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1-10 参加出来ない!
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ミラージュは仁王立ちになって爺やさんの前に立ちはだかると言った。
「一体どういう事なのでしょうか?明日はアレックス皇子とレベッカ様の結婚式ですよね・・・?それなのにどうして国王陛下は外遊中・・遊びに出掛けられているのですか?まるで陛下が不在の時を狙って急いで式を挙げようとしているみたいに感じますよ?これでは何か結婚式に裏があると思われても仕方ありませんよねぇ?」
「ヒイイイイ・・!お、お許しを・・・!す、全てお坊ちゃまの仰るとおりに私はしているだけで・・お仕えしている身分としては・・さ、逆らえないのですよっ!」
爺やさんは再び床にうずくまり、ヒイヒイ泣いている。
「ええいっ!泣くんじゃありません!」
「お、落ち着いて!ミラージュ、もう・・もういいから。ね?爺やさんもあんなに泣いてるし・・。ほら・・・深呼吸して。」
私はミラージュの肩をポンポン叩いて落ち着かせる。だってこれ以上ミラージュを興奮させたら本性が現れてしまいかねないから。
「す~は~す~は~。」
ミラージュは深呼吸を繰り返し・・ようやく落ち着いたのか、再びソファに座ると言った。
「わ、分りました・・・。今更騒いでも不在ならばしかたありませんからね・・・。ところで今夜何時から宴が始まるのですか?こちらもそれなりの準備がありますので詳しい話をお聞かせください。」
ミラージュの言葉に私も頷いた。
「ええ、そうね。爺やさん。宴に参加されるのはどのような方々なのですか?主催の内容によってドレスを選ぶ必要もありますし・・。」
すると・・・。
「え?」
爺やさんがギョッとした顔をこちらに向け・・次に信じられない言葉を口にした。
「あ、あの・・・もしかしてご出席されるおつもり・・ですか・・?」
「「え?」」
私とミラージュの声が重なる。
「爺やさん・・・。」
はぁ~と深いため息をつきながらミラージュは右手で自分の額を押さえると言った。
「今夜開かれる宴と言うのは・・明日のアレックス皇子様とレベッカ様の結婚式の前夜祭・・・なのではないですか?」
「え、ええ・・・そうなのですが・・。」
「あら、それなら尚更私は出席しなければなりませんね?アレックス皇子様に恥をかかせるわけには参りませんから。」
ニコニコしながら私は言った。
「そ、それが・・レベッカ様は・・・宴に出る事が・・・。で、出来ないのです・・。ア、アレックス様のご命令なので・・ど、どうか・・遠慮して頂けないでしょうか・・?」
爺やさんはダラダラ額から大量の汗を掻き始めながら苦し気に語りだした。
「キャアッ!な、何なんですか?その汗は!それにどうしてレベッカ様は参加できないのか納得する説明をして下さいっ!」
ミラージュがバンバンとテーブルを右手で叩きながら爺やさんに詰め寄る。
「あ、こ・これは・・・そう!年よりは・・・時々大量に汗を掻くことがあるのです。自然現象なので・・ど、どうかお気になさらずに。そ、それで・・その宴ですが・・・じ、実は・・えっと・・独身男性だけが参加できる宴なのですっ!度、独身最後の夜を・・その、皆で楽しもうと・・な、なので例え花嫁であろうと参加は出来ないのですっ!」
爺やさんは言い切ると、ポケットからハンカチを取り出して汗を拭き始めた。
「本当ですか~・・・どうにも怪しいものですね・・・。」
ミラージュは腕組みをしながら爺やさんをじろりと睨んで威嚇している。
確かにミラージュの言う通り、傍から見ればどうにも苦しい言い訳をしているようにしか思えない。けれど・・・。
「ミラージュ、爺やさんを責めても仕方ないわ。だってこの方はアレックス皇子様の命令を聞かなくてはならない・・苦しい立場の方なのですから、宴に出るのは諦めましょう?」
優しくミラージュに語り掛ける。
「レベッカ様・・・うう・・何て心の広いお方なのでしょう・・。」
ミラージュは私の両手をガシッと握りしめ、感動に打ち震えていたが・・すぐに爺やさんを鋭い目で睨み付けると言った。
「爺やさん、そろそろお昼になりますね?すぐにレベッカ様にお食事を御用意して下さい!」
「は、はい!すぐに伝えて参りますっ!」
爺やさんは嬉しそうに笑みを浮かべながら部屋を逃げるように出て行った。
バタン
部屋のドアが閉ざされるとミラージュは口を開いた。
「見ましたか?あの爺やさんの嬉しそうな顔・・・あれはやっと私達から解放された事を喜んでいる顔ですよ!」
ミラージュは爪を噛みながら言う。
「ミラージュ・・。落ち着いてね。本性が現れ始めてるから。」
