4 / 49
4.旅立ちと天使からの贈り物
しおりを挟む家に戻ると、急いで必要なものだけを大きめの鞄に詰め込む。それさえ済めば旅立つことが出来るように手配されていた。
『急な異動辞令だったので、借家の解約や残した物の処分はこちらで行います。よろしいですか? カロックさん』
『はい、お願いします』
挨拶を済ませたあと、事務方に出向いて異動に関する書類に署名していると、そう告げられた。
……用意周到ってことね。
荷物を纏め終わると、住み慣れた家を掃除する。彼との思い出が詰まった家だけれど、立つ鳥跡を濁さずだ。
「今までお世話になりました」
荷物を片手に持って玄関の扉を開けてから、ゆっくりと家の中を見渡す。
運び出す荷物は服ぐらいなのに、やけにガランとしている。
こんなに広かったかな……。
二人で住んでいる時は狭いと思っていたのに、どうしてだろうと首を傾げる。
すぐに、ザインの荷物がなくなっているからだと気づく。
退院してこの家に戻ってきてから数日経つけど、彼のことを考えないようにしていたから気づかなかったのだ。
――一人で住むにはこの家は広すぎる。
理不尽な異動だったが、これで良かったのかもしれない。
正午まであと二時間あった。
ここから王都の外れにある南門までの移動時間を考えても、まだ時間に余裕がある。
私はある場所に急いで向かう。王都から去る前にどうしても会いたい人がいた。
「アリスミ、よく来てくれたわね」
「院長先生……」
小さな古ぼけた孤児院の前で、その人は私の到着を待っていてくれた。訪れる前に紙魔鳥を送っていたからだろう。
魔力を紡ぐ能力があると認められた者は、十歳から魔術師養成機関の寮で暮らし学んでいく。私もそうだったけど、両親が頻繁に会いに来てくれたので寂しくはなかった。
しかし、私が十二歳の冬、両親は流行り病で亡くなった。
魔術師候補は貴重なので私の生活は保証されていた。でも、帰省する場所を失った私は長期休みも寮で過ごすことになった。
『今度お父さんと旅行に行くんだ!』
『お母さんったらまた手編みの靴下を送ってきたわ。ダサいからいらないって言ってるのに~』
以前は気にならなかった何気ない会話。私は耳を塞いでやり過ごすようになる。
そんな私の元に、ある日年配の女性が訪ねてきた。
『良かったら、休みの日は家に来ない? 家と言っても孤児院だから落ち着かないでしょうけど』
『私がお邪魔していいんですか?』
『もちろんよ。さあ、行きましょ。昨日から冬休みだと聞いたわ』
母は生前、その女性が営んでいる孤児院の手伝いをしていたらしい。その縁で私に手を差し伸べてくれたのだ――その日からまた、私に『帰る家』が出来た。
院長先生は私にとって第二の母となった。
ザインのことも紹介していたし、休みの日に彼と一緒に子供達の世話を手伝うこともあった。
『おじさん、怒ってるの?』
『……いや』
『怒ってるよね? だってすごく怖い顔してるもん』
『……』
子供はとても正直だった。すかさず私がフォローを入れる。
『怒ってないから大丈夫よ』
『じゃあ、おじさんのお顔、死んでるの?』
『それは、……どうかなー』
孤児院は私にとって大切な場所だから、彼なりに頑張ってくれていた。もう二度と彼がここに来ることはないだろう。
「辛かったわね、アリスミ。よく頑張ったわ」
院長先生は私を抱きしめて、ぽんぽんと優しく背中を叩く。
ザインとの別れも今回の異動辞令も、ただ事実として紙魔鳥で連絡していた。
どんな気持ちだったとか、どんなに理不尽なものなのかとか、そんなことは一切伝えていない。それなのにすべてを分かってくれているようだった。
「……どうして分かるんですか?」
「年の功だといいたいところだけど……」
途中で言葉を紡ぐのを止めた彼女は、皺だらけの手を私の頬に当てる。
さっきまで乾いていたはずのその手は、……濡れていた。
「だって泣いてるじゃない。あなたは我慢強い子で、簡単に泣いたりしなかった。ずっと泣けなかったんでしょ? ここでは泣いていいのよ、アリスミ。あなたは十分に頑張ったわ、だからもうこれ以上苦しまないで」
「……っ、うっうう…………せ、ん…せい」
麻痺していた心がゆっくりと解けていく。
押し込めていた感情が溢れ出して、また苦しくなる。
みっともなく泣く私を、彼女は『もう大丈夫、絶対に大丈夫』と優しく抱きしめてくれた。
――やっと泣けた。
今は苦しくとも、本当の意味で前に進める気がした。
気づけば周りには子供達が集まっていた。
どの子達も心配そうな顔をして私達を見ていて、中にはつられて涙ぐんでいる子もいる。
私は慌てて涙を袖で拭った。
「あのね、私、お仕事で遠くに行くの。だからしばらくみんなとも会えなくなる。だから、淋しくて泣いてしまったのよ。さよならの涙だから大丈夫よ」
「お姉ちゃん、ばいばいなの?」
「うん、ちょっとだけばいばいかな」
一人の女の子に答えると、子供達は小さな手を私に向かって振る。
ここで暮らしている子は数人だけ。あとは昼間だけ預かっている子達で出入りが激しい。なので、みんなが私のことを知っているわけではない。
「……ちょっとだけってどれくらいなの?」
毛糸の帽子を両手でぎゅっと引っ張って、頭をすっぽりと隠している男の子が聞いてくる。四歳くらいだろうか、髪の色も見えないけど、たぶん会ったことがない子。
「ごめんね、お姉さんにも分からないの」
「おねがい、おしえて……」
聞いてくるその声は涙声だった。小さいけど男の子だから、泣いてる顔を見られたくないのだろう。
だから、帽子をああしているのね……。
「困らせては駄目よ。さあ、こっちにいらっしゃい」
院長先生はその男の子をそっと抱き上げて、私にしてくれたように背中を優しく叩く。
その子は『うえーん……』と泣き声を上げる。優しい子なのだろう、初めて会う私のために泣いてくれるのだから。
毛糸の帽子の上からその子の頭を撫でると、小さな手が私の手を握る。
「また、いつか会えるから。それまで、いい子でね」
「…………うん……」
「院長先生、行ってきます」
正午に南門に着くには、そろそろ向かわなければ間に合わない。
子供達に手を振りながら歩き始めると、院長先生が男の子を抱いたまま走ってきた。
「アリスミ、幸せになって! 新たな地で幸せを見つけなさい」
院長先生はザインとの別れを私が引き摺ることを案じているのだろう。『私、自分から彼にプロポーズするつもりです。先生』と嬉しそうに私が報告していたから。
「先生、ありがとうございます。私、頑張りますね」
「この子が渡したいものがあるの。受け取ってあげてちょうだい」
抱かれたままの男の子はまだひっくひっくと泣いていた。でも、小さな手を懸命に伸ばして白い花を差し出してくる。
「ありがとう、ずっと大切にするね」
「………うん……」
いろいろなことがあって疲れ切っていた心が、この小さな優しさに救われた。
正午、きっかりに馬車は南門を出発した。六人乗りの馬車は貸し切りで、私しか乗っていない。
もしかしたら泣き叫ぶと思われていた?
誰にも迷惑が掛からないようにと手配したのなら、その期待に応えるべきだろう。
「幸せになってみせるんだから、絶対に!」
叫んだのは新たな決意。
私は白い花を持っていた本の間にそっと挟んだ。渡された時にはすでに萎れていたので、押し花にしようと思っていたのだ。
名前も知らない天使からの贈り物――なぜか愛おしくて堪らなかった。
『急な異動辞令だったので、借家の解約や残した物の処分はこちらで行います。よろしいですか? カロックさん』
『はい、お願いします』
挨拶を済ませたあと、事務方に出向いて異動に関する書類に署名していると、そう告げられた。
……用意周到ってことね。
荷物を纏め終わると、住み慣れた家を掃除する。彼との思い出が詰まった家だけれど、立つ鳥跡を濁さずだ。
「今までお世話になりました」
荷物を片手に持って玄関の扉を開けてから、ゆっくりと家の中を見渡す。
運び出す荷物は服ぐらいなのに、やけにガランとしている。
こんなに広かったかな……。
二人で住んでいる時は狭いと思っていたのに、どうしてだろうと首を傾げる。
すぐに、ザインの荷物がなくなっているからだと気づく。
退院してこの家に戻ってきてから数日経つけど、彼のことを考えないようにしていたから気づかなかったのだ。
――一人で住むにはこの家は広すぎる。
理不尽な異動だったが、これで良かったのかもしれない。
正午まであと二時間あった。
ここから王都の外れにある南門までの移動時間を考えても、まだ時間に余裕がある。
私はある場所に急いで向かう。王都から去る前にどうしても会いたい人がいた。
「アリスミ、よく来てくれたわね」
「院長先生……」
小さな古ぼけた孤児院の前で、その人は私の到着を待っていてくれた。訪れる前に紙魔鳥を送っていたからだろう。
魔力を紡ぐ能力があると認められた者は、十歳から魔術師養成機関の寮で暮らし学んでいく。私もそうだったけど、両親が頻繁に会いに来てくれたので寂しくはなかった。
しかし、私が十二歳の冬、両親は流行り病で亡くなった。
魔術師候補は貴重なので私の生活は保証されていた。でも、帰省する場所を失った私は長期休みも寮で過ごすことになった。
『今度お父さんと旅行に行くんだ!』
『お母さんったらまた手編みの靴下を送ってきたわ。ダサいからいらないって言ってるのに~』
以前は気にならなかった何気ない会話。私は耳を塞いでやり過ごすようになる。
そんな私の元に、ある日年配の女性が訪ねてきた。
『良かったら、休みの日は家に来ない? 家と言っても孤児院だから落ち着かないでしょうけど』
『私がお邪魔していいんですか?』
『もちろんよ。さあ、行きましょ。昨日から冬休みだと聞いたわ』
母は生前、その女性が営んでいる孤児院の手伝いをしていたらしい。その縁で私に手を差し伸べてくれたのだ――その日からまた、私に『帰る家』が出来た。
院長先生は私にとって第二の母となった。
ザインのことも紹介していたし、休みの日に彼と一緒に子供達の世話を手伝うこともあった。
『おじさん、怒ってるの?』
『……いや』
『怒ってるよね? だってすごく怖い顔してるもん』
『……』
子供はとても正直だった。すかさず私がフォローを入れる。
『怒ってないから大丈夫よ』
『じゃあ、おじさんのお顔、死んでるの?』
『それは、……どうかなー』
孤児院は私にとって大切な場所だから、彼なりに頑張ってくれていた。もう二度と彼がここに来ることはないだろう。
「辛かったわね、アリスミ。よく頑張ったわ」
院長先生は私を抱きしめて、ぽんぽんと優しく背中を叩く。
ザインとの別れも今回の異動辞令も、ただ事実として紙魔鳥で連絡していた。
どんな気持ちだったとか、どんなに理不尽なものなのかとか、そんなことは一切伝えていない。それなのにすべてを分かってくれているようだった。
「……どうして分かるんですか?」
「年の功だといいたいところだけど……」
途中で言葉を紡ぐのを止めた彼女は、皺だらけの手を私の頬に当てる。
さっきまで乾いていたはずのその手は、……濡れていた。
「だって泣いてるじゃない。あなたは我慢強い子で、簡単に泣いたりしなかった。ずっと泣けなかったんでしょ? ここでは泣いていいのよ、アリスミ。あなたは十分に頑張ったわ、だからもうこれ以上苦しまないで」
「……っ、うっうう…………せ、ん…せい」
麻痺していた心がゆっくりと解けていく。
押し込めていた感情が溢れ出して、また苦しくなる。
みっともなく泣く私を、彼女は『もう大丈夫、絶対に大丈夫』と優しく抱きしめてくれた。
――やっと泣けた。
今は苦しくとも、本当の意味で前に進める気がした。
気づけば周りには子供達が集まっていた。
どの子達も心配そうな顔をして私達を見ていて、中にはつられて涙ぐんでいる子もいる。
私は慌てて涙を袖で拭った。
「あのね、私、お仕事で遠くに行くの。だからしばらくみんなとも会えなくなる。だから、淋しくて泣いてしまったのよ。さよならの涙だから大丈夫よ」
「お姉ちゃん、ばいばいなの?」
「うん、ちょっとだけばいばいかな」
一人の女の子に答えると、子供達は小さな手を私に向かって振る。
ここで暮らしている子は数人だけ。あとは昼間だけ預かっている子達で出入りが激しい。なので、みんなが私のことを知っているわけではない。
「……ちょっとだけってどれくらいなの?」
毛糸の帽子を両手でぎゅっと引っ張って、頭をすっぽりと隠している男の子が聞いてくる。四歳くらいだろうか、髪の色も見えないけど、たぶん会ったことがない子。
「ごめんね、お姉さんにも分からないの」
「おねがい、おしえて……」
聞いてくるその声は涙声だった。小さいけど男の子だから、泣いてる顔を見られたくないのだろう。
だから、帽子をああしているのね……。
「困らせては駄目よ。さあ、こっちにいらっしゃい」
院長先生はその男の子をそっと抱き上げて、私にしてくれたように背中を優しく叩く。
その子は『うえーん……』と泣き声を上げる。優しい子なのだろう、初めて会う私のために泣いてくれるのだから。
毛糸の帽子の上からその子の頭を撫でると、小さな手が私の手を握る。
「また、いつか会えるから。それまで、いい子でね」
「…………うん……」
「院長先生、行ってきます」
正午に南門に着くには、そろそろ向かわなければ間に合わない。
子供達に手を振りながら歩き始めると、院長先生が男の子を抱いたまま走ってきた。
「アリスミ、幸せになって! 新たな地で幸せを見つけなさい」
院長先生はザインとの別れを私が引き摺ることを案じているのだろう。『私、自分から彼にプロポーズするつもりです。先生』と嬉しそうに私が報告していたから。
「先生、ありがとうございます。私、頑張りますね」
「この子が渡したいものがあるの。受け取ってあげてちょうだい」
抱かれたままの男の子はまだひっくひっくと泣いていた。でも、小さな手を懸命に伸ばして白い花を差し出してくる。
「ありがとう、ずっと大切にするね」
「………うん……」
いろいろなことがあって疲れ切っていた心が、この小さな優しさに救われた。
正午、きっかりに馬車は南門を出発した。六人乗りの馬車は貸し切りで、私しか乗っていない。
もしかしたら泣き叫ぶと思われていた?
誰にも迷惑が掛からないようにと手配したのなら、その期待に応えるべきだろう。
「幸せになってみせるんだから、絶対に!」
叫んだのは新たな決意。
私は白い花を持っていた本の間にそっと挟んだ。渡された時にはすでに萎れていたので、押し花にしようと思っていたのだ。
名前も知らない天使からの贈り物――なぜか愛おしくて堪らなかった。
247
お気に入りに追加
3,735
あなたにおすすめの小説
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる