政略結婚の相手に見向きもされません

矢野りと

文字の大きさ
上 下
26 / 44

閑話~モテなくなった理由~

しおりを挟む
俺は犬獣人のガロン、こう見えても国王ギルア様の側近であり、兄貴分的存在だと自負している。
もう28歳になっているが結婚はしていない。『番』に拘っている訳ではない、ただ単純にまだ女の子達と遊びたいのだ、ワッハッハー。
俺は金髪黒目のワイルドな男だ、ちょっとお馬鹿なところもあるが『そこが可愛いいのよ♪』と女の子達には言われて、かなりモテていた。
王宮でのナンパ成功率も80%以上だった、ちょっと前までは…。
最近、何故かナンパが全然成功しない。
声を掛けても、忙しいとか言って逃げて行く。
何がいけないんだ? さっぱり分からん?

俺は週末はナンパした女の子と過ごすのが定番だったが、今週末は誰も相手が見つからなかった。
残滅なんて生まれて初めてだ…。
あまりに辛いので親友のダイと飲み明かす事にした。
久しぶりの男同士の飲み比べは楽しかった、ダイとは同級生で気も合う、つい愚痴も言えてしまう。

「なぁ最近悩んでいるんだが聞いてくれるか?」
「おぅ、なんでも聞くぞ」
「なんか女の子に避けられている気がするんだ、ナンパも成功しない…。俺って、おやじ臭とかしてるか?」
「臭いは問題ない、大丈夫だ。問題は本当の性癖がばれてしまった事だな、やっぱり女の子を隠れ蓑にするのはよくないぞ」
「性癖?隠れ蓑??何のことだ、意味わからん」

ダイが訳の分からない事を言う。もう酔っぱらっているのか?まだ15杯目だぞ。

「そっちの世界は理解できないが、人の性的嗜好は自由だと思う。俺は真面目だがマイノリティーにも理解はある、安心しろ」
「もっと分かり易く言ってくれ」
「だからお前が男が好きで、それを隠すために女の子をナンパするのは良くないって事だ」
「はぁ!なっ何言ってるんだ?俺は女の子が好きだし、男を好きになった事はないぞ」
「おかしいな、お前が『スキダー』と言いながらギルア様に抱き付いていたと噂が流れているぞ。それにギルア様の性病はガロンとの情事でうつったて噂だ」

確かに執務室でギルアに抱き付き、スキダーと言ったのは覚えてる。だがそんな甘い状況でなく、仕事を肩代わりしてくれたから感謝しただけだ。それに性病?俺までなんで巻き込まれている?あれはトト爺の後宮夜伽回避対策だって聞いている。
『性病による勃起不全』とトト爺が噂を流していたけど、そこに俺の名前は一ミリも出ていなかったはずだ…。
どうなってんだ?
誰かに嵌められたのか?
いくら考えても分からない、恨まれる覚えもない。

それから俺は必死になってダイに説明した、こんなに力説したのは生まれて初めてかもしれない。
そのかいあってダイは分かってくれた。

「本当に災難だな―。今度その噂を聞いたら、ちゃんと否定するからすぐに噂は消えるよ」
「有り難う、頼むな。ワッハ…ハ」


…まだまだ噂は消えない。
なぜなら、真実の叫びは腐女子達によって掻き消されているからだ。
早く気づくといいね、ガロン。腐女子は意外と近くにいるよ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください

楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。 ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。 ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……! 「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」 「エリサ、愛してる!」 ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。

出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
古代魔法を専門とする魔法研究者のアンヌッカは、家族と研究所を守るために軍人のライオネルと結婚をする。 ライオネルもまた昇進のために結婚をしなければならず、国王からの命令ということもあり結婚を渋々と引き受ける。 しかし、愛のない結婚をした二人は結婚式当日すら顔を合わせることなく、そのまま離れて暮らすこととなった。 ある日、アンヌッカの父が所長を務める魔法研究所に軍から古代文字で書かれた魔導書の解読依頼が届く。 それは禁帯本で持ち出し不可のため、軍施設に研究者を派遣してほしいという依頼だ。 この依頼に対応できるのは研究所のなかでもアンヌッカしかいない。 しかし軍人の妻が軍に派遣されて働くというのは体裁が悪いし何よりも会ったことのない夫が反対するかもしれない。 そう思ったアンヌッカたちは、アンヌッカを親戚の娘のカタリーナとして軍に送り込んだ――。 素性を隠したまま働く妻に、知らぬ間に惹かれていく(恋愛にはぽんこつ)夫とのラブコメディ。

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

政略結婚で「新興国の王女のくせに」と馬鹿にされたので反撃します

nanahi
恋愛
政略結婚により新興国クリューガーから因習漂う隣国に嫁いだ王女イーリス。王宮に上がったその日から「子爵上がりの王が作った新興国風情が」と揶揄される。さらに側妃の陰謀で王との夜も邪魔され続け、次第に身の危険を感じるようになる。 イーリスが邪険にされる理由は父が王と交わした婚姻の条件にあった。財政難で困窮している隣国の王は巨万の富を得たイーリスの父の財に目をつけ、婚姻を打診してきたのだ。資金援助と引き換えに父が提示した条件がこれだ。 「娘イーリスが王子を産んだ場合、その子を王太子とすること」 すでに二人の側妃の間にそれぞれ王子がいるにも関わらずだ。こうしてイーリスの輿入れは王宮に波乱をもたらすことになる。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

【完結済】侯爵令息様のお飾り妻

鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
 没落の一途をたどるアップルヤード伯爵家の娘メリナは、とある理由から美しい侯爵令息のザイール・コネリーに“お飾りの妻になって欲しい”と持ちかけられる。期間限定のその白い結婚は互いの都合のための秘密の契約結婚だったが、メリナは過去に優しくしてくれたことのあるザイールに、ひそかにずっと想いを寄せていて─────

処理中です...