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第1章 35 真夜中の悲鳴
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2人が結婚式を挙げた夜―
スカーレットは部屋を訪れていたブリジットにポツリと言った。
「ブリジット・・・私、アンドレア様とエーリカの結婚式・・耐えきれずに途中で抜け出してしまったわ。」
ブリジットはスカーレットの長い髪にブラシをあてながら語り掛けた。
「それで良かったのですよ・・・。式に出席したメイド達に聞いたのですが、スカーレット様が教会を去った後は散々な散々な結婚式だったらしいですから・・・。」
「まあ、そうだったの?ちっとも知らなかったわ・・。」
しかし、スカーレットが結婚式場を逃げた後の状況を知らないのは無理も無かった。
神聖なる神の前で破廉恥な真似をしたエーリカ。席を立って逃げるスカーレットに手を伸ばすアンドレアに泣いてすがる花嫁。そして花婿の父にはこんな不愉快な結婚式は初めてだと言われ、結婚式の最中に去られてしまった・・・。
こんな不名誉な結婚式を世間にも・・・ましてやスカーレットにだけは絶対に知られたくなかったアグネスは緘口令を敷いたのであった。
「ねえ、ブリジット・・・。」
髪をすかれながらスカーレットは言った。
「はい、何でしょうか?スカーレット様。」
「私ね・・・結婚式に参加して・・ようやくわかったの。」
「何が分かったのですか?」
「もう・・・アンドレア様の事は吹っ切れたわ・・。」
「え・・?ほ、本当ですか・・?あれほどアンドレア様を慕われていたのに・・・ですか?」
「ええ・・・。やっぱりあそこまでエーリカと情熱的なキスをするくらいだもの・・・。もう私の入り込む隙は無いだろうと感じたのよ。」
スカーレットはポツリという。本当はアンドレアは強引にエーリカに深くキスされたのだが、スカーレットの目にはそうは映らなかったのだ。アンドレアから情熱的にキスをしたように見えたのである。
「そうですか・・・。でもスカーレット様が吹っ切ることが出来たのなら・・何よりです。」
ブリジットは健気なスカーレットの言葉に涙をこらえながら返事をする。
「ええ、後は・・弁護士さんから連絡を頂いて、家庭教師として採用される事が決定すれば・・・お父様の葬儀の後・・速やかにこの屋敷を出ていくわ。」
「スカーレット様・・・。ご一緒することが出来ず・・申し訳ございません。」
ブリジットは声を詰まらせて謝罪した。本当ならば・・自分の子供のように大切に育ててきたスカーレットからブリジットは離れたくは無かった。しかし、スカーレットがこの屋敷を出た後に援助金として支払われるお金は、2人で暮らしていくには決して十分な額とは言えなかった。ブリジットがスカーレットに付き添えば・・・それだけスカーレットの負担が増えるだけであった。
(せめて・・私がもっと若ければ・・・就職先を問題無く見つける事が出来たのに・・・そうすればスカーレットお嬢様と2人でどこかアパートメントを借りて、暮らすことが出来たのに・・。)
ブリジットはため息をつくのだった・・・。
そして、その日の夜・・・事件は起こった・・・。
****
深夜0時―
「お母さんっ!」
バターンッ!!
突如、アグネスの部屋のドアが大きく開かれ、エーリカが部屋の中へ駈け込んできた。
「ど、どうしたの?エーリカッ?!」
ベッドの上で横になっていたアグネスは突然ドアを開け放ち、寝室に飛び込んできたエーリカを見て驚いて声を掛けた。
「あ・・お、お母さん・・・っ!」
見るとエーリカの顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「ど、どうしたのっ?!エーリカッ!」
アグネスは慌ててエーリカに声を掛けた。するとエーリカは泣きじゃくりながら言う。
「ア・・アンドレア様が・・・もう私の事は抱けないって言うと・・部屋を飛び出して行ってしまったの・・っ!」
「え・・?な、何ですってっ?!」
あまりにも突然の話にアグネスは目を見開いた次の瞬間・・・・。
「キャアアアアアアッ!!」
静かな屋敷に・・叫び声が響き渡った―。
スカーレットは部屋を訪れていたブリジットにポツリと言った。
「ブリジット・・・私、アンドレア様とエーリカの結婚式・・耐えきれずに途中で抜け出してしまったわ。」
ブリジットはスカーレットの長い髪にブラシをあてながら語り掛けた。
「それで良かったのですよ・・・。式に出席したメイド達に聞いたのですが、スカーレット様が教会を去った後は散々な散々な結婚式だったらしいですから・・・。」
「まあ、そうだったの?ちっとも知らなかったわ・・。」
しかし、スカーレットが結婚式場を逃げた後の状況を知らないのは無理も無かった。
神聖なる神の前で破廉恥な真似をしたエーリカ。席を立って逃げるスカーレットに手を伸ばすアンドレアに泣いてすがる花嫁。そして花婿の父にはこんな不愉快な結婚式は初めてだと言われ、結婚式の最中に去られてしまった・・・。
こんな不名誉な結婚式を世間にも・・・ましてやスカーレットにだけは絶対に知られたくなかったアグネスは緘口令を敷いたのであった。
「ねえ、ブリジット・・・。」
髪をすかれながらスカーレットは言った。
「はい、何でしょうか?スカーレット様。」
「私ね・・・結婚式に参加して・・ようやくわかったの。」
「何が分かったのですか?」
「もう・・・アンドレア様の事は吹っ切れたわ・・。」
「え・・?ほ、本当ですか・・?あれほどアンドレア様を慕われていたのに・・・ですか?」
「ええ・・・。やっぱりあそこまでエーリカと情熱的なキスをするくらいだもの・・・。もう私の入り込む隙は無いだろうと感じたのよ。」
スカーレットはポツリという。本当はアンドレアは強引にエーリカに深くキスされたのだが、スカーレットの目にはそうは映らなかったのだ。アンドレアから情熱的にキスをしたように見えたのである。
「そうですか・・・。でもスカーレット様が吹っ切ることが出来たのなら・・何よりです。」
ブリジットは健気なスカーレットの言葉に涙をこらえながら返事をする。
「ええ、後は・・弁護士さんから連絡を頂いて、家庭教師として採用される事が決定すれば・・・お父様の葬儀の後・・速やかにこの屋敷を出ていくわ。」
「スカーレット様・・・。ご一緒することが出来ず・・申し訳ございません。」
ブリジットは声を詰まらせて謝罪した。本当ならば・・自分の子供のように大切に育ててきたスカーレットからブリジットは離れたくは無かった。しかし、スカーレットがこの屋敷を出た後に援助金として支払われるお金は、2人で暮らしていくには決して十分な額とは言えなかった。ブリジットがスカーレットに付き添えば・・・それだけスカーレットの負担が増えるだけであった。
(せめて・・私がもっと若ければ・・・就職先を問題無く見つける事が出来たのに・・・そうすればスカーレットお嬢様と2人でどこかアパートメントを借りて、暮らすことが出来たのに・・。)
ブリジットはため息をつくのだった・・・。
そして、その日の夜・・・事件は起こった・・・。
****
深夜0時―
「お母さんっ!」
バターンッ!!
突如、アグネスの部屋のドアが大きく開かれ、エーリカが部屋の中へ駈け込んできた。
「ど、どうしたの?エーリカッ?!」
ベッドの上で横になっていたアグネスは突然ドアを開け放ち、寝室に飛び込んできたエーリカを見て驚いて声を掛けた。
「あ・・お、お母さん・・・っ!」
見るとエーリカの顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「ど、どうしたのっ?!エーリカッ!」
アグネスは慌ててエーリカに声を掛けた。するとエーリカは泣きじゃくりながら言う。
「ア・・アンドレア様が・・・もう私の事は抱けないって言うと・・部屋を飛び出して行ってしまったの・・っ!」
「え・・?な、何ですってっ?!」
あまりにも突然の話にアグネスは目を見開いた次の瞬間・・・・。
「キャアアアアアアッ!!」
静かな屋敷に・・叫び声が響き渡った―。
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