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第3章 9 ナッツさんとデート
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「ナッツさんとデートか・・・。少し考えさせて下さい。いいですか?」
ナッツさんに尋ねると、彼は快く快諾してくれた。
「うん、いいよ。」
私は腕組みをして5秒だけ考えた。
「よし、デートしましょう。」
「え?嘘?早っ!」
ナッツさんは目を白黒させた。
「ええ、よくよく考えてみれば、悩む必要もありませんでした。しましょう、デート。今すぐにっ!あ・・・でもデートだって言うのに・・私、こんな格好で来てしまいましたよ。」
私は自分が着てきた上下のトレーニングウェアを見ると言った。
「え?だって今日は婚約者とデートだったんだろう?分かっていてその格好で来たんじゃないの?」
「ええ、そうですよ。でもさっき言ったじゃないですか。婚約破棄予定の相手と最後のデートに来ているって。嫌がらせする為にこの格好で、2人でここまでランニングしてきたんですよ。」
そしてナッツさんを見ると、何故か彼の身体は小刻みに震えている。
「ナッツさん?」
「プ・・・。」
「ぷ?」
はて・・?一体ナッツさんはどうしてしまったのだろう?しかし次の瞬間・・・。
「プハハハハッ!な、何それ?あ~おっかしい!もう我慢できないっ!」
ナッツさんはお腹を抱えてゲラゲラと笑い出した。
「え?そんなにおかしいですか?」
するとナッツさんは目に涙を浮かべて笑いながら言う。
「もちろん。おかしくてしようがないよっ!ロザリアちゃんみたいに面白い娘と会ったのは生まれて初めてだっ!」
そしてようやく笑いが収まったのか、ナッツさんは私を見ると言った。
「よし、それじゃロザリアちゃんの婚約破棄予定の相手が来るまでに、ここをずらかろうか?」
ナッツさんは左手を私に差し出した。
「うん、いいですね。」
私は右手を差し出すと、ナッツさんはしっかりその手を握り締めてきた―。
****
「ナッツさん、今日はお仕事お休みですか?」
2人で手を繋いでパーク内の湖へ向かって歩きながら私はナッツさんに尋ねた。
そう言えば、さっきナッツさんに会った時にこんな処で何をしているんですか?って尋ねたのに逆にナッツさんに尋ねられて結局質問には答えてもらえなかっけ・・。
「う、うん。今日は仕事は休みなのさ。」
「へえ~土曜日なのに?」
私はパーク内の露店を見渡しながら尋ねる。パーク内の木陰の至る所で露店が店を構えている。さっき通りすぎた露店は綿あめ屋さんだったし、今通りすぎた店ではホクホクのじゃがバターが売っていた。
「うん、そうさ。」
何故か私から視線をそらせるように返事をする。
「だって土日が一番お客さんが集まる曜日なんじゃないですか?」
「うん・・・まあ、そうなんだけどさ・・・。土日は定休日って決めてるのさ。」
「へえ~・・そうなんですかぁ・・。ま、いいか。」
そうこうしている内に私たちは湖に着いた。実はここに来た目的は一つしかない。
「だけど・・・いいのかい?ロザリアちゃんにボートを漕がせてしまうなんて・・。」
ボート乗り場にやってくるとナッツさんは心配そうに声をかけてくる。
「ええ、いいんですよ。だってここへは運動しに来たんですからね。」
言いながら私は手漕ぎボートに乗ろうとすると、先にナッツさんが動いてボートに乗り込むと右手を差し出してきた。
「ほら、つかまりなよ。」
「ありがとうございます。」
おおっ!なかなかの紳士!左手を差し出すと、思った以上に強い力で引っ張られるようにボートに乗り込んだ。
「よし、それでは行きますよ?」
私は船の上に座ると、オールを手に握った。
そして・・・ちょっとした事件が起こるのはボートを漕ぎだしてから5分後の事だった―。
ナッツさんに尋ねると、彼は快く快諾してくれた。
「うん、いいよ。」
私は腕組みをして5秒だけ考えた。
「よし、デートしましょう。」
「え?嘘?早っ!」
ナッツさんは目を白黒させた。
「ええ、よくよく考えてみれば、悩む必要もありませんでした。しましょう、デート。今すぐにっ!あ・・・でもデートだって言うのに・・私、こんな格好で来てしまいましたよ。」
私は自分が着てきた上下のトレーニングウェアを見ると言った。
「え?だって今日は婚約者とデートだったんだろう?分かっていてその格好で来たんじゃないの?」
「ええ、そうですよ。でもさっき言ったじゃないですか。婚約破棄予定の相手と最後のデートに来ているって。嫌がらせする為にこの格好で、2人でここまでランニングしてきたんですよ。」
そしてナッツさんを見ると、何故か彼の身体は小刻みに震えている。
「ナッツさん?」
「プ・・・。」
「ぷ?」
はて・・?一体ナッツさんはどうしてしまったのだろう?しかし次の瞬間・・・。
「プハハハハッ!な、何それ?あ~おっかしい!もう我慢できないっ!」
ナッツさんはお腹を抱えてゲラゲラと笑い出した。
「え?そんなにおかしいですか?」
するとナッツさんは目に涙を浮かべて笑いながら言う。
「もちろん。おかしくてしようがないよっ!ロザリアちゃんみたいに面白い娘と会ったのは生まれて初めてだっ!」
そしてようやく笑いが収まったのか、ナッツさんは私を見ると言った。
「よし、それじゃロザリアちゃんの婚約破棄予定の相手が来るまでに、ここをずらかろうか?」
ナッツさんは左手を私に差し出した。
「うん、いいですね。」
私は右手を差し出すと、ナッツさんはしっかりその手を握り締めてきた―。
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「ナッツさん、今日はお仕事お休みですか?」
2人で手を繋いでパーク内の湖へ向かって歩きながら私はナッツさんに尋ねた。
そう言えば、さっきナッツさんに会った時にこんな処で何をしているんですか?って尋ねたのに逆にナッツさんに尋ねられて結局質問には答えてもらえなかっけ・・。
「う、うん。今日は仕事は休みなのさ。」
「へえ~土曜日なのに?」
私はパーク内の露店を見渡しながら尋ねる。パーク内の木陰の至る所で露店が店を構えている。さっき通りすぎた露店は綿あめ屋さんだったし、今通りすぎた店ではホクホクのじゃがバターが売っていた。
「うん、そうさ。」
何故か私から視線をそらせるように返事をする。
「だって土日が一番お客さんが集まる曜日なんじゃないですか?」
「うん・・・まあ、そうなんだけどさ・・・。土日は定休日って決めてるのさ。」
「へえ~・・そうなんですかぁ・・。ま、いいか。」
そうこうしている内に私たちは湖に着いた。実はここに来た目的は一つしかない。
「だけど・・・いいのかい?ロザリアちゃんにボートを漕がせてしまうなんて・・。」
ボート乗り場にやってくるとナッツさんは心配そうに声をかけてくる。
「ええ、いいんですよ。だってここへは運動しに来たんですからね。」
言いながら私は手漕ぎボートに乗ろうとすると、先にナッツさんが動いてボートに乗り込むと右手を差し出してきた。
「ほら、つかまりなよ。」
「ありがとうございます。」
おおっ!なかなかの紳士!左手を差し出すと、思った以上に強い力で引っ張られるようにボートに乗り込んだ。
「よし、それでは行きますよ?」
私は船の上に座ると、オールを手に握った。
そして・・・ちょっとした事件が起こるのはボートを漕ぎだしてから5分後の事だった―。
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