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33.覚悟の再会②
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ヒューイの言葉を聞き、ハッとするエドワード。
その表情は彼に悪気はなく、ただこの再会に動揺し言うべきことを失念していただけなのが伝わってくる。
出会った頃の彼を思い出す、優秀なのにたまにうっかりする彼に何度笑ったことだろう。
「…っ……、本当にすまない!マリア嬢との久しぶりの再会に気が動転してしまい順番を間違えてしまった。度重なる無礼を許して欲しい。
マリア嬢、改めて謝罪をさせてくれ。
妻が君に失礼な態度を取って本当に申し訳なかった。私と同じで君との再会に戸惑ってしまったのかもしれない。いや、それは勝手な言い分だな。ただ未熟だっただけだ。
それに配慮せずに昔の感覚のまま話し掛けてしまい申し訳なかった。
心から謝罪をする、私と妻が不快な思いをさせて本当に申し訳ない。ダイソン伯爵家当主として後日改めてクーガー伯爵家へ謝罪に伺わせていただく。
ヒューイ、手を煩わせて悪かった。言ってくれて有り難う」
自分の非は素直に認めて謝るところも昔のまま。上手な言い訳はないけれどちゃんと心は込めている。
エドワードに続いて、ラミアも自ら前に出て謝罪の言葉を口にする。
「マリア様、申し訳ございませんでした。
自分でもどうしてあんなことをしたの…いいえ、そんな気がなかったなんて言い訳はしません。自分のことしか考えていなかったのですから。
…ただマリア様を傷つけようと思っていたわけではないんです。
あんなことをしながら馬鹿な事を言っているとお思いになるでしょうが、マリア様には本当にいろいろなことを感謝しております。
度重なる無礼お許しください。
……本当に申し訳ございませんでした」
言葉を飾ることなく拙い言葉で謝り続けるラミア。
二人の素直すぎる謝罪が心に染みてくる。彼らは良い意味で変わっていない。
そしてエドワードが側にいるラミアは憑き物が落ちたようだ。
彼女はまだ色んな意味で弱いのだろうけれど、エドワードがいれば大丈夫だろう。
これから時間を掛けて二人だけの形を築いていけばいい。
きっと彼らはこの先上手くやっていける。その成長はゆっくりでもお互いの手を離さなければ、彼らなりに道は開けるはず。
そう思うとなぜか私の心が軽くなる。
きっと私は離縁した意味を彼らの幸せに求めてしまっていたのだろう。
「お二人からの謝罪は受け取ります。ですから先程のことは水に流しましょう。社交界は何が起こるか分からないところ、これもまた一興だと思うことにいたしますわ。過去よりも未来をお互いに大切にしましょう」
ダイソン伯爵夫妻は深く頭を下げ続ける、立場としては伯爵令嬢の私より伯爵家当主夫妻の彼らの方が上なのに。
それは侯爵家であるヒューイの存在に媚びているのではなく、私への真摯な謝罪からだと伝わってくる。
隣りにいるヒューイは『マリアは優しすぎる…』と不満げに耳元で呟いてくるが『これが私流だから』とこの場は我を通させて貰った。
この記念すべき夜会はヒューイとの思い出だけを残したい。
なんだかんだと私に甘いヒューイは、彼らにそれ以上何も言わなかった。
しかしこれですべてが解決とはいかない。
周りでは多くの珍獣達が舌なめずりしている。これを放ってこの場から去ったらダイソン伯爵夫妻だけでなく私も醜聞に巻き込まれることは免れないだろう。
ちゃんと後始末をしなければ。
「どう駆除しましょうか、これを……」
独り言のように呟いた言葉。
なぜかすぐ近くから聞き覚えがない声でボソッと返事が返って来る。
「ここは私に任せてくれないだろうか」
それはお忍びで来ている王太子殿下の声だった。
いつの間にかヒューイの隣りに立ってにこやかに微笑んでいる。
まわりにいる貴族達は殿下の突然の登場にみな驚き慌てて頭を下げる。
殿下は先ほどとは違ってよく通る声で皆に声を掛ける。
「今夜はお忍びで来ているから畏まる必要はない、いつものように夜会を楽しんでくれ。どうやら楽しげな催しがあったようだな、教えてくれないか?」
どことなく楽しげな口調で尋ねる殿下に、周りの貴族達はさっきまでここで繰り広げられていた事を面白可笑しく伝えていく。
みな他人の不幸は蜜の味で当事者達の立場などお構いなしだ。
エドワード達はなんらかの咎を受ける覚悟をしている。確かに同格の伯爵家同士の揉め事とはいえ、その内容は一方的にダイソン伯爵家に非がある。
殿下の耳に入ったからには何らかのお咎めを受けても仕方がないことだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
お気に入り登録、感想有り難うございます!執筆の励みにさせて頂いております\(๑╹◡╹๑)ノ
願いを込めた熱い感想もありますが、不器用な作者はいつものように予定通りゴールに向かいます、あらかじめご了承くださいませ(人 •͈ᴗ•͈)
その表情は彼に悪気はなく、ただこの再会に動揺し言うべきことを失念していただけなのが伝わってくる。
出会った頃の彼を思い出す、優秀なのにたまにうっかりする彼に何度笑ったことだろう。
「…っ……、本当にすまない!マリア嬢との久しぶりの再会に気が動転してしまい順番を間違えてしまった。度重なる無礼を許して欲しい。
マリア嬢、改めて謝罪をさせてくれ。
妻が君に失礼な態度を取って本当に申し訳なかった。私と同じで君との再会に戸惑ってしまったのかもしれない。いや、それは勝手な言い分だな。ただ未熟だっただけだ。
それに配慮せずに昔の感覚のまま話し掛けてしまい申し訳なかった。
心から謝罪をする、私と妻が不快な思いをさせて本当に申し訳ない。ダイソン伯爵家当主として後日改めてクーガー伯爵家へ謝罪に伺わせていただく。
ヒューイ、手を煩わせて悪かった。言ってくれて有り難う」
自分の非は素直に認めて謝るところも昔のまま。上手な言い訳はないけれどちゃんと心は込めている。
エドワードに続いて、ラミアも自ら前に出て謝罪の言葉を口にする。
「マリア様、申し訳ございませんでした。
自分でもどうしてあんなことをしたの…いいえ、そんな気がなかったなんて言い訳はしません。自分のことしか考えていなかったのですから。
…ただマリア様を傷つけようと思っていたわけではないんです。
あんなことをしながら馬鹿な事を言っているとお思いになるでしょうが、マリア様には本当にいろいろなことを感謝しております。
度重なる無礼お許しください。
……本当に申し訳ございませんでした」
言葉を飾ることなく拙い言葉で謝り続けるラミア。
二人の素直すぎる謝罪が心に染みてくる。彼らは良い意味で変わっていない。
そしてエドワードが側にいるラミアは憑き物が落ちたようだ。
彼女はまだ色んな意味で弱いのだろうけれど、エドワードがいれば大丈夫だろう。
これから時間を掛けて二人だけの形を築いていけばいい。
きっと彼らはこの先上手くやっていける。その成長はゆっくりでもお互いの手を離さなければ、彼らなりに道は開けるはず。
そう思うとなぜか私の心が軽くなる。
きっと私は離縁した意味を彼らの幸せに求めてしまっていたのだろう。
「お二人からの謝罪は受け取ります。ですから先程のことは水に流しましょう。社交界は何が起こるか分からないところ、これもまた一興だと思うことにいたしますわ。過去よりも未来をお互いに大切にしましょう」
ダイソン伯爵夫妻は深く頭を下げ続ける、立場としては伯爵令嬢の私より伯爵家当主夫妻の彼らの方が上なのに。
それは侯爵家であるヒューイの存在に媚びているのではなく、私への真摯な謝罪からだと伝わってくる。
隣りにいるヒューイは『マリアは優しすぎる…』と不満げに耳元で呟いてくるが『これが私流だから』とこの場は我を通させて貰った。
この記念すべき夜会はヒューイとの思い出だけを残したい。
なんだかんだと私に甘いヒューイは、彼らにそれ以上何も言わなかった。
しかしこれですべてが解決とはいかない。
周りでは多くの珍獣達が舌なめずりしている。これを放ってこの場から去ったらダイソン伯爵夫妻だけでなく私も醜聞に巻き込まれることは免れないだろう。
ちゃんと後始末をしなければ。
「どう駆除しましょうか、これを……」
独り言のように呟いた言葉。
なぜかすぐ近くから聞き覚えがない声でボソッと返事が返って来る。
「ここは私に任せてくれないだろうか」
それはお忍びで来ている王太子殿下の声だった。
いつの間にかヒューイの隣りに立ってにこやかに微笑んでいる。
まわりにいる貴族達は殿下の突然の登場にみな驚き慌てて頭を下げる。
殿下は先ほどとは違ってよく通る声で皆に声を掛ける。
「今夜はお忍びで来ているから畏まる必要はない、いつものように夜会を楽しんでくれ。どうやら楽しげな催しがあったようだな、教えてくれないか?」
どことなく楽しげな口調で尋ねる殿下に、周りの貴族達はさっきまでここで繰り広げられていた事を面白可笑しく伝えていく。
みな他人の不幸は蜜の味で当事者達の立場などお構いなしだ。
エドワード達はなんらかの咎を受ける覚悟をしている。確かに同格の伯爵家同士の揉め事とはいえ、その内容は一方的にダイソン伯爵家に非がある。
殿下の耳に入ったからには何らかのお咎めを受けても仕方がないことだった。
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