政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います

5-8 おしおき開始？

　午後3時―

「う～ん・・・。」

青空の下・・青々と緑が生い茂る草原でアレックス皇子が目を開けた。

「あ！アレックス様！目が覚めたんですねっ？！」

私の声に意識が覚醒したのか、自分の置かれている状況にアレックス皇子は悲鳴を上げた。

「うわああああっ？！な、何だ？！これはっ！」

そう、アレックス皇子が悲鳴を上げたのは無理もない。ここは盗賊集団の住む村のな中にある牧草地帯で、家畜として飼育されている馬が放し飼いにされている。そしてアレックス皇子の近くには3頭の馬が放牧されていた。そんな中、彼はぶざまにも地面に打たれた杭に両手両足を広げた状態で地面にロープで括りつけられていた。ちなみに私は近くの木にロープで縛りつけらている。勿論、これは・・・人質のフリなのだけど。

「おや？やっとお目覚めかい？皇子様？」

するとそこへ打ち合わせ通りにアマゾナが大勢の手下達を引き連れて現れると、アレックス皇子に近付いてきた。

「お・・お前は・・宿屋の女っ！まさかお前が犯人だったのか？！俺たちを眠らせたのは・・！」

今更気付いたのかと突っ込みを入れたくなるほどのアレックス皇子の言葉。いや、それ以前に私が最初に誘拐されているのですが・・そこは無視をされているようだ。

「ああ、そうさ。あの女じゃ身代金を取れない事が分かったからね・・・だからお前自身から身代金を奪う事に決めたのさ。」

アマゾナは私の方を振り返りながら・・軽くウィンクをした。
するとアレックス皇子が木に縛り付けられている私の方に首を捻じ曲げると叫んだ。

「この・・馬鹿っ！一体何やってるんだ！お前迄捕まってどうするんだ！私が何とかしますと言ったのは、あれは嘘か？はったりかっ？！」

「え・・・？」

何と言う物の言い方だろう。あんな手も足も出せないような無様な姿で地面に縛りつけられているのに、まだ私に文句を言てくるのだから大したものだ。しかも演技ではあるけれど・・・私が引っぱたかれて？いる様子・・・ロッカーの中で聞いていましたよね？てっきりほんの少しでも私の身を案じてくれているかと思っていたのに・・。やはり期待していた私が愚かだったのかもしれない。

「・・まったく・・！」

流石のアマゾナもアレックス皇子のクズっぷりにドン引きした様子で、額を右手で押さえてため息をつくと言った。

「さあ、どうだい？あんた・・・そんな姿じゃ手も足も出まい？大人しく金品を渡しな？」

「断るっ！そ、そんな事より俺を放せっ！」

アレックス皇子は余程ケチなのだろうか？あれほどに立派な馬車を所有しているのだから、おとなしく身ぐるみはがされてしまえばいいのに・・そうすれば私もスカッとするのだけど・・・。

「ほーう・・・兄ちゃん・・そんな口を聞けるのは・・今の内だぞ？」

アマゾナは腕組みすると背後に立つ手下の男に命じる。

「おい・・やってやんな。」

「はい。」

男の手にはバケツが握り締められている。そして無言でアレックス皇子に近付いていく。

「お、おい？何だ？お前は・・俺に何をするつもりなんだ？！え、ちょっと待て・・・そのバケツをどうするつもり・・・ブワッ！！」

男はアレックス皇子に最後まで話をさせず、顔面にドロリとした黄金色の液体をぶちまけた。

「うわ・・・っ！気持ち悪いっ！何だ？これは！べ、べたべたする・・しかも甘い・・ハチミツかっ？！」

アレックス皇子は顔面と髪にベッタリとへばりつくハチミツに身もだえしながら叫んだ。

「ああ？そうだよ？どうだ・・旨いだろう？」

アマゾナは満足そうに言う。
へぇ～・・・ハチミツか・・いいなあ、甘くて美味しそう・・・・。
実はここから先の展開を私は知らない。ただ、ほんの少しアマゾナにアレックス皇子を懲らしめてやって欲しいとお願いしただけなのだ。
さぁ・・・この先どんな展開がアレックス皇子に待ち受けているのか・・。
私は木に縛り付けられたまま、ワクワクしながら様子をうかがうことにした―。