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6-15 私の理性のタガが僅かに外れる時
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「お話はそれだけでしょうか?アレックス様。」
私はスッと椅子から立ち上るとアレックス皇子を見下ろした。
「ん?何故今お前は立ち上がった?俺の話はまだ済んでいないぞ?」
アレックス皇子は腕組みをし、眉間にしわを寄せながら私を見上げた。だけどこれ以上、くだらない・・・アレックス皇子とリーゼロッテのどうでもよいホラ話を聞く気は私には一切無かった。だってこの皇子は私の堪忍袋の緒を切ってしまったのだから。とにかく私の理性が保てるうちに要求を伝えなければ・・・。
「アレックス様・・・もう一度尋ねます。ミラージュは何処にいるのですか?今すぐ私の元へ彼女を返して下さい。」
「お前・・誰が勝手に口を聞いていいと言った?俺の話は、まだ済んで無いのだから許可なく勝手に話をするな。」
「もう、うるさいです。」
これ以上勝手にしゃべらせるのはやめよう。
「な、何?お前、今何て口を・・ムグッ!」
取り合えず、自由に口を動かせないようにしておこう。
「ん?んん~っ?!」
アレックス皇子は突然自分の上唇と下唇が磁石のようにくっつき、離れなくなってしまった事に驚き、必死で両手で口をこじ開けようと悪戦苦闘している。
「今までアレックス様は好き勝手話をしてきたのですから今度は私が話をする番です。お静かに願います。」
「んぐ~っ!」
アレックス皇子は頭に来たのか、立ち上がった。
「立たないで下さい。」
ドスンッ!
私の言葉にアレックス皇子は大きな音を立てて不自然な座り方をした。
「誰が立って良いと言いましたか?私はアレックス様に席を立つ許可も、勝手に口を開く許可も与えていませんよ?」
アレックス皇子青ざめながら私をじっと見つめている。
「今からアレックス様には私の質問に答える時だけ発言の許可を与えます。いいですね?では質問です。ミラージュは今どこにいるのですか?」
私はアレックス皇子の口元を開放してやった。
「お、お前・・一体俺に何を・・ムグッ!」
再びアレックス皇子の口は塞がれた。
「アレックス様・・・私、質問に答える時だけ、発言の許可を与えますって言いましたよね?それ以外の発言は認めません。・・・おや?何だかお顔の色がすぐれませんねえ・・・青ざめていますよ?」
私は一歩アレックス皇子に近付いた。
「!」
途端にビクリとなるアレックス皇子。
「さあ、ミラージュの居場所を教えて下さい。」
再度口を解放してあげる。
「?あ、お、お前・・!」
文句を言いかけて、アレックス皇子はバッと自分の口元を覆いながら言う。そんな事しても無駄なのに。
「う・・お、お前の侍女は・・以前俺が話した・・・小島に浮かぶ城で・・侍女教育と言う名目で城の大掃除をさせている。城は大分老朽化が進んでいたからな。ついでに大工仕事も手伝わせているそうだ。」
「そうですか・・・。私の大切な侍女なのに、何の相談も無く、しかも侍女教育と嘘をついて、許可も無く勝手に連れていったと言う事ですね?」
「あ、ああ・・・そうだっ?!悪いかっ?!何か文句でもあるのか?俺はこの国の次期国王になるのだ!お前の所有物を俺がどうこうしようが自由だろう?!大体あの女は前から気に入らなかったのだ。気は強いし、すぐにヒステリックにギャーギャー騒ぐし・・繊細なリーゼロッテがどれほど怯えていたかお前のようなガサツな女には分かるまいっ?!」
は・・・?
この皇子は一体誰に向かってそんな口を叩いているのだろう・・・?
バチッ!
ついに・・・理性で押さえていた感情の一部のタガが外れ、私は自分の身体から火花が飛び散るのを感じた―。
私はスッと椅子から立ち上るとアレックス皇子を見下ろした。
「ん?何故今お前は立ち上がった?俺の話はまだ済んでいないぞ?」
アレックス皇子は腕組みをし、眉間にしわを寄せながら私を見上げた。だけどこれ以上、くだらない・・・アレックス皇子とリーゼロッテのどうでもよいホラ話を聞く気は私には一切無かった。だってこの皇子は私の堪忍袋の緒を切ってしまったのだから。とにかく私の理性が保てるうちに要求を伝えなければ・・・。
「アレックス様・・・もう一度尋ねます。ミラージュは何処にいるのですか?今すぐ私の元へ彼女を返して下さい。」
「お前・・誰が勝手に口を聞いていいと言った?俺の話は、まだ済んで無いのだから許可なく勝手に話をするな。」
「もう、うるさいです。」
これ以上勝手にしゃべらせるのはやめよう。
「な、何?お前、今何て口を・・ムグッ!」
取り合えず、自由に口を動かせないようにしておこう。
「ん?んん~っ?!」
アレックス皇子は突然自分の上唇と下唇が磁石のようにくっつき、離れなくなってしまった事に驚き、必死で両手で口をこじ開けようと悪戦苦闘している。
「今までアレックス様は好き勝手話をしてきたのですから今度は私が話をする番です。お静かに願います。」
「んぐ~っ!」
アレックス皇子は頭に来たのか、立ち上がった。
「立たないで下さい。」
ドスンッ!
私の言葉にアレックス皇子は大きな音を立てて不自然な座り方をした。
「誰が立って良いと言いましたか?私はアレックス様に席を立つ許可も、勝手に口を開く許可も与えていませんよ?」
アレックス皇子青ざめながら私をじっと見つめている。
「今からアレックス様には私の質問に答える時だけ発言の許可を与えます。いいですね?では質問です。ミラージュは今どこにいるのですか?」
私はアレックス皇子の口元を開放してやった。
「お、お前・・一体俺に何を・・ムグッ!」
再びアレックス皇子の口は塞がれた。
「アレックス様・・・私、質問に答える時だけ、発言の許可を与えますって言いましたよね?それ以外の発言は認めません。・・・おや?何だかお顔の色がすぐれませんねえ・・・青ざめていますよ?」
私は一歩アレックス皇子に近付いた。
「!」
途端にビクリとなるアレックス皇子。
「さあ、ミラージュの居場所を教えて下さい。」
再度口を解放してあげる。
「?あ、お、お前・・!」
文句を言いかけて、アレックス皇子はバッと自分の口元を覆いながら言う。そんな事しても無駄なのに。
「う・・お、お前の侍女は・・以前俺が話した・・・小島に浮かぶ城で・・侍女教育と言う名目で城の大掃除をさせている。城は大分老朽化が進んでいたからな。ついでに大工仕事も手伝わせているそうだ。」
「そうですか・・・。私の大切な侍女なのに、何の相談も無く、しかも侍女教育と嘘をついて、許可も無く勝手に連れていったと言う事ですね?」
「あ、ああ・・・そうだっ?!悪いかっ?!何か文句でもあるのか?俺はこの国の次期国王になるのだ!お前の所有物を俺がどうこうしようが自由だろう?!大体あの女は前から気に入らなかったのだ。気は強いし、すぐにヒステリックにギャーギャー騒ぐし・・繊細なリーゼロッテがどれほど怯えていたかお前のようなガサツな女には分かるまいっ?!」
は・・・?
この皇子は一体誰に向かってそんな口を叩いているのだろう・・・?
バチッ!
ついに・・・理性で押さえていた感情の一部のタガが外れ、私は自分の身体から火花が飛び散るのを感じた―。
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