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16.ガロンのお使い
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後宮問題解決策を考えついたシルビアは報告する為、『報告をしたいので都合の良い時に時間を割いて欲しい』という内容の手紙をダイに託し、王宮の国王執務室に届けてもらうことにした。
国王には毎日膨大な量の手紙や書類などが執務室に届けられるので、実際にシルビアの手紙を読んで返事がくるまでかなりの時間が掛かるだろうと思っていた。
コンコン、シルビアが部屋で寛いでいるとサーサがノックして入ってきた。
「シルビア様、ダイが国王側近ガロン様を伴って戻ってきました。ガロン様がお会いになりたいと待っていますがどうしますか?」
記憶が間違っていないのなら、ダイが離宮を出発したのは10時、今は10時45分、戻ってくるのが早くはないか?それにガロンとは事前の約束はない。状況がいまいち呑み込めないシルビアだったが、取りあえずガロンが待つ応接室へと向かうことにした。
応接室では、初めて離宮に来たガロンが興味津々とばかりに部屋の中をキョロキョロと見回している。もっと簡素な離宮かとイメージしていたが、豪華な内装に驚いている。
「なかなか良い離宮だな。使用人の雰囲気も明るくて気にいった!今度遊びに来ていいか?」
親友のダイに向かって、『今度遊びに来るね』と言うような軽いノリで言っている。
(離宮はお友達の家ではなく、正妃の住まいだ、勝手に来るな!)と冷たい視線を侍女頭メリーから向けられているが、お構いなしである。---ガロンはいつでもgoing my way。
扉が開いてシルビアとサーサが入ってくる。事前の約束が無かった為、待たせては失礼だと急いでやって来たシルビアの服装はシンプルなワンピースだった。
「ごめんなさい、お客様をお迎えするドレスではなくて…」
シルビアが申し訳なさそうに謝罪するが、そもそも正妃を約束無しで訪問したガロンの方が礼儀知らずなのであるし、ワンピース姿は美しさに少女の可愛さがプラスされ好感が持てるものだった。
「こちらこそ、急な訪問申し訳ありません。ギルア様からの伝言をお伝えしに参りました。返事も直接聞いてくるようにと言われていますので、よろしくお願いします」
「えっ。ダイに託した手紙をもう読んでもらえたの?」
どうやらダイが執務室にシルビアの手紙を届けると、国王自ら手紙を受け取りその場で読んだらしい。そして口頭で返事をガロンに伝えると、早く行けとばかりに追い出されたようだ。つまりガロンは国王の使者として離宮にきたのである。
「ギルア様の伝言は『明日の午後二時に王宮に来るように』との事です、急ですが大丈夫でしょうか?」
「勿論大丈夫です。報告書を持って行きますと伝えてください」
【報告書】という言葉にガロンの耳がピクッと反応し、尻尾が小刻みに振れ始めた、完全にイラスト付きだと勘違いしている…。
「前回の当番表のイラストは素晴らしいものでした!今回の報告書のイラストも楽しみにしています!」
推しを前にして興奮しているファンのように、目をキラキラさせながらとんでもない事を言いだすガロン。
(((この馬鹿犬がーーー!)))
部屋にいる使用人達が心の中で絶叫している。脱エロ担当を目指しているのに何てことを言ってくれてんだ!
「あら、ガロンは目が肥えているのね♪ あっ、ガロンと呼んでもいいかしら?私の事はシルビアと呼んでちょうだい」
「はい、シルビア様!」
イラストを褒められて上機嫌のシルビアとイラスト制作の聖地にこれて喜んでいるガロン、お互いに『こいつは仲間だ♪』と分かったようだ。周りからの冷たい空気もなんのその、二人はイラストの話で盛り上がっている。
「あのイラストの作者を紹介するわ、私の師匠でもあるのよ」
「うぁー!どんな人なんすかね。ドキドキするな、ワッハッハ」
ガロンはすでに敬語の存在を忘れて、タメ口だ。
(コイツは離宮を出禁にするべし!)侍女頭メリーの無言の合図に、サーサとダイも無言で頷く。
その後、腐女子侍女コリンを加え三人でお茶を飲みながら延々と語り合っていた。ガロンは腐女子ではないが、あのイラストの『真の理解者』としてシルビアとコリンから仲間認定を受け、【魅惑の会】という怪しいサークルも結成した。最後にはお土産として、イラスト付き離宮年間パスポートまで貰っていた。
もはや【国王のお使い】で来たとはいえない…。
「本当に楽しかったです!また来ますね、ワッハッハー」
馬に乗り王宮へと帰っていくガロン、その手には年間パスポートがしっかりと握られ、友との別れを惜しんでいた。
※ここでいう『友』とはダイではない。【魅惑の会】の会員を指している。
使用人一同が玄関に並び、見送る。
「「「「お気を付けてお帰りくださいませ」」」
(((もう二度と来るなー!)))
