政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います

結城芙由奈@コミカライズ発売中

文字の大きさ
上 下
61 / 118

4-13 突入!

しおりを挟む
「秘策・・・?何だかとても興味深げな話だな?良ければ俺にもその話・・混ぜて貰えないだろうか?」

サミュエル皇子が面白そうに声を掛けてきた。

「そうですねぇ~・・ところでアレックス皇子からなーんにもここに滞在中の予定を聞いていないのですが・・いつまでここにいる予定なんでしょうか?」

「そうだな・・・一応俺は残り後3日間滞在していけばいいと声を掛けてあるんだが・・このままここに滞在するか・・帰るかはアレックス次第だな?」

顎に手をやりながらサミュエル皇子は言う。

「なるほど・・予定は未定というわけですね?では・・お願いがあります。私のお願いを聞いて下されば・・・サミュエル皇子にとっておきの加護を与えますよ?」

私はにっこり笑みを浮かべた―。



 やがてダンスの時間が終わり、サミュエル皇子はこれから司会の仕事をしてこなければならないからと去って行った。そしてダンスを終えた人々が今度は立食テーブルにぞろぞろと集まってき始めた。
アレックス皇子は・・どこだろう・・?

「あ、いた!」

アレックス皇子は先ほど一緒にダンスを踊っていた女性(会場の人々に妻と偽った)と仲睦まじ気にテーブルに近付いて来たので、私は会場を後にした。



「フフフ・・明日から楽しみだわ・・・。」

笑みを浮かべながら私は自分の部屋に向かいつつ月明りに照らされた廊下を歩いていた。

「ミラージュ・・。滞在日数が少し伸びるかもしれないけれど・・待っていてね。」

そして月を見上げながら呟いた・・・。


****

翌朝7時―

カチャリ・・・

 部屋の扉をそっと開け・・・私はまだ眠っているアレックス皇子の部屋へと足音をを忍ばせて、部屋へと入って行く。そしてその後ろをついて来るサミュエル皇子。
2人で遠目からベッドの様子をうかがってみるとブランケットがこんもりと2つの山を作っている。そっとベッドに近付くと、やはり思った通り、そこにはアレックス皇子と・・こちらに背を向けて、薄絹をまとった昨夜の女性とはまた別の女性が規則正しく寝息を立てて眠っている。うん、2人とも・・熟睡しているようだ。
私とサミュエル皇子は互いに頷きあうと、一斉にカーテンを左右に開いた。

シャッ!!

カーテンが音を立てて大きく左右に開かれると、途端に部屋の中には眩しい朝日が差し込み、ベッドの上にいる2人の顔を直撃する。

「うわっ?!ま、眩しいっ!!」

「キャアッ?!な、何よっ!」

2人は一斉に飛び起き・・・私とサミュエル皇子を交互に見て声を上げた。

「うああああっ!な、何故お前らがここにいるんだっ?!」

「い、いや!見ないでっ!」

女性はシースルーでほぼ裸に近いナイトウェア姿が恥ずかしいのか頭からブランケットを被ってしまった。

「おはようございます。アレックス様。」

私はニコニコしながらアレックス皇子を見る。

「おはよう、アレックス。昨夜はお楽しみの夜だったようだな?」

サミュエル皇子はニヤニヤと意味深な笑みを浮かべながらアレックス皇子に声を掛けて、ブランケットの下にいる女性に声を掛けた。

「おや・・・確か貴女はレイニー伯爵の後妻でいらっしゃるジョディ婦人ではありませんか?」

すると・・・ビクリと毛布の下で身体が動いた。

「まあ・・そうなんですか?サミュエル皇子。この方は既婚者だったのですね?」

私はサミュエル皇子に声を掛ける。

「ああ・・そうだ。とにかくこのジョディ婦人は独身時代から何かと男性の噂が絶えない方でねぇ・・。」

「おいっ!やめろっ!それ以上言ったら、いくらお前でも許さないぞっ?!それにこれは・・そんなんじゃないんだっ!」

アレックス皇子が顔を真っ赤に染めて激怒しているが、ベッドの上で上半身裸の状態では説得力に欠けてしまう。

「そんなんじゃない・・・。それでは一体どんな理由があるんですか?」

私むやみやたらにニコニコしながらアレックス皇子に尋ねた―。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

前世と今世の幸せ

夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】 幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。 しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。 皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。 そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。 この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。 「今世は幸せになりたい」と ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...