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絵の具。
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放課後。今は使われていない「旧美術室」彼女はそこに立っていた。
床一面に広がった画用紙に青い絵の具を落としてゆく。
適当に落としているかのように見える。だが、それは意外にも正確に…綺麗に落ちてゆく。
彼女の足下…画用紙はたちまち綺麗な青に染まる。
美しい青に。美しさと、儚さと。どこか力強さも感じる。彼女の足下に目を奪われる。
惚けていて気が付かなかった。彼女の手に何が持たれているかを。
次、僕が彼女を見たときには。黒い液体が宙を舞っていた。何かを考える前に音がした。
「バシャッ……」
彼女の足下は黒く染まった。勿論、画用紙も。彼女が黒い絵の具で汚した。描いた彼女が。
あの美しい。儚い。力強い絵を。
僕はなんとも言えない落胆感を覚えた。身体の力が抜けていくような感覚に陥った。それなのに。彼女は
「なんでそんなに満足そうなの……?」
満足そうに笑っていたんだ。
床一面に広がった画用紙に青い絵の具を落としてゆく。
適当に落としているかのように見える。だが、それは意外にも正確に…綺麗に落ちてゆく。
彼女の足下…画用紙はたちまち綺麗な青に染まる。
美しい青に。美しさと、儚さと。どこか力強さも感じる。彼女の足下に目を奪われる。
惚けていて気が付かなかった。彼女の手に何が持たれているかを。
次、僕が彼女を見たときには。黒い液体が宙を舞っていた。何かを考える前に音がした。
「バシャッ……」
彼女の足下は黒く染まった。勿論、画用紙も。彼女が黒い絵の具で汚した。描いた彼女が。
あの美しい。儚い。力強い絵を。
僕はなんとも言えない落胆感を覚えた。身体の力が抜けていくような感覚に陥った。それなのに。彼女は
「なんでそんなに満足そうなの……?」
満足そうに笑っていたんだ。
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