---シルビアがガロン達とお茶を楽しんでいた時---
離宮裏口から何かを大事そうに抱えて出ていく人影があった。その人物は離宮から少し離れると、空に向かって荷物を放り投げた。荷物はどうやら白い鳩だったようで、パタパタパターと勢いよく飛んで行き、その足には紙が結んであった。
…そしてお茶の時の数分間、シルビアの側から専属侍女なのにサーサの姿が消えていた…。
************************
離宮にガロンを送り出し待つこと一時間。ギルアは仕事も手につかず、何度も執務室の窓から身を乗り出し、ガロンの帰りを今か今かと待っている。
「ギルア様、いい加減にしてください!仕事が全然進んでいません。ガロンは誘拐なんてされる心配はありませんから大丈夫ですよ」
「騎馬が一番速いからガロンに行かせたのに、おかしいではないか!もしや正妃の予定が合わなかったか…」
書類待ちの為入室している文官達は、
(((たかがお使いに側近ガロンを行かせる必要あるんか?!)))盛大なツッコミを入れたかった。どうみても側近の無駄遣いである。
更に待つこと一時間、漸くガロンが執務室に戻ってきた。
「っで、どうだった?」
ギルアが入口近くに置いてあるガロンの机に自ら近づいて行く。
「明日、報告書持参で来るってよ」
時間が掛かった割には随分と短い報告である、なんか納得がいかないギルアは他に何かないのか聞いてみる。
「そういえば、コレコレ!ジャッジャーン【離宮年間パスポート】をシルビア様に貰った、ワッハッハ」
嬉しそうに怪しげな物を見せて、尻尾を振り回している、かなりテンションMaxだ。
「…なんで正妃を親し気に『シルビア様』と呼んでいる…?」
「なんか気が合っちゃって、お互い名前で呼ぶ仲になって、お茶までご馳走になった。離宮への出入りもこれから自由だしな、ワッハッハ」
正しく伝えてないガロン、気が合ったのも名前呼びもシルビア限定ではなくコリンもである。
それはギルアにとって大変重要なポイントだったが、ガロンは見事に伝えてない。馬鹿犬は使者に向いてない。
俺の事は一度も名前で呼んだことがないのにとか、パスポートがないとか、仲ってなんだとか、ブツブツと言いながら、自分の机に戻るギルア。
その後のギルアはまったく使い物にならなかった、待たされた挙句書類にサインを貰えなかった文官達は泣きながら執務室から退出していくのである。
この落ち込むギルアの様子を横目に見て、ほくそ笑んでいる腹黒宰相。
(ようやくスタート地点に立ってくれましたか♪明日が楽しみですね)
「俺が離宮に行くまでは元気だったのに、ギルア様、具合が悪くなったのか?」
自分の発言でギルアが駄目になっていると気付かず、宰相に確認するガロン、側近っぽいこともやれば出来るのである。
「大丈夫ですよ。自分の気持ちを認識する能力が未熟なだけです。成長すれば自分で解決すべく動くでしょう」
「よく分からないが、そいうこともあるよな~」
「ところで話が変わりますが、今日のお使いはそんなに大変でしたか…?二時間も掛かる様な仕事ではないはずですが。『お茶』に『魅惑の会の結成』は楽しかったですか?」
宰相の指摘に顔を青くするガロン、どうやら何をしていたのか全部ばれている。…何故だ?
「今日はギルア様の分まで働いてもらいますよ。いいですね?」
「…はい…」
すぐに、一日では終わらない書類の山がガロンの机に運ばれてきた。
この後、宰相は国王執務室の隣にある自分の執務室に戻り、テキパキと仕事を始めた。
暫くすると後ろの方から『ポッポー、ポッポー』と鳴き声がする、
「ご褒美を忘れていましたね」と言いながら、白い鳩に餌をあげる。
ウサギ獣人は一般的に子沢山、ガーザ自身も10人兄弟である。長男であるガーザは一番下の妹と20歳も年が離れているが仲は良い。
その妹から伝書鳩が送られてきたのは、ガロンが戻る3分前の事だった。
【ガロン、アソンデイル。テンチュウノゾム。リキュウシヨウニン、ソウイ】
国王には毎日膨大な量の手紙や書類などが執務室に届けられるので、実際にシルビアの手紙を読んで返事がくるまでかなりの時間が掛かるだろうと思っていた。
コンコン、シルビアが部屋で寛いでいるとサーサがノックして入ってきた。
「シルビア様、ダイが国王側近ガロン様を伴って戻ってきました。ガロン様がお会いになりたいと待っていますがどうしますか?」
記憶が間違っていないのなら、ダイが離宮を出発したのは10時、今は10時45分、戻ってくるのが早くはないか?それにガロンとは事前の約束はない。状況がいまいち呑み込めないシルビアだったが、取りあえずガロンが待つ応接室へと向かうことにした。
応接室では、初めて離宮に来たガロンが興味津々とばかりに部屋の中をキョロキョロと見回している。もっと簡素な離宮かとイメージしていたが、豪華な内装に驚いている。
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(離宮はお友達の家ではなく、正妃の住まいだ、勝手に来るな!)と冷たい視線を侍女頭メリーから向けられているが、お構いなしである。---ガロンはいつでもgoing my way。
扉が開いてシルビアとサーサが入ってくる。事前の約束が無かった為、待たせては失礼だと急いでやって来たシルビアの服装はシンプルなワンピースだった。
「ごめんなさい、お客様をお迎えするドレスではなくて…」
シルビアが申し訳なさそうに謝罪するが、そもそも正妃を約束無しで訪問したガロンの方が礼儀知らずなのであるし、ワンピース姿は美しさに少女の可愛さがプラスされ好感が持てるものだった。
「こちらこそ、急な訪問申し訳ありません。ギルア様からの伝言をお伝えしに参りました。返事も直接聞いてくるようにと言われていますので、よろしくお願いします」
「えっ。ダイに託した手紙をもう読んでもらえたの?」
どうやらダイが執務室にシルビアの手紙を届けると、国王自ら手紙を受け取りその場で読んだらしい。そして口頭で返事をガロンに伝えると、早く行けとばかりに追い出されたようだ。つまりガロンは国王の使者として離宮にきたのである。
「ギルア様の伝言は『明日の午後二時に王宮に来るように』との事です、急ですが大丈夫でしょうか?」
「勿論大丈夫です。報告書を持って行きますと伝えてください」
【報告書】という言葉にガロンの耳がピクッと反応し、尻尾が小刻みに振れ始めた、完全にイラスト付きだと勘違いしている…。
「前回の当番表のイラストは素晴らしいものでした!今回の報告書のイラストも楽しみにしています!」
推しを前にして興奮しているファンのように、目をキラキラさせながらとんでもない事を言いだすガロン。
(((この馬鹿犬がーーー!)))
部屋にいる使用人達が心の中で絶叫している。脱エロ担当を目指しているのに何てことを言ってくれてんだ!
「あら、ガロンは目が肥えているのね♪ あっ、ガロンと呼んでもいいかしら?私の事はシルビアと呼んでちょうだい」
「はい、シルビア様!」
イラストを褒められて上機嫌のシルビアとイラスト制作の聖地にこれて喜んでいるガロン、お互いに『こいつは仲間だ♪』と分かったようだ。周りからの冷たい空気もなんのその、二人はイラストの話で盛り上がっている。
「あのイラストの作者を紹介するわ、私の師匠でもあるのよ」
「うぁー!どんな人なんすかね。ドキドキするな、ワッハッハ」
ガロンはすでに敬語の存在を忘れて、タメ口だ。
(コイツは離宮を出禁にするべし!)侍女頭メリーの無言の合図に、サーサとダイも無言で頷く。
その後、腐女子侍女コリンを加え三人でお茶を飲みながら延々と語り合っていた。ガロンは腐女子ではないが、あのイラストの『真の理解者』としてシルビアとコリンから仲間認定を受け、【魅惑の会】という怪しいサークルも結成した。最後にはお土産として、イラスト付き離宮年間パスポートまで貰っていた。
もはや【国王のお使い】で来たとはいえない…。
「本当に楽しかったです!また来ますね、ワッハッハー」
馬に乗り王宮へと帰っていくガロン、その手には年間パスポートがしっかりと握られ、友との別れを惜しんでいた。
※ここでいう『友』とはダイではない。【魅惑の会】の会員を指している。
使用人一同が玄関に並び、見送る。
「「「「お気を付けてお帰りくださいませ」」」
(((もう二度と来るなー!)))
---シルビアがガロン達とお茶を楽しんでいた時---
離宮裏口から何かを大事そうに抱えて出ていく人影があった。その人物は離宮から少し離れると、空に向かって荷物を放り投げた。荷物はどうやら白い鳩だったようで、パタパタパターと勢いよく飛んで行き、その足には紙が結んであった。
…そしてお茶の時の数分間、シルビアの側から専属侍女なのにサーサの姿が消えていた…。
************************
離宮にガロンを送り出し待つこと一時間。ギルアは仕事も手につかず、何度も執務室の窓から身を乗り出し、ガロンの帰りを今か今かと待っている。
「ギルア様、いい加減にしてください!仕事が全然進んでいません。ガロンは誘拐なんてされる心配はありませんから大丈夫ですよ」
「騎馬が一番速いからガロンに行かせたのに、おかしいではないか!もしや正妃の予定が合わなかったか…」
書類待ちの為入室している文官達は、
(((たかがお使いに側近ガロンを行かせる必要あるんか?!)))盛大なツッコミを入れたかった。どうみても側近の無駄遣いである。
更に待つこと一時間、漸くガロンが執務室に戻ってきた。
「っで、どうだった?」
ギルアが入口近くに置いてあるガロンの机に自ら近づいて行く。
「明日、報告書持参で来るってよ」
時間が掛かった割には随分と短い報告である、なんか納得がいかないギルアは他に何かないのか聞いてみる。
「そういえば、コレコレ!ジャッジャーン【離宮年間パスポート】をシルビア様に貰った、ワッハッハ」
嬉しそうに怪しげな物を見せて、尻尾を振り回している、かなりテンションMaxだ。
「…なんで正妃を親し気に『シルビア様』と呼んでいる…?」
「なんか気が合っちゃって、お互い名前で呼ぶ仲になって、お茶までご馳走になった。離宮への出入りもこれから自由だしな、ワッハッハ」
正しく伝えてないガロン、気が合ったのも名前呼びもシルビア限定ではなくコリンもである。
それはギルアにとって大変重要なポイントだったが、ガロンは見事に伝えてない。馬鹿犬は使者に向いてない。
俺の事は一度も名前で呼んだことがないのにとか、パスポートがないとか、仲ってなんだとか、ブツブツと言いながら、自分の机に戻るギルア。
その後のギルアはまったく使い物にならなかった、待たされた挙句書類にサインを貰えなかった文官達は泣きながら執務室から退出していくのである。
この落ち込むギルアの様子を横目に見て、ほくそ笑んでいる腹黒宰相。
(ようやくスタート地点に立ってくれましたか♪明日が楽しみですね)
「俺が離宮に行くまでは元気だったのに、ギルア様、具合が悪くなったのか?」
自分の発言でギルアが駄目になっていると気付かず、宰相に確認するガロン、側近っぽいこともやれば出来るのである。
「大丈夫ですよ。自分の気持ちを認識する能力が未熟なだけです。成長すれば自分で解決すべく動くでしょう」
「よく分からないが、そいうこともあるよな~」
「ところで話が変わりますが、今日のお使いはそんなに大変でしたか…?二時間も掛かる様な仕事ではないはずですが。『お茶』に『魅惑の会の結成』は楽しかったですか?」
宰相の指摘に顔を青くするガロン、どうやら何をしていたのか全部ばれている。…何故だ?
「今日はギルア様の分まで働いてもらいますよ。いいですね?」
「…はい…」
すぐに、一日では終わらない書類の山がガロンの机に運ばれてきた。
この後、宰相は国王執務室の隣にある自分の執務室に戻り、テキパキと仕事を始めた。
暫くすると後ろの方から『ポッポー、ポッポー』と鳴き声がする、
「ご褒美を忘れていましたね」と言いながら、白い鳩に餌をあげる。
ウサギ獣人は一般的に子沢山、ガーザ自身も10人兄弟である。長男であるガーザは一番下の妹と20歳も年が離れているが仲は良い。
その妹から伝書鳩が送られてきたのは、ガロンが戻る3分前の事だった。
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