44 / 58
4-2 悪女の微笑み
しおりを挟む
「も、申し訳ございません。ライザ様・・・。」
「どうしてもお願いしたい事がございます・・。」
エントランスにいくと、そこにいたのはカサンドラ付きの意地悪な2人のメイドであった。2人ともガタガタと震えているが・・・。
私は溜息をつくと言った。
「あなた達・・・。私にあれだけ散々意地悪な事をしておいてよくもここまで来れたわね?しかもお願い?図々しいにもほどがあるわ。お願い事ならあなた達の大切な主、カサンドラにお願いすればいいでしょう?もう・・帰ってくれる?」
全くこんなくだらない事に貴重な時間を費やしてしまった。早く写生をしに行こう。
クルリと2人のメイドに背を向けて部屋に戻ろうとしたところ、悲鳴交じりで呼び止められた。
「お願いというのはカサンドラ様の事なのですっ!」
「どうか・・どうかカサンドラ様をお助け下さいっ!」
その言葉に私はピタリと足を止めた。カサンドラの事でのお願い・・?助けてほしい・・?と言う事は・・・カサンドラは今何か大変な状況下に置かれている事になるのだが・・それにしてはおかしな話だ。あと3日でカサンドラの18歳の誕生日がやってくる。しかも今回は貴族たちに招待状を送っている・・・。それなのにカサンドラが助けを求めている?今は盛大なパーティー準備で浮かれていると言う話ならまだしも、全く腑に落ちない話だ。
だけど・・・。
私は2人のメイドに背を向けた状態で笑みを浮かべた。
カサンドラが困っている状況に置かれているのなら・・・・その様子を拝みに行くのも一興かもしれない。
「分かったわ。カサンドラが困っているなら・・・見捨てるわけにはいかないものね?」
私は振り向くとこれ見よがしに笑みを浮かべた。すると2人のメイドは感動した様子で目に涙をうかべながら感謝の言葉を述べる。
「ああ・・なんという慈悲深い微笑みでしょう。」
「さすがはライザ様。やはりお2人の間には家族の絆があったのですね。」
家族の絆?反吐が出そうな言葉を吐くメイドに私は苛立ちを押さえるのに苦労した。愚かなメイドたちは私がカサンドラを助ける為にモンタナ家へ行くものだと思っているが・・。
冗談じゃない。私はあの家族たちに18年間ずっと虐げられ続け・・ついに悪女になろうと決めたのだ。私がモンタナ家へ行くのは困った状況下のカサンドラの顔を拝みに行き、侮蔑の言葉を浴びせる為に行くのだ。
「さあ、では早くモンタナ家へ向かいましょう。」
馬車へ向かうと御者がいない。
「あら?御者はどうしたのかしら?」
すると1人のメイドが言った。
「御者は・・いません。私たちが馬車をここまで走らせてきました。」
「あ、あら?そうなの。よく出来たわね?」
「ありがとうございますっ!初めてやってみたのですがうまくいきましたっ!」
そのメイドは目をキラキラさせて言う。え・・?別に褒めたつもりではないのだが・・・しかし、ものすごくこの馬車に乗るのは不安だ。
「悪いけど・・この馬車に乗るのは遠慮しておくわ。ジュリアン侯爵の馬車を借りる許可をもらってくるから、あなた達だけでモンタナ家へ行って頂戴。」
「はい・・。」
「分かりました・・。」
2人のメイドは明らかに落胆した様子で、慣れない手つきで馬車を走らせて帰って行った。その様子を見ながら思わずため息が出てしまう。
「全く・・・どういう事なのかしら?メイドだけで馬車を走らせてくるなんて・・。もしかして勝手に馬車を持ち出した・・?」
それにしても一体今モンタナ家では何が起こっているのだろう?この私に助けを求めるカサンドラ付きの2人のメイド。そして恐らく勝手に借りてきた馬車・・・。
「これは・・・そうとう面白い事になっているのかもね・・。」
私は悪女らしい笑みを浮かべ、ジュリアン侯爵の馬車を借りに厩舎へと向かった―。
