
突然立ち上がったアリオスにただならぬ気配を感じたスカーレットは慌てて声を掛けた。
「今から王宮へ行って来る」
「え?!王宮へ‥‥?一体何の為にっ?!」
するとアリオスは言った。
「何の為?決まっている。アイザック皇子に決闘を言い渡す為だ」
「決闘っ?!な、何故そのような真似をされるのですか?!」
「当り前だろう?!仮にも名目上とはいえ、皇子は人の婚約者に手を出したのだぞ?決闘を申し込むのは当然だ」
「駄目です!やめて下さい!」
スカーレットは立ち上がってアリオスを見た。
「何故だ?何故引き留めようとする?お前は痺れ薬まで飲まされて襲われる処だったのにっ?」
「でも未遂で終わりました!」
「!」
アリオスはその言葉にピクリとなった。しかし、首を振ると言った。
「いいや、でも…やはり駄目だ。スカーレット。お前は…男性恐怖症なのだろう?」
「!」
一瞬、その言葉にスカーレットは不意をつかれた。
「折角…少しずつ改善されてきたのに…また男に襲われて…余計トラウマになって男が怖くなったんじゃないか?現に…お前は今、俺を恐れているように見える。いや…違うな。よく考えて見れば俺の事も怖がって我慢させていたのかもしれない」
「そ、それは違います!アリオス様の事は…怖いと思っておりません!」
スカーレットは必死で言う。
「何故だ?俺だって…普通の成人男性だぞ?お前の恐れる…」
アリオスの顔はどことなく寂しげだった。
「確かに‥初めの頃はアリオス様の事も…怖いと思っておりました」
「そうか…やはりな」
アリオスが視線をそらせた。
「話しは最後まで聞いてください!」
気付けばいつの間にか強い口調でスカーレットはアリオスに話していた。
「スカーレット…」
その姿にアリオスは目を見開いた。
「それでも…徐々にアリオス様に対する見方が変わったんです。それは全て…カール様のお陰です」
「カールの…?一体どういうことだ?」
アリオスは突然カールの名前が飛び出して来て驚いた。
「はい、私はカール様が大好きです。素直な処も、聡明な処も、そして…まだ小さいのに勇敢で…優しく頼りになる処も…何もかも全部、大好きです」
「そうか…そんなにカールを好いてくれているのだな?」
それまでこわばっていたアリオスの顔に少しだけ笑みが浮かんだ。
「はい。カール様とお会い出来て…彼の家庭教師になれて本当に良かったと思っております」
「ありがとう…カールは俺の大切な弟だ。そんな風に言って貰えると…嬉しいよ」
それは今まで見せたことも無い優し気な微笑みだった。
「カールは可愛そうな子供なんだ。母親に捨てられ…一緒に暮らす事も拒絶されてしまった。だからスカーレットがまるで母親や姉の様にカールに接してくれていることに…感謝してもしきれないと思っている」
「だから…です」
「え?」
「私が今はアリオス様を怖くないと言ったのは…カール様を大切にされているからです。あの優しいカール様のお兄様なのですから…アリオス様は良い方に決まっているではありませんか?」
「スカーレット…」
「だからこそ!決闘なんて恐ろしい事考えないで下さい!そ、それは確かに怖い思いはしましたけど…アイザック皇子は泣いている私を見逃して下さったのですから…!」
「だが、アイザック皇子は勝手にお前に触れたんだぞ?!俺だってまだお前にそんな真似をしたことが無いのに…っ!」
「え…?」
その言葉にスカーレットはアリオスを見た―。
「な、何だって…?そ、そんな事をアイザック皇子にされたのか…?!」
「は、はい…」
スカーレットがうなずくと、突然アリオスが両手の拳を握りしめて立ち上がった。
「アリオス様?どうされたのですか?!」
突然立ち上がったアリオスにただならぬ気配を感じたスカーレットは慌てて声を掛けた。
「今から王宮へ行って来る」
「え?!王宮へ‥‥?一体何の為にっ?!」
するとアリオスは言った。
「何の為?決まっている。アイザック皇子に決闘を言い渡す為だ」
「決闘っ?!な、何故そのような真似をされるのですか?!」
「当り前だろう?!仮にも名目上とはいえ、皇子は人の婚約者に手を出したのだぞ?決闘を申し込むのは当然だ」
「駄目です!やめて下さい!」
スカーレットは立ち上がってアリオスを見た。
「何故だ?何故引き留めようとする?お前は痺れ薬まで飲まされて襲われる処だったのにっ?」
「でも未遂で終わりました!」
「!」
アリオスはその言葉にピクリとなった。しかし、首を振ると言った。
「いいや、でも…やはり駄目だ。スカーレット。お前は…男性恐怖症なのだろう?」
「!」
一瞬、その言葉にスカーレットは不意をつかれた。
「折角…少しずつ改善されてきたのに…また男に襲われて…余計トラウマになって男が怖くなったんじゃないか?現に…お前は今、俺を恐れているように見える。いや…違うな。よく考えて見れば俺の事も怖がって我慢させていたのかもしれない」
「そ、それは違います!アリオス様の事は…怖いと思っておりません!」
スカーレットは必死で言う。
「何故だ?俺だって…普通の成人男性だぞ?お前の恐れる…」
アリオスの顔はどことなく寂しげだった。
「確かに‥初めの頃はアリオス様の事も…怖いと思っておりました」
「そうか…やはりな」
アリオスが視線をそらせた。
「話しは最後まで聞いてください!」
気付けばいつの間にか強い口調でスカーレットはアリオスに話していた。
「スカーレット…」
その姿にアリオスは目を見開いた。
「それでも…徐々にアリオス様に対する見方が変わったんです。それは全て…カール様のお陰です」
「カールの…?一体どういうことだ?」
アリオスは突然カールの名前が飛び出して来て驚いた。
「はい、私はカール様が大好きです。素直な処も、聡明な処も、そして…まだ小さいのに勇敢で…優しく頼りになる処も…何もかも全部、大好きです」
「そうか…そんなにカールを好いてくれているのだな?」
それまでこわばっていたアリオスの顔に少しだけ笑みが浮かんだ。
「はい。カール様とお会い出来て…彼の家庭教師になれて本当に良かったと思っております」
「ありがとう…カールは俺の大切な弟だ。そんな風に言って貰えると…嬉しいよ」
それは今まで見せたことも無い優し気な微笑みだった。
「カールは可愛そうな子供なんだ。母親に捨てられ…一緒に暮らす事も拒絶されてしまった。だからスカーレットがまるで母親や姉の様にカールに接してくれていることに…感謝してもしきれないと思っている」
「だから…です」
「え?」
「私が今はアリオス様を怖くないと言ったのは…カール様を大切にされているからです。あの優しいカール様のお兄様なのですから…アリオス様は良い方に決まっているではありませんか?」
「スカーレット…」
「だからこそ!決闘なんて恐ろしい事考えないで下さい!そ、それは確かに怖い思いはしましたけど…アイザック皇子は泣いている私を見逃して下さったのですから…!」
「だが、アイザック皇子は勝手にお前に触れたんだぞ?!俺だってまだお前にそんな真似をしたことが無いのに…っ!」
「え…?」
その言葉にスカーレットはアリオスを見た―。
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