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79.想い②
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私がエドの綺麗な右目をまっすぐに見つめると、彼も目を逸らせずにいてくれている。
「さっきも言ったように私はエドの嘘なんて最初から信じなかった。エドにはなんか訳があるんだろうなって思ったから一旦はその場を去ることにしたの。
でも私の耳はとてもいいからあの後の離宮でのエドの慟哭とワンの遠吠えはしっかり聞こえていた。そしてやっぱり何か深い理由があるんだと確信した。
だから私はなにがエドを追い詰めたのかまずは知ることにしたの。何も知らないのにエドに会いに行っても駄目だと思ったから。
何を調べていいのか分からなかったから、とりあえずありとあらゆる情報を集めることにしたわ。
本当に大変だったんだよ。
色々なところに出入りして人脈を広げてさり気なくみんなから話しを聞きだしたり、こっそりと医療記録とか王宮での出来事を綴ったマル秘書類とかを遡れるところまで調べていったんだから。
ふふふ、見つかりそうになって何度もドキドキしちゃった。
たくさんの断片的な情報はそれ一つでは何も意味をなさなかった。でもね、それを繋ぎ合わせていくと朧気だけど何かが見えて来たわ。
でも最後のピースが足りなくて行き詰っていたら父の言葉を思い出したの。
『困ったことがあったら一人で我慢せずに家族を頼りなさい』
家族に相談しようと決めたら、薬師の父がいつも腰に差している似合わない剣と5年前に王宮からなくなった竜殺剣の情報が結びついたの…。
きっと家族が最後の重要なピースになってくれる、これですべてが揃うと思ったわ」
エドは黙ったまま私の話に耳を傾けてくれている。相変わらず辛そうな表情のままだけど、聞いてくれているならいい。あと少しで状況は変わるはず、だからもう少しだけ私に付き合って。
「家族に私は全てを話したわ。エドへの想いや拒絶されたことや王宮で調べて分かったこと、そして私がそれを知りどのような仮説を立てているか。
家族はね…、全部話してくれたわ。15年前のことから今までのことすべてを教えてくれた。
私の身に起こった悲劇を、周りの対応を……」
そう…家族は泣きながら話してくれた、自分達が悪かったのだと謝りながら。少しは自分達に都合よく語ってもいいのに『これは私達の罪だ』と言い切り隠すことなく話してくれた。
全てを語り終わった家族と私は抱き合いながら号泣していた。
私は10年間の記憶はないので、家族の苦しみは想像するしかないけど、この苦しみを私に一欠けらも見せることなく、温かく見守ってくれた両親、トム兄、ミンには感謝しかない。
‥‥かけがえのない家族だ。
もう謝らないで、みんなは悪くなんてないから。
どんなに愛してくれているか、ちゃんと分かっているから。
誰も悪くない…、きっとすれ違ってしまっただけ。お互いを想うあまり考え過ぎてしまっただけ。
あんな結果になったけど、でも私はいま幸せだよ。それは一番近くにいてくれたみんながよく知っているでしょう。
ねえ…だから笑おう。
幸せなんだから笑っていよう…。
父は竜殺剣を私に託し『どう使うかはアンに任せる。自分が信じる道を進みなさい』と背中を押してくれた。
私は首の傷跡を触るが失った記憶を思いだすことはない。この傷を触って思うことは『犬は無罪だったんだな…、ごめん』ということだけだ。
「さっきも言ったように私はエドの嘘なんて最初から信じなかった。エドにはなんか訳があるんだろうなって思ったから一旦はその場を去ることにしたの。
でも私の耳はとてもいいからあの後の離宮でのエドの慟哭とワンの遠吠えはしっかり聞こえていた。そしてやっぱり何か深い理由があるんだと確信した。
だから私はなにがエドを追い詰めたのかまずは知ることにしたの。何も知らないのにエドに会いに行っても駄目だと思ったから。
何を調べていいのか分からなかったから、とりあえずありとあらゆる情報を集めることにしたわ。
本当に大変だったんだよ。
色々なところに出入りして人脈を広げてさり気なくみんなから話しを聞きだしたり、こっそりと医療記録とか王宮での出来事を綴ったマル秘書類とかを遡れるところまで調べていったんだから。
ふふふ、見つかりそうになって何度もドキドキしちゃった。
たくさんの断片的な情報はそれ一つでは何も意味をなさなかった。でもね、それを繋ぎ合わせていくと朧気だけど何かが見えて来たわ。
でも最後のピースが足りなくて行き詰っていたら父の言葉を思い出したの。
『困ったことがあったら一人で我慢せずに家族を頼りなさい』
家族に相談しようと決めたら、薬師の父がいつも腰に差している似合わない剣と5年前に王宮からなくなった竜殺剣の情報が結びついたの…。
きっと家族が最後の重要なピースになってくれる、これですべてが揃うと思ったわ」
エドは黙ったまま私の話に耳を傾けてくれている。相変わらず辛そうな表情のままだけど、聞いてくれているならいい。あと少しで状況は変わるはず、だからもう少しだけ私に付き合って。
「家族に私は全てを話したわ。エドへの想いや拒絶されたことや王宮で調べて分かったこと、そして私がそれを知りどのような仮説を立てているか。
家族はね…、全部話してくれたわ。15年前のことから今までのことすべてを教えてくれた。
私の身に起こった悲劇を、周りの対応を……」
そう…家族は泣きながら話してくれた、自分達が悪かったのだと謝りながら。少しは自分達に都合よく語ってもいいのに『これは私達の罪だ』と言い切り隠すことなく話してくれた。
全てを語り終わった家族と私は抱き合いながら号泣していた。
私は10年間の記憶はないので、家族の苦しみは想像するしかないけど、この苦しみを私に一欠けらも見せることなく、温かく見守ってくれた両親、トム兄、ミンには感謝しかない。
‥‥かけがえのない家族だ。
もう謝らないで、みんなは悪くなんてないから。
どんなに愛してくれているか、ちゃんと分かっているから。
誰も悪くない…、きっとすれ違ってしまっただけ。お互いを想うあまり考え過ぎてしまっただけ。
あんな結果になったけど、でも私はいま幸せだよ。それは一番近くにいてくれたみんながよく知っているでしょう。
ねえ…だから笑おう。
幸せなんだから笑っていよう…。
父は竜殺剣を私に託し『どう使うかはアンに任せる。自分が信じる道を進みなさい』と背中を押してくれた。
私は首の傷跡を触るが失った記憶を思いだすことはない。この傷を触って思うことは『犬は無罪だったんだな…、ごめん』ということだけだ。
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