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第2章 5 今日も嫌がらせ

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 学校に到着し、御者のネロさんと帰りの約束をした私は1-Bの教室へ向かった。まだ授業が始まる前なので廊下には生徒たちが思い思いに友人同士と話をしているが、誰も私に話しかけてくる生徒はいない。茶色い板張りの廊下をぺたぺたと歩いているいていくと、やがてロザリアの教室が見えてきた。

ガラリとドアを開けて教室へ入るも、誰1人声を掛けてくる生徒はいない。それどころか、これ見よがしに私の方をチラチラ見て、コソコソ話をしている。うん、間違いない。やはりこれはいじめだ。しかし実質年齢が自分よりも8歳も下の子供たちに対して、別に何も思うところは無い。
カバンから教科書やノート類を全部出して机の引き出しに入れるのは、久しぶりの感覚で何だか心がウキウキしてくる。今日の授業の1時間目は物理である。なので物理の教科書とノートを机の上に出し、何気なくロザリアのノートをパラパラとめくり・・絶句した。ロザリアのノートは物理の問題だけは書かれてあるけれども、残りは全部空白なのだ。つまり、何も手を付けていないと言う事。

「これは・・要するに問題が解けなくて白紙って事よね・・・。」

まあいいか、どうせ暇だし・・・解いておいてあげよう。大体こんな簡単な問題パズルみたいで面白いしね。
サラサラとノートに鉛筆を走らせていると、急に誰かに背後からノートを奪われた。

「おい、馬鹿なパストリスが何かノートに落書きしてるぞ!」

「へえ~・・・どんな落書きしてるんだよ。」

「俺にも見せろよ。」


茶髪のツンツン頭の少年が奪ったノートを手に持ち、大声で騒いでいるのを似たようなレベルの少年たちがこぞって集まってくる。全く・・馬鹿みたいだ。こんな奴に関わっていても時間の無駄だ。私は彼らの存在は完全無視して寝たふりをした。するとあれほど騒がしかった彼らが急にシンとなる。
うん・・・何があったんだ?
目を開けると、そこには少年たちが私の物理のノートを驚愕の目で見つめる姿だった。

「え・・?う、嘘だろう・・?」

「あのパストリスが物理の問題を解けるなんて・・・。」

そして少年たちは私を見た。

「・・・何よ?」

私はジロリと逆に彼らを睨み返してやると、少年たちはバツが悪そうに、ノートを机の上に置くとスゴスゴと去って行く。
ふう・・・これでやっと静かになった。どれ・・授業が始まる迄は寝ていようかな・・。私は机の上に突っ伏し目を閉じた―。

 
 そして時は流れ・・・・

「ふう~・・やっとお昼ごはんか・・。」

4時間目の授業も無事終わり、私は大きく伸びをした。机の上の教科書やらノートの類を机の引き出しにしまっていると、セレナが2名の女子生徒を連れてこちらへとやってきた。

「ねえ、パストリス。」

「何?」

返事をしてセレナを見上げると、彼女は一瞬ポカンとした表情を見せたが、プイと視線をそらせると言った。

「貴女・・確か記憶喪失って言ってたわよね?学食迄連れて行ってあげてもいいけど・・どうする?」

「え?本当?ありがとう、助かるわ。」

私はガタンと席を立つと言った。良かった~どこでお昼食べられるか分からなくて困っていたんだよね。

「え?まさか・・本気に取るとは思わなかったわ。」

セレナと一緒にいた少女が呆れたように言う。

「まさか真に受けるとはね~・・・。」

髪の長い別の少女は髪をかきあげた。

「ま、まあいいわ。それじゃ行くわよ。」

そして私達は食堂へと向かった―。
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