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36.記憶を辿る《発動》
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ここはどこ……?
自分の意志とは関係なく、意識がどこかに引っ張られていく。
『もう一度繰り返すことで失った記憶を取り戻すじゃろう。よいか、カロック。すべてを思い出したら目覚めろ、決してその場に踏みとどまるな。そこは現実ではない。待っておる者がこっちにいることを忘れ……』
そうか、長老の言葉を聞ながら私は眠ったのだ。と思いながら、夢の中でまた眠りに落ちていく感覚を覚えたのだった。
◇ ◇ ◇
あれ? なんか体が痛い気がするような……?
変だなと思いながら目を開けると、やっぱり体中が痛かった。
「痛ったた……」
「アリスミ! 良かった、目覚めて。本当に心配したのよー」
声は聞こえるのにロザリーの姿は見えなかった。なぜならザインが覆いかぶさるようにして、私の顔を覗き込んでいたからだ。
彼の右眉がほんの少しだけ中央に寄っている。これは妻の私だけが知っている、心配している顔だった。
私、助かったんだ……。
なぜ痛むのか分かった。
巡回している時に、閃光に包まれ地面に叩きつけられたからだ。あの時は死を覚悟したけれど、これくらいの痛みで済んでいるのだから、今思うと大袈裟だったと恥ずかしくなる。
「カロックさん、異常は見られませんので帰って構いません。打撲による痛みは二週間ほどでなくなります」
そう告げてきた医者に、私は一緒にいた魔術師の具合を尋ねた。私が助かったのだから、きっと彼女もという軽い気持ちで。
「あなたが巻き込まれた事故は、五等級が不用意に術式を重ねたため起きました。きっと小さな綻びの修復など自分にも出来ると功を焦ったのでしょうね。偶にそういう者がいますが、今回、その代償は大きかったです。彼女は命を落としました」
「……そうだったんですね」
そう言えば、途中で彼女は立ち止まり、その後に閃光が走ったのだ。彼女自身が過ちを犯した結果だとしても、命が失われたことは辛かった。
医者は痛み止めの薬を近くに置いてから、お大事にと言って部屋を出ていった。
「ちょっと、どきなさいよ! 寝起きに見飽きた顔なんて見たくないわよ。そうよね? アリスミ」
「ふふ、そんなことはないわ。でも、親友の顔も見たいな」
「ほら、妻の願いを叶えなさいよ」
ザインが少しだけ右によると、ロザリーは強引に前に出てくる。
彼女は彼に対していつもこんな感じだ。……親友の夫だが、兎に角気に入らないらしい。
私とザインが結婚してもう五年が経つ。アティカという子供にも恵まれ、幸せな家庭を築いているのだが、表向きはまだ恋人同士となっている。
――それには深い理由があった。
五年前、一等級魔術師の妻子が立て続けに亡くなり、他国の干渉――つまり上位魔術師の家族が狙われた可能性が浮上した。なので、はっきりするまでは婚姻の事実を伏せるようにと、魔術師長から言われたのだ。
調査は難航し結果が出たのが三年後で、結局は不慮の事故が重なっただけだった。
この時に結婚の事実を明かしても良かったのだが、私達は控えることにした――息子のために。
アティカは魔力過多だったが、驚くほど上手く魔力と付き合えていて、一度も魔力暴走を起こすことなく二歳になっていた。父であるザインの存在が大きいのだが、この落ち着いた環境も良い影響を与えていると私達は考えた。
院長先生の協力のもと、昼間アティカは『ただの子供』として色眼鏡で見られることなく過ごせている。しかし、公にしたら『あの最上位の息子』となってしまう。
そうなれば静かに暮らすことが難しくなり、魔力暴走に繋がってしまうかもしれない。
あくまでも可能性。しかし、その可能性を増やしたくなかった。
だから、私達はアティカがもう少し大きくなるまで、この環境を維持することにしたのだ。
この判断は正解だったと思っている。今年で四歳になったアティカは健やかに成長していた。
結婚の事実を知っているのは一部の人達だけ。
彼らがみな上の立場だからこそ、この結婚を上手く隠し通せていた。権力さまさまである。
その中には私の親友ロザリーもいた。彼女は子供嫌いのはずなのに、アティカのことは『アリスミの子は特別!』と可愛がってくれている。
ふと窓のほうを見ると、部屋の奥まで陽の光が差し込んでいた。
そろそろアティカのお迎えの時間だ。院長先生は融通を利かせるくれるけど、今日は早く帰ると約束したから、早めに迎えに行ってあげたい。
「ザイン、私は報告書を提出してから帰るわね」
