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81.前進①

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それから私とエドはお互いに色々なことを話した。
記憶を失った後の5年間のことや、彼の懺悔とも言える過去のこと、そしてこれから一緒に歩んでいく未来のことなど考えつく限り。

一緒に笑って時には泣いて、これからは嘘は無しという約束で話し続けた。

人が変わったように愛を惜しみなく表現しようとするエドに顔を真っ赤にしながらこんなに幸せでいいのかと思っていた時に、私はハッと思いだしたのだ。

とても重要なことを…。

 えっ…、あれ…?
 このままでは私は非情にまずい状況になるのではないだろうか…。


「あ、あのね…エド。ちょっと確認しておきたいことがあるんだけど…」

「ああ、いいぞ。アンなんでも聞いてくれ。君の為ならなんだって応えてみせるから」

甘い声で答えるエドは私の頭にちゅっちゅと何度も口づけを落としていく。

これからは愛を隠すことはしない、すべて素直に伝えると宣言した彼は失った時間を埋めるように愛を伝えるようとしてくるので恥ずかしくなってしまう。
彼曰く『これでもまだ足りない。私の愛はこんなんものじゃない。アン「嘘はなしで」と言ったのは君だ。責任は取ってくれ』と。


 ううう‥‥、恥ずかしいけど…。
 照れるけど…、嬉しい!
 きゃー、きゃー、舞い上がるほど嬉し過ぎる!

 

正直に言えば凄く嬉しくて堪らない。

しかし今の私はそれどころじゃない。だからそれに応えることはせず、心を鬼にしての口づけ攻撃を両手で阻止する。いわゆる断腸の想いってやつだ。

エドは不満そうな表情を浮かべるが私に無理強いすることはない、最後の口づけを頭にしたあと名残惜しそうにしながらも渋々止めてくれる。


「エドって…あー今何歳なのかな…」

「確か300歳と少しだな…。興味がないから数えるのを止めてしまったが、それがどうした、うん?…ま、まさかおじさんが嫌だというのか…アン」

みるみる間に顔面蒼白になってしまうエド。
大丈夫、私はそんなことを気にしていないから。
そもそも竜王が長生きなのは有名な話で私を含めて知らない人なんていないからね…。


「違うよ、そうじゃなくてね。えっと、私ってを喪失したでしょう…。つまり私とエドは正確には番として結ばれないってことだよね?」

「ああそうとも言えるな。私にとってはアンは変わらずに番だが、アンからしたら私は番ではなくということになるな」

と言う部分を強調して言いながら嬉しそうな顔をするエドに今は少しイラついてしまう。


 今はそんな場合じゃないから!!
 もっと気にするべきことが他にあるからねっ!
  

私の頭を占めるのは番同士の結婚とそうじゃない結婚の差だ。別に愛があればどちらだって構わない、それは本当だ。番ではなくても愛し続けると誓える。




*************************

※あと数話で完結です。

沢山のお気に入り登録、感想に励まされここまで来れました。
皆様、本当に有り難うございます。

最後までお付き合い頂けましたら幸いです♪



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