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27.悲劇の真相①
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私は狂気が起こらない理由を宰相達に手短に説明する。
彼らにあの時のアンの言葉は聞こえていなかったが、今の私の状態がそれが真実だと教えてくれる。
納得したのか彼らの悲壮感が少しは和らいでいく。
私がアンの元に行こうとすると、神妙な顔をして宰相がまた話を始める。
「番様に会われる前に現在の状況をご説明いたします。
今日は婚姻の儀から丸二日ほど経っています。番様は重傷ですが、とりあえず峠は越えたと医師は判断しています。
ですがまだ目覚められてはおりません。
竜王様がどうなるか分からなかった為、王宮にある正妃様のお部屋ではなく離宮にお連れしています」
宰相の言葉を聞いて、少しだけ落ち着くことが出来た。
「分かった。まずはアンに会いに行く、話はその後だ」
それだけ言うと、止めようとしていた臣下達を睨みつけ下がらせてから離宮へと向かう。
誰が何と言おうとアンのことが最優先事項だ。
それが伝わったのだろう、彼らも無言で私のあとに続いた。
歩くたびに激痛が走るが、離宮に近づくほどアンの気配をより感じられ心がざわつき引き寄せられる。
そしてはやる気持ちのままに歩みを更に速める。
は、はっ…、ぐっぅ……。
あと…少しで、愛おしいアンに会える。
早く怪我の状態を確かめなくては…。
きっと痛むだろう、辛いだろう。
くそっ、私が変わってやれたら…。
気ばかり焦るが、思った以上に傷が深いせいか一歩進むごとに激痛が走り普段のようには歩けない。
『ちっ、こんな時に役立たずがっ』
情けないざまの自分自身を罵倒しながら、必死で進んで行った。
離宮に着くと、二日前にアンを迎えに来た時とは打って変わって静まり返っていた。まるで違う場所のようだ。
侍女達は忙しく動き回ってるがみな無言のままで表情も暗い。
私の姿に気がつくと頭を下げてくるが、番であるアンのことが気になっているからだろう、私を見ているようで見ていないそんな感じだった。
離宮を任されている侍女長がふらつきながら私の前に進み出て来る。
「竜王様、お目覚めになられたのですね。
では番様のところにご案内いたします」
目の下に隈ができ今にも倒れそうな様子の侍女長は必要最低限の言葉だけを口にすると部屋へと無言で案内する。
そして番の部屋の前に来るとノックもせずにそっと扉を開ける。
ギギ、キ……。
静寂ななか微かな扉の音が不自然なほど大きく聞こえてくる。
中に入り進むと窓際にベットが置かれていてその周りには医師や侍女達が控えている。
ベットの上には首に白い包帯を巻かれている痛々しい姿のアンが横たわっている。
惹きつけられる甘い感覚に頭の痛みさえも感じられない。
この感覚はまさに極上の麻薬のようだ。
私がアンに近づいて行くと、周りにいた者達は静かに後ろへと下がっていく。
ベットの上には静かに横たわるアン。
あの日はすべてが血塗れになっていたが、今は綺麗に拭われてる。
眠っている顔は穏やかに見えるが、その顔色は白を通り越して青白い。その鼓動がなければ永遠の眠りについてるように錯覚してしまいそうだ。
アン…、アン…。
どうしてなんだ?
なぜあんなことをした…。
私達は愛し合っているのに、なぜなんだ…。
ああ、痛いよな。
きっと苦しいよな…。
すまない、ちゃんと守ってやれなくて。
アン、アン……愛しているよ。
心から愛しているから、どうか……。
眠っているアンの髪を優しく撫で、その額にそっと口づけを落とす。
初めての口づけ、そっと触れるだけのものだが甘い香りに酔ってしまう。
「竜王様、番様は重傷でございますのでそれくらいで……」
無粋な声に甘い時間を邪魔される。だがそれも今の状況では仕方がない。
「アンの容態の説明をしてくれ」
私が早口でそう言うと医師は落ち着いた声で説明を始めた。
彼らにあの時のアンの言葉は聞こえていなかったが、今の私の状態がそれが真実だと教えてくれる。
納得したのか彼らの悲壮感が少しは和らいでいく。
私がアンの元に行こうとすると、神妙な顔をして宰相がまた話を始める。
「番様に会われる前に現在の状況をご説明いたします。
今日は婚姻の儀から丸二日ほど経っています。番様は重傷ですが、とりあえず峠は越えたと医師は判断しています。
ですがまだ目覚められてはおりません。
竜王様がどうなるか分からなかった為、王宮にある正妃様のお部屋ではなく離宮にお連れしています」
宰相の言葉を聞いて、少しだけ落ち着くことが出来た。
「分かった。まずはアンに会いに行く、話はその後だ」
それだけ言うと、止めようとしていた臣下達を睨みつけ下がらせてから離宮へと向かう。
誰が何と言おうとアンのことが最優先事項だ。
それが伝わったのだろう、彼らも無言で私のあとに続いた。
歩くたびに激痛が走るが、離宮に近づくほどアンの気配をより感じられ心がざわつき引き寄せられる。
そしてはやる気持ちのままに歩みを更に速める。
は、はっ…、ぐっぅ……。
あと…少しで、愛おしいアンに会える。
早く怪我の状態を確かめなくては…。
きっと痛むだろう、辛いだろう。
くそっ、私が変わってやれたら…。
気ばかり焦るが、思った以上に傷が深いせいか一歩進むごとに激痛が走り普段のようには歩けない。
『ちっ、こんな時に役立たずがっ』
情けないざまの自分自身を罵倒しながら、必死で進んで行った。
離宮に着くと、二日前にアンを迎えに来た時とは打って変わって静まり返っていた。まるで違う場所のようだ。
侍女達は忙しく動き回ってるがみな無言のままで表情も暗い。
私の姿に気がつくと頭を下げてくるが、番であるアンのことが気になっているからだろう、私を見ているようで見ていないそんな感じだった。
離宮を任されている侍女長がふらつきながら私の前に進み出て来る。
「竜王様、お目覚めになられたのですね。
では番様のところにご案内いたします」
目の下に隈ができ今にも倒れそうな様子の侍女長は必要最低限の言葉だけを口にすると部屋へと無言で案内する。
そして番の部屋の前に来るとノックもせずにそっと扉を開ける。
ギギ、キ……。
静寂ななか微かな扉の音が不自然なほど大きく聞こえてくる。
中に入り進むと窓際にベットが置かれていてその周りには医師や侍女達が控えている。
ベットの上には首に白い包帯を巻かれている痛々しい姿のアンが横たわっている。
惹きつけられる甘い感覚に頭の痛みさえも感じられない。
この感覚はまさに極上の麻薬のようだ。
私がアンに近づいて行くと、周りにいた者達は静かに後ろへと下がっていく。
ベットの上には静かに横たわるアン。
あの日はすべてが血塗れになっていたが、今は綺麗に拭われてる。
眠っている顔は穏やかに見えるが、その顔色は白を通り越して青白い。その鼓動がなければ永遠の眠りについてるように錯覚してしまいそうだ。
アン…、アン…。
どうしてなんだ?
なぜあんなことをした…。
私達は愛し合っているのに、なぜなんだ…。
ああ、痛いよな。
きっと苦しいよな…。
すまない、ちゃんと守ってやれなくて。
アン、アン……愛しているよ。
心から愛しているから、どうか……。
眠っているアンの髪を優しく撫で、その額にそっと口づけを落とす。
初めての口づけ、そっと触れるだけのものだが甘い香りに酔ってしまう。
「竜王様、番様は重傷でございますのでそれくらいで……」
無粋な声に甘い時間を邪魔される。だがそれも今の状況では仕方がない。
「アンの容態の説明をしてくれ」
私が早口でそう言うと医師は落ち着いた声で説明を始めた。
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