「え・・キャアッ!ほ、本当だわっ!」
ミラージュは自分の頭に手を触れて・・・悲鳴を上げた―。
「一体どういう事なのでしょうか?明日はアレックス皇子とレベッカ様の結婚式ですよね・・・?それなのにどうして国王陛下は外遊中・・遊びに出掛けられているのですか?まるで陛下が不在の時を狙って急いで式を挙げようとしているみたいに感じますよ?これでは何か結婚式に裏があると思われても仕方ありませんよねぇ?」
「ヒイイイイ・・!お、お許しを・・・!す、全てお坊ちゃまの仰るとおりに私はしているだけで・・お仕えしている身分としては・・さ、逆らえないのですよっ!」
爺やさんは再び床にうずくまり、ヒイヒイ泣いている。
「ええいっ!泣くんじゃありません!」
「お、落ち着いて!ミラージュ、もう・・もういいから。ね?爺やさんもあんなに泣いてるし・・。ほら・・・深呼吸して。」
私はミラージュの肩をポンポン叩いて落ち着かせる。だってこれ以上ミラージュを興奮させたら本性が現れてしまいかねないから。
「す~は~す~は~。」
ミラージュは深呼吸を繰り返し・・ようやく落ち着いたのか、再びソファに座ると言った。
「わ、分りました・・・。今更騒いでも不在ならばしかたありませんからね・・・。ところで今夜何時から宴が始まるのですか?こちらもそれなりの準備がありますので詳しい話をお聞かせください。」
ミラージュの言葉に私も頷いた。
「ええ、そうね。爺やさん。宴に参加されるのはどのような方々なのですか?主催の内容によってドレスを選ぶ必要もありますし・・。」
すると・・・。
「え?」
爺やさんがギョッとした顔をこちらに向け・・次に信じられない言葉を口にした。
「あ、あの・・・もしかしてご出席されるおつもり・・ですか・・?」
「「え?」」
私とミラージュの声が重なる。
「爺やさん・・・。」
はぁ~と深いため息をつきながらミラージュは右手で自分の額を押さえると言った。
「今夜開かれる宴と言うのは・・明日のアレックス皇子様とレベッカ様の結婚式の前夜祭・・・なのではないですか?」
「え、ええ・・・そうなのですが・・。」
「あら、それなら尚更私は出席しなければなりませんね?アレックス皇子様に恥をかかせるわけには参りませんから。」
ニコニコしながら私は言った。
「そ、それが・・レベッカ様は・・・宴に出る事が・・・。で、出来ないのです・・。ア、アレックス様のご命令なので・・ど、どうか・・遠慮して頂けないでしょうか・・?」
爺やさんはダラダラ額から大量の汗を掻き始めながら苦し気に語りだした。
「キャアッ!な、何なんですか?その汗は!それにどうしてレベッカ様は参加できないのか納得する説明をして下さいっ!」
ミラージュがバンバンとテーブルを右手で叩きながら爺やさんに詰め寄る。
「あ、こ・これは・・・そう!年よりは・・・時々大量に汗を掻くことがあるのです。自然現象なので・・ど、どうかお気になさらずに。そ、それで・・その宴ですが・・・じ、実は・・えっと・・独身男性だけが参加できる宴なのですっ!度、独身最後の夜を・・その、皆で楽しもうと・・な、なので例え花嫁であろうと参加は出来ないのですっ!」
爺やさんは言い切ると、ポケットからハンカチを取り出して汗を拭き始めた。
「本当ですか~・・・どうにも怪しいものですね・・・。」
ミラージュは腕組みをしながら爺やさんをじろりと睨んで威嚇している。
確かにミラージュの言う通り、傍から見ればどうにも苦しい言い訳をしているようにしか思えない。けれど・・・。
「ミラージュ、爺やさんを責めても仕方ないわ。だってこの方はアレックス皇子様の命令を聞かなくてはならない・・苦しい立場の方なのですから、宴に出るのは諦めましょう?」
優しくミラージュに語り掛ける。
「レベッカ様・・・うう・・何て心の広いお方なのでしょう・・。」
ミラージュは私の両手をガシッと握りしめ、感動に打ち震えていたが・・すぐに爺やさんを鋭い目で睨み付けると言った。
「爺やさん、そろそろお昼になりますね?すぐにレベッカ様にお食事を御用意して下さい!」
「は、はい!すぐに伝えて参りますっ!」
爺やさんは嬉しそうに笑みを浮かべながら部屋を逃げるように出て行った。
バタン
部屋のドアが閉ざされるとミラージュは口を開いた。
「見ましたか?あの爺やさんの嬉しそうな顔・・・あれはやっと私達から解放された事を喜んでいる顔ですよ!」
ミラージュは爪を噛みながら言う。
「ミラージュ・・。落ち着いてね。本性が現れ始めてるから。」
「え・・キャアッ!ほ、本当だわっ!」
ミラージュは自分の頭に手を触れて・・・悲鳴を上げた―。
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