「どうしてもお願いしたい事がございます・・。」
エントランスにいくと、そこにいたのはカサンドラ付きの意地悪な2人のメイドであった。2人ともガタガタと震えているが・・・。
私は溜息をつくと言った。
「あなた達・・・。私にあれだけ散々意地悪な事をしておいてよくもここまで来れたわね?しかもお願い?図々しいにもほどがあるわ。お願い事ならあなた達の大切な主、カサンドラにお願いすればいいでしょう?もう・・帰ってくれる?」
全くこんなくだらない事に貴重な時間を費やしてしまった。早く写生をしに行こう。
クルリと2人のメイドに背を向けて部屋に戻ろうとしたところ、悲鳴交じりで呼び止められた。
「お願いというのはカサンドラ様の事なのですっ!」
「どうか・・どうかカサンドラ様をお助け下さいっ!」
その言葉に私はピタリと足を止めた。カサンドラの事でのお願い・・?助けてほしい・・?と言う事は・・・カサンドラは今何か大変な状況下に置かれている事になるのだが・・それにしてはおかしな話だ。あと3日でカサンドラの18歳の誕生日がやってくる。しかも今回は貴族たちに招待状を送っている・・・。それなのにカサンドラが助けを求めている?今は盛大なパーティー準備で浮かれていると言う話ならまだしも、全く腑に落ちない話だ。
だけど・・・。
私は2人のメイドに背を向けた状態で笑みを浮かべた。
カサンドラが困っている状況に置かれているのなら・・・・その様子を拝みに行くのも一興かもしれない。
「分かったわ。カサンドラが困っているなら・・・見捨てるわけにはいかないものね?」
私は振り向くとこれ見よがしに笑みを浮かべた。すると2人のメイドは感動した様子で目に涙をうかべながら感謝の言葉を述べる。
「ああ・・なんという慈悲深い微笑みでしょう。」
「さすがはライザ様。やはりお2人の間には家族の絆があったのですね。」
家族の絆?反吐が出そうな言葉を吐くメイドに私は苛立ちを押さえるのに苦労した。愚かなメイドたちは私がカサンドラを助ける為にモンタナ家へ行くものだと思っているが・・。
冗談じゃない。私はあの家族たちに18年間ずっと虐げられ続け・・ついに悪女になろうと決めたのだ。私がモンタナ家へ行くのは困った状況下のカサンドラの顔を拝みに行き、侮蔑の言葉を浴びせる為に行くのだ。
「さあ、では早くモンタナ家へ向かいましょう。」
馬車へ向かうと御者がいない。
「あら?御者はどうしたのかしら?」
すると1人のメイドが言った。
「御者は・・いません。私たちが馬車をここまで走らせてきました。」
「あ、あら?そうなの。よく出来たわね?」
「ありがとうございますっ!初めてやってみたのですがうまくいきましたっ!」
そのメイドは目をキラキラさせて言う。え・・?別に褒めたつもりではないのだが・・・しかし、ものすごくこの馬車に乗るのは不安だ。
「悪いけど・・この馬車に乗るのは遠慮しておくわ。ジュリアン侯爵の馬車を借りる許可をもらってくるから、あなた達だけでモンタナ家へ行って頂戴。」
「はい・・。」
「分かりました・・。」
2人のメイドは明らかに落胆した様子で、慣れない手つきで馬車を走らせて帰って行った。その様子を見ながら思わずため息が出てしまう。
「全く・・・どういう事なのかしら?メイドだけで馬車を走らせてくるなんて・・。もしかして勝手に馬車を持ち出した・・?」
それにしても一体今モンタナ家では何が起こっているのだろう?この私に助けを求めるカサンドラ付きの2人のメイド。そして恐らく勝手に借りてきた馬車・・・。
「これは・・・そうとう面白い事になっているのかもね・・。」
私は悪女らしい笑みを浮かべ、ジュリアン侯爵の馬車を借りに厩舎へと向かった―。
91
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる