49 / 95
第48話 お願いします
しおりを挟む
「それでは、また次の新月が終わった頃に店に伺いますね。『魂の交換』について、ちゃんと聞いておいてくださいね?」
「ええ、勿論よ。任せて頂戴。何しろ、こんなに資金援助してくれたんだから」
魔女は私の問いかけに笑顔で頷き、エドから貰った小切手を見せる。
「これさえ、あれば借金をすぐに全額返済することが出来るわ。これで立ち退かなくてすむわね~」
「もしステラの問題が解決できたら、報酬として更にその小切手の金額を上乗せしてあげますよ」
エドは太っ腹なことを言ってくれる。さすがは王子様だ。
「え!? その話、本当ね!? 分かったわ! 何としても彼女の問題を解決してあげるから!」
……この魔女、余程お金に困っているのだろうか?
「では、よろしくお願いします」
「ええ、あ! ちょっと待って!」
魔女はカウンターの下を覗き込むと、何やらゴソゴソと漁り……手の平に乗りそうな小さな小瓶を取り出した。中には透明な液体が入っている。
「はい、これあなたにあげるわ」
そして私の手に握らせてきた。
「? あの、これは何ですか?」
「勿論、惚れ薬よ」
「「ええ!? 惚れ薬!?」」
私とエドの声が同時にハモる。
「な、何で私に惚れ薬を?」
「魔女ぉ! どうしてステラに惚れ薬を渡すんですか!?」
驚く私、そして何故か魔女に文句を言うエド。
「何でって……そんなの決まっているじゃない。復讐したいと思わないの?」
「え? 復讐……?」
「そうよ。だってあなたは10年以上、元婚約者に惚れ薬を飲まされ続けてきた中毒患者なのよ? 今度はあなたが元婚約者に仕返しする番じゃない?」
「それじゃ、エイドリアンに惚れ薬を飲ませろってことですか!?」
「ええ、彼をあなたの虜にして、こっぴどい扱いをしてやるのよ」
エイドリアンに惚れ薬を飲ませる……? 冗談じゃない、あんな男に付き纏われるなんて死んでもいやだ!
「イヤですよ! 大体どうやって惚れ薬を飲ませるっていうんですか!? あんな男に付き纏われたら安心して暮らせません!」
「そうだ! 魔女! 余計なことをしないでくれ!」
再び私と一緒になって文句を言うエド。う~ん……理解できない。
「何よ。面白くない人たちねぇ、楽しいことになりそうだと思ったのに。魔女はね、人生長いから刺激に飢えているのよ」
腕組みして唇を尖らせる魔女。
「生憎、誰かを楽しませるために惚れ薬を使うつもりはありませんから。それに多分エイドリアンはカレンか惚れ薬を飲まされているはずですよ? 私が飲ませたところで効果が出るとは思いませんけど?」
「あら、それなら大丈夫よ。簡単に上書き出来るから。でも折角だから持っていきなさいよ。何かに使えるでしょうから」
「はぁ……そこまで言うなら頂いていきます」
こうして私は魔女から惚れ薬を受け取ると、エドと一緒に魔女の店を後にした。
「よし、それじゃ行こうか? もう一人の魔女に会いに」
「ええ、そうですね。行きましょう」
私とエドは馬車に乗り込むと、次の魔女の店に向かった――
「ええ、勿論よ。任せて頂戴。何しろ、こんなに資金援助してくれたんだから」
魔女は私の問いかけに笑顔で頷き、エドから貰った小切手を見せる。
「これさえ、あれば借金をすぐに全額返済することが出来るわ。これで立ち退かなくてすむわね~」
「もしステラの問題が解決できたら、報酬として更にその小切手の金額を上乗せしてあげますよ」
エドは太っ腹なことを言ってくれる。さすがは王子様だ。
「え!? その話、本当ね!? 分かったわ! 何としても彼女の問題を解決してあげるから!」
……この魔女、余程お金に困っているのだろうか?
「では、よろしくお願いします」
「ええ、あ! ちょっと待って!」
魔女はカウンターの下を覗き込むと、何やらゴソゴソと漁り……手の平に乗りそうな小さな小瓶を取り出した。中には透明な液体が入っている。
「はい、これあなたにあげるわ」
そして私の手に握らせてきた。
「? あの、これは何ですか?」
「勿論、惚れ薬よ」
「「ええ!? 惚れ薬!?」」
私とエドの声が同時にハモる。
「な、何で私に惚れ薬を?」
「魔女ぉ! どうしてステラに惚れ薬を渡すんですか!?」
驚く私、そして何故か魔女に文句を言うエド。
「何でって……そんなの決まっているじゃない。復讐したいと思わないの?」
「え? 復讐……?」
「そうよ。だってあなたは10年以上、元婚約者に惚れ薬を飲まされ続けてきた中毒患者なのよ? 今度はあなたが元婚約者に仕返しする番じゃない?」
「それじゃ、エイドリアンに惚れ薬を飲ませろってことですか!?」
「ええ、彼をあなたの虜にして、こっぴどい扱いをしてやるのよ」
エイドリアンに惚れ薬を飲ませる……? 冗談じゃない、あんな男に付き纏われるなんて死んでもいやだ!
「イヤですよ! 大体どうやって惚れ薬を飲ませるっていうんですか!? あんな男に付き纏われたら安心して暮らせません!」
「そうだ! 魔女! 余計なことをしないでくれ!」
再び私と一緒になって文句を言うエド。う~ん……理解できない。
「何よ。面白くない人たちねぇ、楽しいことになりそうだと思ったのに。魔女はね、人生長いから刺激に飢えているのよ」
腕組みして唇を尖らせる魔女。
「生憎、誰かを楽しませるために惚れ薬を使うつもりはありませんから。それに多分エイドリアンはカレンか惚れ薬を飲まされているはずですよ? 私が飲ませたところで効果が出るとは思いませんけど?」
「あら、それなら大丈夫よ。簡単に上書き出来るから。でも折角だから持っていきなさいよ。何かに使えるでしょうから」
「はぁ……そこまで言うなら頂いていきます」
こうして私は魔女から惚れ薬を受け取ると、エドと一緒に魔女の店を後にした。
「よし、それじゃ行こうか? もう一人の魔女に会いに」
「ええ、そうですね。行きましょう」
私とエドは馬車に乗り込むと、次の魔女の店に向かった――
102
お気に入りに追加
2,259
あなたにおすすめの小説
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。
木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。
しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。
さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。
聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。
しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。
それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。
だがその後、王国は大きく傾くことになった。
フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。
さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。
これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。
しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる