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7-12 遅れてきた国王の愚かな申し出
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なんのしがらみも無くなった私とミラージュはウキウキしながら2人で台車を引っ張り、ガラガラ大きな音を立てて城を出るべく、長い廊下を歩いていた。メイドやフットマン達は皆青ざめた顔で私とミラージュの進む通路をサッと開けてくれるが、誰もが何か言いたげな目でこちらを見つめている。
「レベッカ様、私達・・随分皆から注目されていると思いませんか?」
隣を歩くミラージュが耳打ちしてきた。
「ええ、確かにそうよね~・・でも、この荷物を見て皆気が付いたんじゃない?私たちがこの城を出て行くって言う事を。」
「あ~言われてみれば確かにそうですね・・・でも誰も引き留めようともしていませんから、このまま門まで行きましょう。」
「ええ、そうね。ミラージュ。ついでに慰謝料替わりに馬2頭と荷馬車を1台貰っていければいいのだけど・・・。」
「そんなの強引に奪ってしまえばいいのですよ。私達2人にかかれば、造作も無い事じゃないですか。まあ・・最も盗む事になってしまいますが・・・。」
「そうね。確かに盗むのは良くないわ・・・でもね、ミラージュ。私はこの国の為に随分貢献してきたわ。なーんにも採掘出来なかったオーランド国の山を鉱山が取れる山にしてあげたし、山の中には高級キノコが生えている。漁に出ればいつも大漁、気候は安定し、台風すらやってこない・・。こんなに色々尽くしてあげたのだから当然の報酬として貰ってもいいはずよ。」
「そうですね。ならまず初めに厩舎へ向かいましょう。」
そして私たちは大きな台車を引っ張りながらさらに歩みを進めた―。
10分ほど歩き続け、ようやく私たちの前に広々としたエントランスが現れた。
「ふう・・やっと着きましたね~・・。」
ミラージュが大きな扉を開ける為に台車から手を離した。その時―。
「ま、待ってくれっ!一体どこへ行こうと言うのだっ?!」
聞きなれない声が背後で響き渡った。
「「?」」
訝しみながら私とミラージュは振り返ると、そこにはあの馬鹿兄弟によく似た面立ちの50代ほどの男性が立っていた。金の糸で刺繍が施された立派な青いウェストコートにえんじ色のベルベットのトラウザーに皮のロングブーツ姿・・・この身なりからすると・・うん、間違いは無いだろう。
男性は名乗りもせずに、いきなりべらべらとまくし立てて来た。
「そなたが・・・オーランド王国から嫁いできたレベッカ皇女だろう?外遊先でそなたに関する様々な噂を耳にしたよ。それに大臣たちからの報告でも分かったが・・・そなたがこの国に嫁いできてからはこの国は今まで以上に潤ったそうじゃないか!そなたこそ、わが国にもたらされた幸運の女神に間違いは無いだろう。本当にオーランド王国の国王には感謝しかない。礼を言いたいが・・・あいにく・・そなたの国は滅んでしまったから・・今ではそれも叶わないが・・・。」
コホンと咳ばらいをしながら国王は言う。
「後ろに控えている大臣たちから聞いたよ。あの間抜けなアレックスはそなたを散々ないがしろにしてきたとな・・・。あ奴があのような男に育ってしまったのは全て私の責任。恐らくその荷物・・・この国を出るつもりなのであろう?だが、そのような必要はない。アレックス皇子との結婚は白紙に戻そう。そしてレベッカ皇女には新たに第一皇子ランスを夫にしてやろう。幸い、ランスはあ奴とは違って女癖は悪くない。それよりもそなたをとても可愛らしい女性で惚れてしまったと申しておった。なので今日からはランスを夫とするがよい!」
まるで完璧な申し出だろうと言わんばかりの国王。そして、背後に控えた大臣たちは満足そうに笑みを浮かべて私を見ていた―。
「レベッカ様、私達・・随分皆から注目されていると思いませんか?」
隣を歩くミラージュが耳打ちしてきた。
「ええ、確かにそうよね~・・でも、この荷物を見て皆気が付いたんじゃない?私たちがこの城を出て行くって言う事を。」
「あ~言われてみれば確かにそうですね・・・でも誰も引き留めようともしていませんから、このまま門まで行きましょう。」
「ええ、そうね。ミラージュ。ついでに慰謝料替わりに馬2頭と荷馬車を1台貰っていければいいのだけど・・・。」
「そんなの強引に奪ってしまえばいいのですよ。私達2人にかかれば、造作も無い事じゃないですか。まあ・・最も盗む事になってしまいますが・・・。」
「そうね。確かに盗むのは良くないわ・・・でもね、ミラージュ。私はこの国の為に随分貢献してきたわ。なーんにも採掘出来なかったオーランド国の山を鉱山が取れる山にしてあげたし、山の中には高級キノコが生えている。漁に出ればいつも大漁、気候は安定し、台風すらやってこない・・。こんなに色々尽くしてあげたのだから当然の報酬として貰ってもいいはずよ。」
「そうですね。ならまず初めに厩舎へ向かいましょう。」
そして私たちは大きな台車を引っ張りながらさらに歩みを進めた―。
10分ほど歩き続け、ようやく私たちの前に広々としたエントランスが現れた。
「ふう・・やっと着きましたね~・・。」
ミラージュが大きな扉を開ける為に台車から手を離した。その時―。
「ま、待ってくれっ!一体どこへ行こうと言うのだっ?!」
聞きなれない声が背後で響き渡った。
「「?」」
訝しみながら私とミラージュは振り返ると、そこにはあの馬鹿兄弟によく似た面立ちの50代ほどの男性が立っていた。金の糸で刺繍が施された立派な青いウェストコートにえんじ色のベルベットのトラウザーに皮のロングブーツ姿・・・この身なりからすると・・うん、間違いは無いだろう。
男性は名乗りもせずに、いきなりべらべらとまくし立てて来た。
「そなたが・・・オーランド王国から嫁いできたレベッカ皇女だろう?外遊先でそなたに関する様々な噂を耳にしたよ。それに大臣たちからの報告でも分かったが・・・そなたがこの国に嫁いできてからはこの国は今まで以上に潤ったそうじゃないか!そなたこそ、わが国にもたらされた幸運の女神に間違いは無いだろう。本当にオーランド王国の国王には感謝しかない。礼を言いたいが・・・あいにく・・そなたの国は滅んでしまったから・・今ではそれも叶わないが・・・。」
コホンと咳ばらいをしながら国王は言う。
「後ろに控えている大臣たちから聞いたよ。あの間抜けなアレックスはそなたを散々ないがしろにしてきたとな・・・。あ奴があのような男に育ってしまったのは全て私の責任。恐らくその荷物・・・この国を出るつもりなのであろう?だが、そのような必要はない。アレックス皇子との結婚は白紙に戻そう。そしてレベッカ皇女には新たに第一皇子ランスを夫にしてやろう。幸い、ランスはあ奴とは違って女癖は悪くない。それよりもそなたをとても可愛らしい女性で惚れてしまったと申しておった。なので今日からはランスを夫とするがよい!」
まるで完璧な申し出だろうと言わんばかりの国王。そして、背後に控えた大臣たちは満足そうに笑みを浮かべて私を見ていた―。
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