45 / 95
第44話 選ばれた? 私
しおりを挟む
私は魔女に、細かい話は省いて重要部分だけを説明した。
「ふ~ん……つまり、あなたは本来『日本』という異世界に住んでいて、ある日目覚めたらステラという人物の身体に憑依してしまっていた……ということね」
「ええ、そうです。それに私は日本人として生きていた頃に住んでいた部屋の夢を見ます。その夢の世界から取ってきた物品を、この世界に持ち込むことも出来るんですよ」
「それはすごいわね……。召喚術は聞いたことがあるけれども、夢の世界の物を具現化するような魔術は聞いたことがないわ」
魔女は頬杖をつきながら考え込んでいる。
「え? 召喚術? そんな術があるんですか!?」
「そうよ。生憎私にはそんな術は使えないけどね。私が得意なのは薬を作ることだから。でも召喚術とも少し違う気がするし……。だって、その身体に入り込んでしまったのよね? そうなると、やっぱり『魂の交換』とやらが行われたのかも知れないわね……謎だわ」
首をひねる魔女。
「偉大な力を持つ魔女の知り合いはいないんですか?」
私の言葉に魔女は苦笑いする。
「魔女は群れるのが好きじゃないからね。でも満月の夜には集会が行われるのよ。その時は同じ区域に住む魔女達が一斉に集まるわ。」
「そうなんですか」
へ~……本当に魔女の集会って行われているんだ。
「それで、次の集会はいつなんですか?」
「フフフ……聞いて驚きなさいよ。何と、昨日魔女の集会が行われたばかりなのよ! 次の満月まで約一ヶ月、それまで待たないと集会は開催されないのよ!」
「ええ!? な、何でそんな期待を持たせるような言い方をするんですか!」
「まぁ、落ち着きなさい。私なりに次の魔女集会の前に色々調べておくから。でも……どんな方法を使って、中身が別人になったのかはまだ分からないけれど理由は分かった気がするわ。ステラという人物は自分から進んで、あなたをその身体に憑依させたのよ」
「ええ!? 理由が分かったのですか!?」
ステラは日記も何も残していなかったのに!?
「そうよ? 私を誰だと思っているの? 魔女なのよ? しかもその身体からは私の作った惚れ薬の魔力を感じ取れるのだから」
「なら早く理由を教えて下さいよ!」
「惚れ薬はね、1度飲んだだけではそれほど効果が持続しないのよ。だからずっと、自分に惚れさせたい相手がいるときは、何度も何度も飲ませないといけないの。でもあまり長時間惚れ薬を飲まされ続けていると、一生惚れ薬の効果が切れないのよ。……死ぬまで」
「え?」
その言葉にゾクリとした。
「ねぇ。あなたには今、愛してやまない男性はいないの?」
「ええ、いません!」
即答する。
「なるほど。やっぱりね……」
意味深な様子で頷く魔女。
「な、なんですか……?」
何だろう? 非常に嫌な予感がする。
「多分、ステラは惚れ薬の効果から逃れるために命を断ったかもしれない。もしくは、『魂の交換』というものを行ったかもしれないわね。何しろ惚れ薬というものは魂に刻みつけるからね。この人物を愛していると」
「つ、つまりは……?」
自分の声が震えてしまう。
「つまり、あなたはステラに選ばれたということよ」
そして魔女はニコリと笑った――
「ふ~ん……つまり、あなたは本来『日本』という異世界に住んでいて、ある日目覚めたらステラという人物の身体に憑依してしまっていた……ということね」
「ええ、そうです。それに私は日本人として生きていた頃に住んでいた部屋の夢を見ます。その夢の世界から取ってきた物品を、この世界に持ち込むことも出来るんですよ」
「それはすごいわね……。召喚術は聞いたことがあるけれども、夢の世界の物を具現化するような魔術は聞いたことがないわ」
魔女は頬杖をつきながら考え込んでいる。
「え? 召喚術? そんな術があるんですか!?」
「そうよ。生憎私にはそんな術は使えないけどね。私が得意なのは薬を作ることだから。でも召喚術とも少し違う気がするし……。だって、その身体に入り込んでしまったのよね? そうなると、やっぱり『魂の交換』とやらが行われたのかも知れないわね……謎だわ」
首をひねる魔女。
「偉大な力を持つ魔女の知り合いはいないんですか?」
私の言葉に魔女は苦笑いする。
「魔女は群れるのが好きじゃないからね。でも満月の夜には集会が行われるのよ。その時は同じ区域に住む魔女達が一斉に集まるわ。」
「そうなんですか」
へ~……本当に魔女の集会って行われているんだ。
「それで、次の集会はいつなんですか?」
「フフフ……聞いて驚きなさいよ。何と、昨日魔女の集会が行われたばかりなのよ! 次の満月まで約一ヶ月、それまで待たないと集会は開催されないのよ!」
「ええ!? な、何でそんな期待を持たせるような言い方をするんですか!」
「まぁ、落ち着きなさい。私なりに次の魔女集会の前に色々調べておくから。でも……どんな方法を使って、中身が別人になったのかはまだ分からないけれど理由は分かった気がするわ。ステラという人物は自分から進んで、あなたをその身体に憑依させたのよ」
「ええ!? 理由が分かったのですか!?」
ステラは日記も何も残していなかったのに!?
「そうよ? 私を誰だと思っているの? 魔女なのよ? しかもその身体からは私の作った惚れ薬の魔力を感じ取れるのだから」
「なら早く理由を教えて下さいよ!」
「惚れ薬はね、1度飲んだだけではそれほど効果が持続しないのよ。だからずっと、自分に惚れさせたい相手がいるときは、何度も何度も飲ませないといけないの。でもあまり長時間惚れ薬を飲まされ続けていると、一生惚れ薬の効果が切れないのよ。……死ぬまで」
「え?」
その言葉にゾクリとした。
「ねぇ。あなたには今、愛してやまない男性はいないの?」
「ええ、いません!」
即答する。
「なるほど。やっぱりね……」
意味深な様子で頷く魔女。
「な、なんですか……?」
何だろう? 非常に嫌な予感がする。
「多分、ステラは惚れ薬の効果から逃れるために命を断ったかもしれない。もしくは、『魂の交換』というものを行ったかもしれないわね。何しろ惚れ薬というものは魂に刻みつけるからね。この人物を愛していると」
「つ、つまりは……?」
自分の声が震えてしまう。
「つまり、あなたはステラに選ばれたということよ」
そして魔女はニコリと笑った――
88
お気に入りに追加
2,202
あなたにおすすめの小説
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
私が我慢する必要ありますか?【2024年12月25日電子書籍配信決定しました】
青太郎
恋愛
ある日前世の記憶が戻りました。
そして気付いてしまったのです。
私が我慢する必要ありますか?
※ 株式会社MARCOT様より電子書籍化決定!
コミックシーモア様にて12/25より配信されます。
コミックシーモア様限定の短編もありますので興味のある方はぜひお手に取って頂けると嬉しいです。
リンク先
https://www.cmoa.jp/title/1101438094/vol/1/
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。
なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと?
婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。
※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。
※ゆるふわ設定のご都合主義です。
※元サヤはありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる