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5.お茶会②
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「そうね。英雄であるキャンベル伯爵様も素敵な護衛のお仕事できっと大変充実しているのでしょうね。アイラ王女様といったら儚げで美しい方ですから夜の護衛もし甲斐があるというものでしょう。
うふふ、主人も心配しておりましたわ『きっと夜の護衛を頑張り過ぎて疲れているだろう』とそれになぜか『羨ましい』とも最後に付け加えていましたわね。どういう意味かしら~?うふふ」
「なっ、……」
クスクス、クスクスクス----。
周囲からは相手の発言に同調するような嘲笑が響いている。
私は余りの言い様に答えを返せずにいると、取り囲んでいた夫人達は獲物を仕留めたとばかりに目を輝かせて、
「英雄の奥様ともなると色々とご心配ですわね~。お気持ちお察しいたしますわ」
「お辛いでしょう」
「私でよけれな力になりますわよ」
と心配する言葉を吐きながら、優越感に浸っている。
このやり取りを離れた場所で見ていた気位の高い夫人や令嬢達も『やっぱりね』『英雄様もあれが奥様ではね…』『まあご愁傷様、クスクス』と微かに聞こえる様に悪意の籠った毒を吐く。
---私が平凡なことぐらい…自分自身が一番よく分かっているわ。なんでそんな事を言うの?
私が貴女達に何をしたというの?
人を傷つけて楽しむなんてどうかしてるわ!
淑女たるもの人前で感情を露わにしない。私は涙を堪えて微笑みながら『ではご機嫌よう』と優雅に挨拶をしてからこの場を後にする。
こんなやり取りが最近のお茶会などでは何度も繰り返されているのだ。
最近急に忙しくなったエディから『護衛の仕事が増えたから帰宅できない事もあるが気にしないでくれ』と言われているだけで、私は詳しい事は何も聞いていなかった。だが一人で行くお茶会などで残酷な噂を知ってしまった。
『アイラ王女の新しい恋人は英雄エドワード・キャンベル』
もともと第二王女アイラは自由奔放な我が儘王女として有名で恋の噂もたくさんあり、その度に貴族間では面白おかしく語られていた。だが私は接点がなかったので今まで気にした事はなかった。
でも今回の噂の相手は夫エディだ。気にならないわけがない。
だが当のエディは本当に忙しくちゃんと話をする時間さえない。それに帰ってこない日も多くなっている…。
私は夫を信じていたが、何も語らずほとんど帰宅しなくなった事に不安を抱き始めているのも事実だ。
そして次々と新たな情報を私に聞かせてくる親切なハイエナ達によって不安は増し心は疲弊している。
---何が真実なのか分からない。
早くエディの口から直接話しを聞きたい。
『噂は違うから心配するな』と言ってもらいたい。
でも今日は彼は帰ってくるだろうか…。
悪意に晒され続けた心は限界に近かった。
エディに優しく包み込んでもらい安心したかったが、今日も彼は屋敷に帰宅する事はなかった。
うふふ、主人も心配しておりましたわ『きっと夜の護衛を頑張り過ぎて疲れているだろう』とそれになぜか『羨ましい』とも最後に付け加えていましたわね。どういう意味かしら~?うふふ」
「なっ、……」
クスクス、クスクスクス----。
周囲からは相手の発言に同調するような嘲笑が響いている。
私は余りの言い様に答えを返せずにいると、取り囲んでいた夫人達は獲物を仕留めたとばかりに目を輝かせて、
「英雄の奥様ともなると色々とご心配ですわね~。お気持ちお察しいたしますわ」
「お辛いでしょう」
「私でよけれな力になりますわよ」
と心配する言葉を吐きながら、優越感に浸っている。
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でも今回の噂の相手は夫エディだ。気にならないわけがない。
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---何が真実なのか分からない。
早くエディの口から直接話しを聞きたい。
『噂は違うから心配するな』と言ってもらいたい。
でも今日は彼は帰ってくるだろうか…。
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エディに優しく包み込んでもらい安心したかったが、今日も彼は屋敷に帰宅する事はなかった。
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