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第1章 34 最悪の結婚式
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2日後―
本日はアンドレアとエーリカの結婚式の日である。突然の挙式と言う事で参列者はこの屋敷で働く使用人たちにアグネス、彼女の弁護士、そして・・婚約者を奪われてしまったスカーレットだった。
リヒャルト家の敷地内には教会が建てられており、城の付近に住む領民たちはこの教会を日曜礼拝時には借り、ミサを毎週末行っている。またこの教会で式を挙げた事もある領民もいた。今回この教会で2人は式を挙げるのだ。
(まさか・・・アンドレア様と結婚するはずだった私が・・・皮肉な事にアンドレア様の結婚式に参列する事になるなんて・・・。)
水色のワンピースドレスに身を包んだスカーレットは青白い顔で、義母であるアグネスの隣に座っていた。
「スカーレット、お前の妹の結婚式なのだからそんな表情をするのはおやめなさい。」
アグネスは暗い、空ろな瞳のスカーレットを注意した。
「はい・・・申し訳ございません・・・。」
スカーレットは何とか返事をするが、明るい表情など作れるはずも無かった。いくらアンドレアに未練が無くなったからとは言え、仮にも何年にも渡り、自分の婚約者だった相手が義理の妹に奪われてしまったのだ。暗い表情になってしまうのは無理も無かった。
神父の前で式を挙げているアンドレアとエーリカの姿をスカーレットは必死で背を伸ばし、必死になって耐え、見つめていた。
一方、白いタキシード姿に身を包んだアンドレアの方もほぼ上の空で式に臨んでいた。神父の言葉など何一つ耳に入って来ない。指輪の交換も、誓いの愛の言葉も神父に促されるまでアンドレアはただ人形の様に立っているだけであった。
(全く・・・何をやっているのよ!アンドレア様は・・!)
エーリカはアンドレアが、心ここにあらず状態で式に臨んでいるのが不満でたまらなかった。
(一体何故よ?!私よりもやっぱりスカーレットの方がいいと言うのかしら?)
その時―
「では、夫婦の誓いの口づけを・・。」
神父が言う。
(そうだわ。ここで情熱的なキスをしてあげれば・・きっとアンドレアはスカーレットの事など年頭から消え去るに決まってるわ。)
しかし、アンドレアは神父の言葉が耳に入っていないのか全く身動きもしない。
(何やってるのよ・・・アンドレアは・・!こうなったら・・!)
焦れたエーリカは自分でヴェールを挙げると、ブーケをパサリと床に落とした。
エーリカの突然の不思議な行動にスカーレットを始めとした式に参列した使用人たちは皆不思議そうに見つめた。次の瞬間―
突如、エーリカはアンドレアの首の後ろを両手で掴み、自分の方へ引き寄せるとアンドレアの唇に自分の唇を強く押し付けたのだ。
「!」
突然の事に驚き、アンドレアが何か言おうと口を開いたときに大胆にもエーリカは自分の舌をアンドレアの口の中にねじ込んだのだ。何と公衆の面前・・・しかも神前の前で・・・。
「んんっ?!」
アンドレアは何が起こったか分らず、顔を赤らめて硬直してしまった。
「ま・・まあっ!な、何て事・・・っ!」
アグネスはエーリカがあまりにもふしだらな行動を取った事に驚き、思わずガタンと席を立った。
「よ、よせっ!エーリカッ!」
そこで、何とか我に返ったアンドレアはエーリカの身体を掴んで引き離し、咄嗟にスカーレットの方を振り向いた。
「ア・・アンドレア様・・・。」
スカーレットの顔は真っ青になって小刻みに震えている。
「ち、違うんだ。スカーレット、こ・これは・・。」
しかしスカーレットは席を立つと、教会を飛び出してしまった。
「待ってくれっ!スカーレットッ!」
アンドレアが追いかけようとすると、突然背後からガシッと抱きつかれた。
「何所へ行くのっ?!アンドレア様っ!」
そこには目に涙を浮かべ、必死でアンドレアに抱き着くエーリカの姿があった。
「は、離してくれっ!エーリカッ!」
アンドレアは必死でスカーレットを引き剥がそうとする。
「いやよっ!アンドレア様っ!あなたの花嫁は私でしょうっ?!何故スカーレットを追いかけようとするのよっ!」
エーリカは必死でしがみついて引き剥がされまいとする。
「お願いだっ!スカーレットの元に・・!」
すると・・
「やめるのだっ!アンドレアッ!」
声を荒げた人物がいた。それは・・アンドレアの父親であった。
「見苦しいぞ・・・アンドレア。スカーレットでは無く、エーリカ嬢を選んだのはお前だ。女々しい真似をするな。・・・こんな不愉快な結婚式は生まれて初めてだ。・・失礼するよ。女主人。」
アンドレアの父は呆然としているアグネスに告げると、自分が引き連れてきた従者と共に、教会を去って行った―。
途端にざわめく参列者達。これには流石に参ってしまった神父がついに言った。
「皆さん!静粛に!これにてアンドレアとエーリカの結婚式を終わりとしますっ!」
強制的に終わりを告げてしまった。
