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47.アンの叫び④
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これ以上傷つきたくない!
もう嫌なの…辛いの…。
愛して…いるの心から。
…だからもう終わりにしたい。
………いいよね?
ウン、モウイイヨ。
「やめてーーー!もう嘘なんて聞きたくないの。
私はね、10年前から貴方を愛していた、番として愛していたのよ。
いつか会いに来てくれると信じてずっと良い子にして待っていた。
笑って待っていた…そうすれば会えると…。
でも来なかった一度だって。手紙さえも無かった。
ふふ…、一年前に兎獣人の血の影響からか耳が変化した。それと同時に番を求める本能も明らかに変化したの、貴方を求める狂おしいほどの想いが…辛かった。
愛してくれないのに愛することを止められないっ!
そしてある日…この耳が貴方が来ない訳を、現実を、教えてくれたの。
あっはは、はは…。もう訳が分からなくなって……ははっは…。
でも私ちゃんと正解に辿り着けたの、ふふふ凄いでしょう。
……褒めてくださいな。ああ、まだ駄目ですね。
失敗してまだ生きているから…。ごめんなさい、番を幸せにすら出来ない『出来損ないの番』で…。
でも大丈夫です、今度こそちゃんと貴方を幸せにしますから!
うふふ‥ふふ‥‥、今度は心臓を刺そうかしら?あっ、でもより確実に抉り出すほうがいいかしら?
っくくく…、あはははっは……どれも素敵でまよっ…ちゃ、ふっふふーーーー」
溢れる想いを止められない。それに高揚感からなのか楽しくて笑いが止まらない。
「アン、アンーー。しっかりしてくれっ、アン!
そんな事する必要はないんだ、愛しているんだ!アンーーー」
アン?と呼んでくれてるけど…。
それよりもっと相応しい名があるわ。
「アンじゃないわ、ふふふ…ちがうでしょう。
つ・が・い・さ・ま、あはははーーーー」
竜王様が痛ましそうな目を向けて『アンだ。私の愛するアンなんだ』と何度も繰り返している。
違う、私は可哀想じゃない!
番を幸せにするんだから…私も幸せなのよ!
やめて、憐れまないで………。
「…や、やめて……そんな目で見ないで………。
私は幸せなの…し・あ・わ・せなの。
ああ違うわ…、私が死んで貴方を幸せに出来たなら、私は幸せになれるの。
すぐに死ななくっちゃ‥‥ふふふふ、うっふふ。
……まってて。あ、ああああーーーーー!」
すぐに彼を幸せにしてあげたい。でも近くには何もないから、首の包帯の下にある傷を無理矢理掻きむしる。
みるみる間に白い包帯が深紅に染まっていく。
痛みはあるけど、この痛みが彼を幸せにすると思えば平気だった。幸せは痛みすら忘れさせてくれた。
血が付いた手を見て恍惚の表情を浮かべていると周りがなにやら騒がしい。
『番様、番様、お止めください!!』
何を言っているの?
完璧な番様なのにまだ注意をするの?
もういい加減にして。
私はちゃんとやっているでしょう。
ほら、笑顔だって浮かべているわ。
『アンやめろ、お願いだやめてくれっ』
竜王様が必死の形相で私の両手首を押さえてくる。まだ途中なのに…これでは動かせない。
そんな事をしたら死ねないわ。
ああ、このやり方はお気に召さないの…?
なら今度はどれがいいかしら。
にっこりと笑いながら首を傾げていると、竜王様がそっと抱き締めてくれた。
耳元で必死に何か言っているのが息遣いで分かるけど、彼の声はもう聞こえない。
残念だけど仕方がない、音は聞こえているけど、もう誰の言葉もよく理解できない。
なぜか言葉はただの音になってしまったみたいだ。
でも困らないからもういい。
ふわふわとして現実感が薄れていく。
すごくいい気分だわ。
…もういいわ……もう…。
『ふふふ…あはははは…………』
『アンー、アンーーーーー。
しっかりしてくれっーーー』
誰かの絶叫と自分の笑い声がどこからか聞こえてくる気がする。竜王様の最初で最後の抱擁に私は笑いながら意識を手離していった。
目を閉じる寸前に目に入った愛おしい番の顔を私はきっと忘れないだろう。
絶望に満ちていて、それでいて狂おしいほどの愛を感じさせるそんな顔だった。彼にそんな顔をさせることが出来る人が羨ましい。
………私にもそんな表情をして欲しかったな。
素敵な夢に包まれ私はまたあの心地良い闇へと落ちていった。
もう嫌なの…辛いの…。
愛して…いるの心から。
…だからもう終わりにしたい。
………いいよね?
ウン、モウイイヨ。
「やめてーーー!もう嘘なんて聞きたくないの。
私はね、10年前から貴方を愛していた、番として愛していたのよ。
いつか会いに来てくれると信じてずっと良い子にして待っていた。
笑って待っていた…そうすれば会えると…。
でも来なかった一度だって。手紙さえも無かった。
ふふ…、一年前に兎獣人の血の影響からか耳が変化した。それと同時に番を求める本能も明らかに変化したの、貴方を求める狂おしいほどの想いが…辛かった。
愛してくれないのに愛することを止められないっ!
そしてある日…この耳が貴方が来ない訳を、現実を、教えてくれたの。
あっはは、はは…。もう訳が分からなくなって……ははっは…。
でも私ちゃんと正解に辿り着けたの、ふふふ凄いでしょう。
……褒めてくださいな。ああ、まだ駄目ですね。
失敗してまだ生きているから…。ごめんなさい、番を幸せにすら出来ない『出来損ないの番』で…。
でも大丈夫です、今度こそちゃんと貴方を幸せにしますから!
うふふ‥ふふ‥‥、今度は心臓を刺そうかしら?あっ、でもより確実に抉り出すほうがいいかしら?
っくくく…、あはははっは……どれも素敵でまよっ…ちゃ、ふっふふーーーー」
溢れる想いを止められない。それに高揚感からなのか楽しくて笑いが止まらない。
「アン、アンーー。しっかりしてくれっ、アン!
そんな事する必要はないんだ、愛しているんだ!アンーーー」
アン?と呼んでくれてるけど…。
それよりもっと相応しい名があるわ。
「アンじゃないわ、ふふふ…ちがうでしょう。
つ・が・い・さ・ま、あはははーーーー」
竜王様が痛ましそうな目を向けて『アンだ。私の愛するアンなんだ』と何度も繰り返している。
違う、私は可哀想じゃない!
番を幸せにするんだから…私も幸せなのよ!
やめて、憐れまないで………。
「…や、やめて……そんな目で見ないで………。
私は幸せなの…し・あ・わ・せなの。
ああ違うわ…、私が死んで貴方を幸せに出来たなら、私は幸せになれるの。
すぐに死ななくっちゃ‥‥ふふふふ、うっふふ。
……まってて。あ、ああああーーーーー!」
すぐに彼を幸せにしてあげたい。でも近くには何もないから、首の包帯の下にある傷を無理矢理掻きむしる。
みるみる間に白い包帯が深紅に染まっていく。
痛みはあるけど、この痛みが彼を幸せにすると思えば平気だった。幸せは痛みすら忘れさせてくれた。
血が付いた手を見て恍惚の表情を浮かべていると周りがなにやら騒がしい。
『番様、番様、お止めください!!』
何を言っているの?
完璧な番様なのにまだ注意をするの?
もういい加減にして。
私はちゃんとやっているでしょう。
ほら、笑顔だって浮かべているわ。
『アンやめろ、お願いだやめてくれっ』
竜王様が必死の形相で私の両手首を押さえてくる。まだ途中なのに…これでは動かせない。
そんな事をしたら死ねないわ。
ああ、このやり方はお気に召さないの…?
なら今度はどれがいいかしら。
にっこりと笑いながら首を傾げていると、竜王様がそっと抱き締めてくれた。
耳元で必死に何か言っているのが息遣いで分かるけど、彼の声はもう聞こえない。
残念だけど仕方がない、音は聞こえているけど、もう誰の言葉もよく理解できない。
なぜか言葉はただの音になってしまったみたいだ。
でも困らないからもういい。
ふわふわとして現実感が薄れていく。
すごくいい気分だわ。
…もういいわ……もう…。
『ふふふ…あはははは…………』
『アンー、アンーーーーー。
しっかりしてくれっーーー』
誰かの絶叫と自分の笑い声がどこからか聞こえてくる気がする。竜王様の最初で最後の抱擁に私は笑いながら意識を手離していった。
目を閉じる寸前に目に入った愛おしい番の顔を私はきっと忘れないだろう。
絶望に満ちていて、それでいて狂おしいほどの愛を感じさせるそんな顔だった。彼にそんな顔をさせることが出来る人が羨ましい。
………私にもそんな表情をして欲しかったな。
素敵な夢に包まれ私はまたあの心地良い闇へと落ちていった。
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