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13.助言③
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柔らかくなった私の表情を見て、少し安心したような兄は話を続けてくる。
「それとエドが何も言わないと言っているが、あいつは『王女の恋人じゃない』と言って、『仕事だ』と教えたんだろう。それが事実なんじゃないか。だからそれ以上何も言わない。
エドは口下手の見本のような奴だけどその目で語るだろう?お前から見てどう見えた?」
「えっ…。そういえば私、噂に振り回されてちゃんとエディを見ていなかったかも…。
彼の言葉は聞いていたけど…冷静でいられなくて感情をぶつけていただけで。
いつもなら彼とちゃんと向き合ってきたのに余裕が無くて…。
私…ちゃんと見てあげなかった」
---そうだ、エディは甘い言葉さえ囁かないし、プロポーズの言葉さえあれだったけど、私は彼の瞳や態度を見てちゃんと今まで判断で来ていたんだ…。
そんな大切な事も忘れるほど噂や悪意に振り回されていた…。
何が本当かも分からないのに彼を責めてばかりいた…。
何をやっているんだろう…私は。
自分の失敗に気づき落ち込んでいると、
「こら、勝手に落ち込むな。キャサリンは全然悪くないぞ。いきなり『英雄の妻』になり悪意に晒され心身ともに疲れていたんだ。そんな時は誰しもいつもと同じようにはいられない。
それが普通なんだ。
だ・か・ら、これからゆっくりと自分の目で見ればいい。そして冷静に判断出来る時に考えるんだ。
急がなくていいからな。悪意に振り回されるな、自分の目で確かめるそれだけでいいんだ」
「有り難う、お兄様。なるべく冷静でいられるように頑張ってみるわ」
兄と話したことによって、なんだか自分が考えていた最悪の事態になっていないのではないかという希望を持つことができ、少し前向きになる事が出来た。
---やはりお兄様は頼りになるわ、小さい頃から私をさり気なく助けてくれる。
「まあ色々と外野が煩いから冷静でいるのも難しいとは思うが、その時は俺に任せてみろ。裏技を使って全員王宮のシャンデリアに吊るしてやる。そろそろハロウィンも近いし丁度いい装飾になるんじゃないか?うん、我ながら良いアイディアだな♪」
「お兄様!な・り・ま・せ・ん」
「おっ、なんだもう冷静な判断が出来るようになったか。そうだよな、あんなピーピーと煩い奴らじゃ装飾としての価値もないよな。
流石は俺の自慢の妹だ、天才ルイの母親だ、判断が的確だ!」
私が涙を出るほど笑っていると、
「うん、それでいい。それじゃ可愛いルイとも遊べたし帰るかな。お茶ご馳走様」
と言って兄は屋敷を後にした。甥っ子のルイだけでなく、妹である私にも本当に甘いんだから。
兄がかえってから暫く経って気づいたことだが、兄の優しさに心が救われたせいか避けてきたエディと私の関係や色々な事についても前を見る勇気が私の中で沸いてきていた。
「それとエドが何も言わないと言っているが、あいつは『王女の恋人じゃない』と言って、『仕事だ』と教えたんだろう。それが事実なんじゃないか。だからそれ以上何も言わない。
エドは口下手の見本のような奴だけどその目で語るだろう?お前から見てどう見えた?」
「えっ…。そういえば私、噂に振り回されてちゃんとエディを見ていなかったかも…。
彼の言葉は聞いていたけど…冷静でいられなくて感情をぶつけていただけで。
いつもなら彼とちゃんと向き合ってきたのに余裕が無くて…。
私…ちゃんと見てあげなかった」
---そうだ、エディは甘い言葉さえ囁かないし、プロポーズの言葉さえあれだったけど、私は彼の瞳や態度を見てちゃんと今まで判断で来ていたんだ…。
そんな大切な事も忘れるほど噂や悪意に振り回されていた…。
何が本当かも分からないのに彼を責めてばかりいた…。
何をやっているんだろう…私は。
自分の失敗に気づき落ち込んでいると、
「こら、勝手に落ち込むな。キャサリンは全然悪くないぞ。いきなり『英雄の妻』になり悪意に晒され心身ともに疲れていたんだ。そんな時は誰しもいつもと同じようにはいられない。
それが普通なんだ。
だ・か・ら、これからゆっくりと自分の目で見ればいい。そして冷静に判断出来る時に考えるんだ。
急がなくていいからな。悪意に振り回されるな、自分の目で確かめるそれだけでいいんだ」
「有り難う、お兄様。なるべく冷静でいられるように頑張ってみるわ」
兄と話したことによって、なんだか自分が考えていた最悪の事態になっていないのではないかという希望を持つことができ、少し前向きになる事が出来た。
---やはりお兄様は頼りになるわ、小さい頃から私をさり気なく助けてくれる。
「まあ色々と外野が煩いから冷静でいるのも難しいとは思うが、その時は俺に任せてみろ。裏技を使って全員王宮のシャンデリアに吊るしてやる。そろそろハロウィンも近いし丁度いい装飾になるんじゃないか?うん、我ながら良いアイディアだな♪」
「お兄様!な・り・ま・せ・ん」
「おっ、なんだもう冷静な判断が出来るようになったか。そうだよな、あんなピーピーと煩い奴らじゃ装飾としての価値もないよな。
流石は俺の自慢の妹だ、天才ルイの母親だ、判断が的確だ!」
私が涙を出るほど笑っていると、
「うん、それでいい。それじゃ可愛いルイとも遊べたし帰るかな。お茶ご馳走様」
と言って兄は屋敷を後にした。甥っ子のルイだけでなく、妹である私にも本当に甘いんだから。
兄がかえってから暫く経って気づいたことだが、兄の優しさに心が救われたせいか避けてきたエディと私の関係や色々な事についても前を見る勇気が私の中で沸いてきていた。
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