こうして、2人の結婚式は最悪の形で終了したのだった―。
本日はアンドレアとエーリカの結婚式の日である。突然の挙式と言う事で参列者はこの屋敷で働く使用人たちにアグネス、彼女の弁護士、そして・・婚約者を奪われてしまったスカーレットだった。
リヒャルト家の敷地内には教会が建てられており、城の付近に住む領民たちはこの教会を日曜礼拝時には借り、ミサを毎週末行っている。またこの教会で式を挙げた事もある領民もいた。今回この教会で2人は式を挙げるのだ。
(まさか・・・アンドレア様と結婚するはずだった私が・・・皮肉な事にアンドレア様の結婚式に参列する事になるなんて・・・。)
水色のワンピースドレスに身を包んだスカーレットは青白い顔で、義母であるアグネスの隣に座っていた。
「スカーレット、お前の妹の結婚式なのだからそんな表情をするのはおやめなさい。」
アグネスは暗い、空ろな瞳のスカーレットを注意した。
「はい・・・申し訳ございません・・・。」
スカーレットは何とか返事をするが、明るい表情など作れるはずも無かった。いくらアンドレアに未練が無くなったからとは言え、仮にも何年にも渡り、自分の婚約者だった相手が義理の妹に奪われてしまったのだ。暗い表情になってしまうのは無理も無かった。
神父の前で式を挙げているアンドレアとエーリカの姿をスカーレットは必死で背を伸ばし、必死になって耐え、見つめていた。
一方、白いタキシード姿に身を包んだアンドレアの方もほぼ上の空で式に臨んでいた。神父の言葉など何一つ耳に入って来ない。指輪の交換も、誓いの愛の言葉も神父に促されるまでアンドレアはただ人形の様に立っているだけであった。
(全く・・・何をやっているのよ!アンドレア様は・・!)
エーリカはアンドレアが、心ここにあらず状態で式に臨んでいるのが不満でたまらなかった。
(一体何故よ?!私よりもやっぱりスカーレットの方がいいと言うのかしら?)
その時―
「では、夫婦の誓いの口づけを・・。」
神父が言う。
(そうだわ。ここで情熱的なキスをしてあげれば・・きっとアンドレアはスカーレットの事など年頭から消え去るに決まってるわ。)
しかし、アンドレアは神父の言葉が耳に入っていないのか全く身動きもしない。
(何やってるのよ・・・アンドレアは・・!こうなったら・・!)
焦れたエーリカは自分でヴェールを挙げると、ブーケをパサリと床に落とした。
エーリカの突然の不思議な行動にスカーレットを始めとした式に参列した使用人たちは皆不思議そうに見つめた。次の瞬間―
突如、エーリカはアンドレアの首の後ろを両手で掴み、自分の方へ引き寄せるとアンドレアの唇に自分の唇を強く押し付けたのだ。
「!」
突然の事に驚き、アンドレアが何か言おうと口を開いたときに大胆にもエーリカは自分の舌をアンドレアの口の中にねじ込んだのだ。何と公衆の面前・・・しかも神前の前で・・・。
「んんっ?!」
アンドレアは何が起こったか分らず、顔を赤らめて硬直してしまった。
「ま・・まあっ!な、何て事・・・っ!」
アグネスはエーリカがあまりにもふしだらな行動を取った事に驚き、思わずガタンと席を立った。
「よ、よせっ!エーリカッ!」
そこで、何とか我に返ったアンドレアはエーリカの身体を掴んで引き離し、咄嗟にスカーレットの方を振り向いた。
「ア・・アンドレア様・・・。」
スカーレットの顔は真っ青になって小刻みに震えている。
「ち、違うんだ。スカーレット、こ・これは・・。」
しかしスカーレットは席を立つと、教会を飛び出してしまった。
「待ってくれっ!スカーレットッ!」
アンドレアが追いかけようとすると、突然背後からガシッと抱きつかれた。
「何所へ行くのっ?!アンドレア様っ!」
そこには目に涙を浮かべ、必死でアンドレアに抱き着くエーリカの姿があった。
「は、離してくれっ!エーリカッ!」
アンドレアは必死でスカーレットを引き剥がそうとする。
「いやよっ!アンドレア様っ!あなたの花嫁は私でしょうっ?!何故スカーレットを追いかけようとするのよっ!」
エーリカは必死でしがみついて引き剥がされまいとする。
「お願いだっ!スカーレットの元に・・!」
すると・・
「やめるのだっ!アンドレアッ!」
声を荒げた人物がいた。それは・・アンドレアの父親であった。
「見苦しいぞ・・・アンドレア。スカーレットでは無く、エーリカ嬢を選んだのはお前だ。女々しい真似をするな。・・・こんな不愉快な結婚式は生まれて初めてだ。・・失礼するよ。女主人。」
アンドレアの父は呆然としているアグネスに告げると、自分が引き連れてきた従者と共に、教会を去って行った―。
途端にざわめく参列者達。これには流石に参ってしまった神父がついに言った。
「皆さん!静粛に!これにてアンドレアとエーリカの結婚式を終わりとしますっ!」
強制的に終わりを告げてしまった。
こうして、2人の結婚式は最悪の形で終了したのだった―。
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