「……私が行きます」
「ありがとう、ティカをよろしくね。たぶん私のほうが先に家に着くと思うから、ご飯を作って待ってるわ」
「……」
「はいはい、ハンバーグが食べたいのね。シチューは人参少なめね。ふふ、了解よ」
私達の会話を聞きながら、ロザリーが呆れた顔をする。
「それ、会話じゃないわよ。なんでそれで意思疎通が図れるのか不思議だわ」
私とザインは顔を見合わせて、それから私だけがくすっと笑う。
なんでと言われても、分かるものは分かるのだ。きっと愛の力だと思うけれど、恥ずかしいから言わないでおいた。
それからすぐにザインが先に病室を出た。私とロザリーは一緒に部署に戻り、私は報告書を提出してから帰宅した。
家に戻ると、まだザインは帰っていなかった。
仕事場と家と孤児院の配置はちょうど三角形になっていた。だから、孤児院に寄って家に戻ると時間が掛かるのだ。不便なのだけど、隠し通すために必要なことだった。
私は手早く夕食の支度を始める。体はまだ痛むけれど、『美味しいです!』と喜ぶ息子の顔を見れると思えば我慢できた。
シチューのいい匂いが家の中に漂い始めたころに、玄関が開く音がした。
「お母さん、ただいまかえりました!」
「……戻りました」
「二人ともお帰りなさい」
元気にアティカが抱きついてくる。私は抱きしめながら、我が子の匂いを思いっきり吸い込む。幸せを感じる瞬間だった。
ザインは孤児院から持ち帰った着替えを片付けるために部屋へ先に入った。
アティカは嬉しそうに、今日あったことを話してくれる。私はいつものように、相槌を打ちながら聞いていた。
「今日はお庭でころびました。でも、ぼく、泣きませんでした」
「偉かったね、ティカ」
「はい! ぼく、もうお兄さんです。 お母さん、くすぐったいです、うふふ」
アティカが私を見ながら、首をすくめて無邪気に笑っている。
――私の両手が細い首を触っていた。
なんで、なんで……。
私の意思に関係なく指に力が入っていく。
「お母さん? ちょっと苦しいです」
……なにをしてるの、私は……。
アティカの顔から笑みが消えて、苦しげな顔になる。
――体が、指が言うことを聞かない。
私の目から涙が溢れているのに、指がアティカの首に食い込んでいくのを止められない。助けを呼びたいのに、声も出なかった。
「……お、おかあさん? く、ぐるしいで……す」
――私は愛する息子を自分の手で、いま殺そうとしていた。
自分の意志とは関係なく、意識がどこかに引っ張られていく。
『もう一度繰り返すことで失った記憶を取り戻すじゃろう。よいか、カロック。すべてを思い出したら目覚めろ、決してその場に踏みとどまるな。そこは現実ではない。待っておる者がこっちにいることを忘れ……』
そうか、長老の言葉を聞ながら私は眠ったのだ。と思いながら、夢の中でまた眠りに落ちていく感覚を覚えたのだった。
◇ ◇ ◇
あれ? なんか体が痛い気がするような……?
変だなと思いながら目を開けると、やっぱり体中が痛かった。
「痛ったた……」
「アリスミ! 良かった、目覚めて。本当に心配したのよー」
声は聞こえるのにロザリーの姿は見えなかった。なぜならザインが覆いかぶさるようにして、私の顔を覗き込んでいたからだ。
彼の右眉がほんの少しだけ中央に寄っている。これは妻の私だけが知っている、心配している顔だった。
私、助かったんだ……。
なぜ痛むのか分かった。
巡回している時に、閃光に包まれ地面に叩きつけられたからだ。あの時は死を覚悟したけれど、これくらいの痛みで済んでいるのだから、今思うと大袈裟だったと恥ずかしくなる。
「カロックさん、異常は見られませんので帰って構いません。打撲による痛みは二週間ほどでなくなります」
そう告げてきた医者に、私は一緒にいた魔術師の具合を尋ねた。私が助かったのだから、きっと彼女もという軽い気持ちで。
「あなたが巻き込まれた事故は、五等級が不用意に術式を重ねたため起きました。きっと小さな綻びの修復など自分にも出来ると功を焦ったのでしょうね。偶にそういう者がいますが、今回、その代償は大きかったです。彼女は命を落としました」
「……そうだったんですね」
そう言えば、途中で彼女は立ち止まり、その後に閃光が走ったのだ。彼女自身が過ちを犯した結果だとしても、命が失われたことは辛かった。
医者は痛み止めの薬を近くに置いてから、お大事にと言って部屋を出ていった。
「ちょっと、どきなさいよ! 寝起きに見飽きた顔なんて見たくないわよ。そうよね? アリスミ」
「ふふ、そんなことはないわ。でも、親友の顔も見たいな」
「ほら、妻の願いを叶えなさいよ」
ザインが少しだけ右によると、ロザリーは強引に前に出てくる。
彼女は彼に対していつもこんな感じだ。……親友の夫だが、兎に角気に入らないらしい。
私とザインが結婚してもう五年が経つ。アティカという子供にも恵まれ、幸せな家庭を築いているのだが、表向きはまだ恋人同士となっている。
――それには深い理由があった。
五年前、一等級魔術師の妻子が立て続けに亡くなり、他国の干渉――つまり上位魔術師の家族が狙われた可能性が浮上した。なので、はっきりするまでは婚姻の事実を伏せるようにと、魔術師長から言われたのだ。
調査は難航し結果が出たのが三年後で、結局は不慮の事故が重なっただけだった。
この時に結婚の事実を明かしても良かったのだが、私達は控えることにした――息子のために。
アティカは魔力過多だったが、驚くほど上手く魔力と付き合えていて、一度も魔力暴走を起こすことなく二歳になっていた。父であるザインの存在が大きいのだが、この落ち着いた環境も良い影響を与えていると私達は考えた。
院長先生の協力のもと、昼間アティカは『ただの子供』として色眼鏡で見られることなく過ごせている。しかし、公にしたら『あの最上位の息子』となってしまう。
そうなれば静かに暮らすことが難しくなり、魔力暴走に繋がってしまうかもしれない。
あくまでも可能性。しかし、その可能性を増やしたくなかった。
だから、私達はアティカがもう少し大きくなるまで、この環境を維持することにしたのだ。
この判断は正解だったと思っている。今年で四歳になったアティカは健やかに成長していた。
結婚の事実を知っているのは一部の人達だけ。
彼らがみな上の立場だからこそ、この結婚を上手く隠し通せていた。権力さまさまである。
その中には私の親友ロザリーもいた。彼女は子供嫌いのはずなのに、アティカのことは『アリスミの子は特別!』と可愛がってくれている。
ふと窓のほうを見ると、部屋の奥まで陽の光が差し込んでいた。
そろそろアティカのお迎えの時間だ。院長先生は融通を利かせるくれるけど、今日は早く帰ると約束したから、早めに迎えに行ってあげたい。
「ザイン、私は報告書を提出してから帰るわね」
「……私が行きます」
「ありがとう、ティカをよろしくね。たぶん私のほうが先に家に着くと思うから、ご飯を作って待ってるわ」
「……」
「はいはい、ハンバーグが食べたいのね。シチューは人参少なめね。ふふ、了解よ」
私達の会話を聞きながら、ロザリーが呆れた顔をする。
「それ、会話じゃないわよ。なんでそれで意思疎通が図れるのか不思議だわ」
私とザインは顔を見合わせて、それから私だけがくすっと笑う。
なんでと言われても、分かるものは分かるのだ。きっと愛の力だと思うけれど、恥ずかしいから言わないでおいた。
それからすぐにザインが先に病室を出た。私とロザリーは一緒に部署に戻り、私は報告書を提出してから帰宅した。
家に戻ると、まだザインは帰っていなかった。
仕事場と家と孤児院の配置はちょうど三角形になっていた。だから、孤児院に寄って家に戻ると時間が掛かるのだ。不便なのだけど、隠し通すために必要なことだった。
私は手早く夕食の支度を始める。体はまだ痛むけれど、『美味しいです!』と喜ぶ息子の顔を見れると思えば我慢できた。
シチューのいい匂いが家の中に漂い始めたころに、玄関が開く音がした。
「お母さん、ただいまかえりました!」
「……戻りました」
「二人ともお帰りなさい」
元気にアティカが抱きついてくる。私は抱きしめながら、我が子の匂いを思いっきり吸い込む。幸せを感じる瞬間だった。
ザインは孤児院から持ち帰った着替えを片付けるために部屋へ先に入った。
アティカは嬉しそうに、今日あったことを話してくれる。私はいつものように、相槌を打ちながら聞いていた。
「今日はお庭でころびました。でも、ぼく、泣きませんでした」
「偉かったね、ティカ」
「はい! ぼく、もうお兄さんです。 お母さん、くすぐったいです、うふふ」
アティカが私を見ながら、首をすくめて無邪気に笑っている。
――私の両手が細い首を触っていた。
なんで、なんで……。
私の意思に関係なく指に力が入っていく。
「お母さん? ちょっと苦しいです」
……なにをしてるの、私は……。
アティカの顔から笑みが消えて、苦しげな顔になる。
――体が、指が言うことを聞かない。
私の目から涙が溢れているのに、指がアティカの首に食い込んでいくのを止められない。助けを呼びたいのに、声も出なかった。
「……お、おかあさん? く、ぐるしいで……す」
――私は愛する息子を自分の手で、いま殺そうとしていた。
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