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23.夏祭り前②
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いきなりのパトア妃妊娠報告にその場が固まってしい、先ほどまでの賑やかさは一瞬で消えてしまった。
報告を受けたギルアの表情に喜びも戸惑いも一切ない、完全に無表情なので、周りも祝福の言葉を発するべきなのか決めかねている。
「ギルア様、パトア様のご懐妊おめでとうございます」
皆が固まっている中、咄嗟に正しい反応をしたのは正妃であるシルビアただ一人であった。完璧な微笑みを浮かべ、国王の慶事を喜んでいる。だがその微笑みの奥に何かを必死で隠しているのに気付いている者も少数だがいた…。
「詳細な報告は執務室で聞きます。さあ、ギルア様、行きましょう」
宰相が仕事モードの冷静沈着な顔に切り替わり、みんなに移動を促す。トト爺に呼ばれていた家族達は状況を察してもう庭園から退出し始めている。楽しかったピクニックを後にし、ギルア達は執務室へと無言で向かうことになった。
執務室で詳細な報告を求められた後宮の使者の様子が明らかにおかしい。懐妊というおめでたい報告なのに、表情は暗くなかなか話し出さないでいる。
「で、いつ妊娠が判明したのです?」
しびれを切らして宰相が再度尋ねると、ようやく話し始めた。
「最近パトア様の体調がすぐれない日が続いていましたが、医者の診察は絶対に嫌だと拒否しておりました。今朝、後宮の侍女頭が見かねて、強制的に診察を受けさせたのです。その時にご懐妊が判明しました」
「そうですか、では今三ヶ月目くらいですね」
「……医者によると六ヶ月目くらいだそうです」
「「「エッ………」」」
使者の表情が暗い理由が分かった、六ヶ月目だからだ。ギルアと側妃達が結婚したのは四月で今は六月、結婚後すぐに実を結んだとしても三ヶ月目だ。妊娠半年などありえない…。
側妃が国王以外の子を身ごもっているという悲惨な状況に誰も何も言えないでいる。
その一方で、ギルアの表情は平常に戻り、国王の顔で次々と指示を出している。
「牛族の長に連絡を取れ。状況は説明せずに、明日王宮に来させろ」
「ホッホッホ、それしかないじゃろうな。事前に種を仕込んでいた側妃の一族など謀反の疑いありじゃ」
「宰相、後宮に入った後のパトア妃の行動も確認を取れ」
「はい、分かりました。他の側妃の行動も確認しておきます」
「ガロン。パトア妃専属護衛に命令し、妃を外鍵のある部屋に移動させろ。そして監視を強めろ」
「はい、念のため王宮全体の警備も増員します」
今のギルアはシルビアの存在を忘れているようで、王の覇気を纏い近寄りがたい。本当にこの人は凄い国王なんだと部屋の隅からギルアを見つめているシルビアは何とも複雑な気持ちになっている。
なんでこんな気持ちになっているのか分からないが、泣きたくなるのは感じている。
いつのまにやら、トト爺とサーサがシルビアの近くに来ていた。
「シルビア様、そろそろ私達は離宮に戻りましょう」
「そうじゃの、ここでやる事はなしじゃ」
「…そうね、帰りましょうか」
微笑むシルビアを見て、ニギ国での『微笑みの王女』を知っている二人は、これは良くない兆候だと察した。
(馬鹿犬を使うか、ギル坊に味方するようで癪じゃの~)
(シルビア様の幸せ優先なので、仕方ないです)
二人で何やら話しているが、今のシルビアには気にする余裕がないようだ。
警備の仕事に取り掛かる為、部屋を出て行こうとするガロンにサーサが近寄り、【魅惑の会】の会誌を手渡す。
「ガロン様、最新号をどうぞ。ところで、ギルア様はパトア妃の問題を淡々と処理していますが、大丈夫ですかね?」
「何がだ?自分の種じゃないのが分かって良かったろ」
「他所の畑でなく、自分が欲している畑をちゃんとフォローしないといけないという事です!」
「???なんかサーサは難しいこと言うなー、ワッハッハ」
「向き合う相手を間違えるなと言っているのです!」
(駄目だ、使えない馬鹿犬だわ!ギルア様が今の状態のシルビア様を放置したら確実にこじれるから、単純犬にズッバッと言わせようとしたけど言葉が通じない…)
「駄目だのサーサは。馬鹿犬とハサミは使い様じゃ~。ガロンよ!尻尾モフモフタイムを終了させた恨みは恐ろしいぞ、今すぐに謝っておくのじゃ~ホッホッホ」
「あっ忘れてた。やっぱりあれまずかったのか?アンには叱られたがトト爺も言うんだからそうなんだな、ワッハッハ」
部屋を出ようとしてたが、ギルアの元にドシドシと近づいて行く。ピリピリとした雰囲気なのにそんな事お構いなしなのはガロンだけだ。((イケ、イケ、ガロン。流れを変えろー))
「ギルア様、ピクニックの時は性的お楽しみを邪魔して悪かった、すまん。ところで、次回の約束はいいのか?シルビア様帰ってしまうぞ。それに、報告を受けた時、祝福の言葉を口にしたシルビア様は辛そうな顔していたぞ、フォローしないと捨てられるぞーワッハッハ」
((やればできる男!ガロン。これからは馬鹿犬呼ばわりしません(ないの~)))
側近ガロンの言葉に、ハッと我に返るギルア。国王として淡々と目の前の問題を処理していて、一番大切な事を放置してしまうところだった。『性的お楽しみ』ワードにはイラッときたが、今回はスルーして、最優先事項であるシルビアのもとに行く。
「シルビア、今日は来てくれたのにこんな事に巻き込んですまなかった。こんな事を言うと嫌われるかもしれないが、側妃の子が俺の子でない事に安堵している。こんな俺を嫌わないで欲しい」
「ギルア様、嫌うことはありえません。正妃として祝福の言葉を述べましたが、私も何故か今の状況にホッとしているみたいです。こんな私はお嫌いですか?」
「嫌いになんてならない、絶対に!やっぱり俺達は気が合うな。それに尻尾は好きな時に触ってくれ♪変な意味ではないぞ、純粋に楽しんでもらいたいだけだ!」
「有り難う♪ギルア様の尻尾を触ると幸せな気持ちになります、うっふっふ」
「二人とも、後半の会話だけ聞くと変態みたいだーワッハッハ」
今のギルアは、ガロンの変態発言も笑って許せるほど幸せを噛みしめている。
ガロンの直球発言のお陰で、ギルアとシルビアの雰囲気が柔らかくなり、周りの臣下達も安堵の表情だ。そして、明日の準備の為、せわしなく動き始めた。
******************************
---深夜、執務室---
明日の準備も一通り終わり、ギルア・宰相・ガロンは酒を飲んでいる。
「ところで、ガロン。今日は良い仕事しましたね、感心しました」
「そうだな、感謝している。俺は側妃の妊娠報告のショックで、シルビアの気持ちに気づけず取り返しのつかない状況になるところだった」
「そうですね、私もシルビア様が微笑んでいるので気が付きませんでした」
「ワッハッハ。宰相もギルア様も勉強が足りないなー。俺は常日頃から人の表情を読み取る勉強しているぞ」
ガロンは自分の机の引き出しから、自慢げに勉強本を出してくる。
「これを読んでみろ、パッと見ただけでは分からない気持ちが瞳に現れるのが勉強できる凄い本だぞ!」
机の上には【魅惑の会】会誌が広げてある。『口では嫌々と言いながらナニを求める表情』や『もうやめてと叫びながらも期待している瞳』のイラストなど、シチュエーションと詳細な心の動きと表情を勉強できる内容となっている。
「これは没収だ!」
「なんでだ、これのお陰で俺はシルビア様の微笑みの奥の悲しみが分かったんだ。ギルア様の今があるのも、コリン師匠のイラストのお陰だぞ」
「………」
確かに今日のギルアは、悔しい事に空気を読まないガロンの言動に救われた。それを言われたら、この如何わしい会誌を没収できない…。
(それより【魅惑の会】会誌ならシルビアも持っているはずだ、そのことの方が問題だ!純粋なシルビアにはまだ早い!)
没収は諦めたが、このイラストの出処『コリン師匠』なる人物を調べて、大本を更生させると心に固く誓ったのである。
---しかし『コリン師匠』なる人物の特定は難航し、まだ見つかっていない。
『卑猥なイラストを描く変態獣人』を探せと命令したが、離宮の侍女コリンは小柄で可愛いリス獣人であった為、コリン違いだと早々に容疑者リストから外されていた…。
報告を受けたギルアの表情に喜びも戸惑いも一切ない、完全に無表情なので、周りも祝福の言葉を発するべきなのか決めかねている。
「ギルア様、パトア様のご懐妊おめでとうございます」
皆が固まっている中、咄嗟に正しい反応をしたのは正妃であるシルビアただ一人であった。完璧な微笑みを浮かべ、国王の慶事を喜んでいる。だがその微笑みの奥に何かを必死で隠しているのに気付いている者も少数だがいた…。
「詳細な報告は執務室で聞きます。さあ、ギルア様、行きましょう」
宰相が仕事モードの冷静沈着な顔に切り替わり、みんなに移動を促す。トト爺に呼ばれていた家族達は状況を察してもう庭園から退出し始めている。楽しかったピクニックを後にし、ギルア達は執務室へと無言で向かうことになった。
執務室で詳細な報告を求められた後宮の使者の様子が明らかにおかしい。懐妊というおめでたい報告なのに、表情は暗くなかなか話し出さないでいる。
「で、いつ妊娠が判明したのです?」
しびれを切らして宰相が再度尋ねると、ようやく話し始めた。
「最近パトア様の体調がすぐれない日が続いていましたが、医者の診察は絶対に嫌だと拒否しておりました。今朝、後宮の侍女頭が見かねて、強制的に診察を受けさせたのです。その時にご懐妊が判明しました」
「そうですか、では今三ヶ月目くらいですね」
「……医者によると六ヶ月目くらいだそうです」
「「「エッ………」」」
使者の表情が暗い理由が分かった、六ヶ月目だからだ。ギルアと側妃達が結婚したのは四月で今は六月、結婚後すぐに実を結んだとしても三ヶ月目だ。妊娠半年などありえない…。
側妃が国王以外の子を身ごもっているという悲惨な状況に誰も何も言えないでいる。
その一方で、ギルアの表情は平常に戻り、国王の顔で次々と指示を出している。
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「ホッホッホ、それしかないじゃろうな。事前に種を仕込んでいた側妃の一族など謀反の疑いありじゃ」
「宰相、後宮に入った後のパトア妃の行動も確認を取れ」
「はい、分かりました。他の側妃の行動も確認しておきます」
「ガロン。パトア妃専属護衛に命令し、妃を外鍵のある部屋に移動させろ。そして監視を強めろ」
「はい、念のため王宮全体の警備も増員します」
今のギルアはシルビアの存在を忘れているようで、王の覇気を纏い近寄りがたい。本当にこの人は凄い国王なんだと部屋の隅からギルアを見つめているシルビアは何とも複雑な気持ちになっている。
なんでこんな気持ちになっているのか分からないが、泣きたくなるのは感じている。
いつのまにやら、トト爺とサーサがシルビアの近くに来ていた。
「シルビア様、そろそろ私達は離宮に戻りましょう」
「そうじゃの、ここでやる事はなしじゃ」
「…そうね、帰りましょうか」
微笑むシルビアを見て、ニギ国での『微笑みの王女』を知っている二人は、これは良くない兆候だと察した。
(馬鹿犬を使うか、ギル坊に味方するようで癪じゃの~)
(シルビア様の幸せ優先なので、仕方ないです)
二人で何やら話しているが、今のシルビアには気にする余裕がないようだ。
警備の仕事に取り掛かる為、部屋を出て行こうとするガロンにサーサが近寄り、【魅惑の会】の会誌を手渡す。
「ガロン様、最新号をどうぞ。ところで、ギルア様はパトア妃の問題を淡々と処理していますが、大丈夫ですかね?」
「何がだ?自分の種じゃないのが分かって良かったろ」
「他所の畑でなく、自分が欲している畑をちゃんとフォローしないといけないという事です!」
「???なんかサーサは難しいこと言うなー、ワッハッハ」
「向き合う相手を間違えるなと言っているのです!」
(駄目だ、使えない馬鹿犬だわ!ギルア様が今の状態のシルビア様を放置したら確実にこじれるから、単純犬にズッバッと言わせようとしたけど言葉が通じない…)
「駄目だのサーサは。馬鹿犬とハサミは使い様じゃ~。ガロンよ!尻尾モフモフタイムを終了させた恨みは恐ろしいぞ、今すぐに謝っておくのじゃ~ホッホッホ」
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((やればできる男!ガロン。これからは馬鹿犬呼ばわりしません(ないの~)))
側近ガロンの言葉に、ハッと我に返るギルア。国王として淡々と目の前の問題を処理していて、一番大切な事を放置してしまうところだった。『性的お楽しみ』ワードにはイラッときたが、今回はスルーして、最優先事項であるシルビアのもとに行く。
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「ギルア様、嫌うことはありえません。正妃として祝福の言葉を述べましたが、私も何故か今の状況にホッとしているみたいです。こんな私はお嫌いですか?」
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今のギルアは、ガロンの変態発言も笑って許せるほど幸せを噛みしめている。
ガロンの直球発言のお陰で、ギルアとシルビアの雰囲気が柔らかくなり、周りの臣下達も安堵の表情だ。そして、明日の準備の為、せわしなく動き始めた。
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ガロンは自分の机の引き出しから、自慢げに勉強本を出してくる。
「これを読んでみろ、パッと見ただけでは分からない気持ちが瞳に現れるのが勉強できる凄い本だぞ!」
机の上には【魅惑の会】会誌が広げてある。『口では嫌々と言いながらナニを求める表情』や『もうやめてと叫びながらも期待している瞳』のイラストなど、シチュエーションと詳細な心の動きと表情を勉強できる内容となっている。
「これは没収だ!」
「なんでだ、これのお陰で俺はシルビア様の微笑みの奥の悲しみが分かったんだ。ギルア様の今があるのも、コリン師匠のイラストのお陰だぞ」
「………」
確かに今日のギルアは、悔しい事に空気を読まないガロンの言動に救われた。それを言われたら、この如何わしい会誌を没収できない…。
(それより【魅惑の会】会誌ならシルビアも持っているはずだ、そのことの方が問題だ!純粋なシルビアにはまだ早い!)
没収は諦めたが、このイラストの出処『コリン師匠』なる人物を調べて、大本を更生させると心に固く誓ったのである。
---しかし『コリン師匠』なる人物の特定は難航し、まだ見つかっていない。
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