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12.それぞれの決断①
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~竜王視点~
「分かった、婚姻を結ぶその時まで私は番には会わない。……番の命がなによりも大切だからな」
私は決断した。10年間も会えずに正気を保っていられるか正直分からない。だが何もせず愛おしい番を危険に晒し続けるよりはましだった。
「竜王様、ご英断でございます。我々臣下も出来る限り竜王様と番様が健やかに過ごせるように微力ながらお手伝いさせていただきます」
なにも解決などしていないけれども、僅かながら希望が見えたことで臣下達の表情は明るくなり宰相の声も気力に満ちている。きっと忠義に厚い彼らは私と番の為に骨身を削って尽くしてくれるだろう。
今はそれだけが救いだった。
「これから離宮で何不自由なく番が過ごせるように手配しろ。あの子はまだ幼い、色々と心配りをしてくれ。
なにかあったらすぐに私に知らせるんだ、分かったな」
「はい、承知いたしました」
宰相が答えてから頭を下げると、他の者達も一斉にそれに続く。
私はそれから番の様子を逐一報告をさせていたが、決してその姿を直接見には行かなかった。姿絵でその成長を知り、報告を聞き愛おしい番の様子を想像する。
ほんの僅かな幸福感と酷い渇望。
心は疲弊していく一方だが、これは乗り越えなければならない試練だ。
番を守る、絶対に守る、守るんだ。
万が一にも傷つけないように…。
ああ…、すまない。
こんな不甲斐ない番で…。
だが、手離せないんだ。
君は私の唯一で、かけがえのない人だから。
許してくれ……。
絶対に幸せにして見せるから。
人間である番の心の成長を邪魔しないように、気持ちを押し付けるような手紙も送らずに書いては自分で破り捨て続けた。
~宰相視点~
竜王様に番が見つかったのは喜ばしい事だった。
獣人は番と巡り合えば幸せな人生が約束される。そのうえ本来持っている能力以上の力を得ることが出来るのだ。
齢300歳の竜王様は賢王と名高い人だ、きっと番を得た後はより国の為に尽くしてくれるだろう。
まさかその番のために竜王様が暴走してしまうとは…。
竜王様は誰よりも強大の力を持っているので、その暴走を力づくで止めることなど不可能だった。
番様を殺めた後に自害する未来などあってはならない。
残された選択肢はひとつだけ。
人間の番様が婚姻を結べる年齢になるまで会わないこと。
ぎりぎり近くに置くが、顔を合わせることはしない。そうする事によって竜王様の理性と狂気のバランスを保つのだ。
遠くにやれば番様の身を求めて追いかけてしまうだろう。
だから離宮がちょうどいい。
自分の手元にいる感覚はあるから耐えられるはず…。
正直に言えば誰も『これで大丈夫だ』と確信はない。だが大丈夫だと信じて進言するしかなかった。
仕方がないのだ、これしか方法がない。
我々には竜王様を止める力はないのだから…。
どうにかして竜王様と番様をお守りしたい。
その気持ちに偽りはない、偉大な竜王様とその番は大切なお方なのだ。
臣下達一同も同じ気持ちだ。
きっと竜王様にも伝わったのだろう、苦しみながらも決断して下さった。
我々を信じて、大切な番様を預けて下さったのだ。
もとより忠誠を誓っていたがその気持ちが更に高まる。
絶対に期待の応えてみせる。
竜王様と番様に幸せになって頂く。
絶対に…。
『竜王様と番様が健やかに過ごせるように微力ながらお手伝いさせていただきます』
竜王様に返す言葉にも力が入る。
私は竜王様と番様が10年後に笑っていて欲しかった、そして番としてあるべき姿になって頂くべく様々な指示を各所に出すことにした。
「分かった、婚姻を結ぶその時まで私は番には会わない。……番の命がなによりも大切だからな」
私は決断した。10年間も会えずに正気を保っていられるか正直分からない。だが何もせず愛おしい番を危険に晒し続けるよりはましだった。
「竜王様、ご英断でございます。我々臣下も出来る限り竜王様と番様が健やかに過ごせるように微力ながらお手伝いさせていただきます」
なにも解決などしていないけれども、僅かながら希望が見えたことで臣下達の表情は明るくなり宰相の声も気力に満ちている。きっと忠義に厚い彼らは私と番の為に骨身を削って尽くしてくれるだろう。
今はそれだけが救いだった。
「これから離宮で何不自由なく番が過ごせるように手配しろ。あの子はまだ幼い、色々と心配りをしてくれ。
なにかあったらすぐに私に知らせるんだ、分かったな」
「はい、承知いたしました」
宰相が答えてから頭を下げると、他の者達も一斉にそれに続く。
私はそれから番の様子を逐一報告をさせていたが、決してその姿を直接見には行かなかった。姿絵でその成長を知り、報告を聞き愛おしい番の様子を想像する。
ほんの僅かな幸福感と酷い渇望。
心は疲弊していく一方だが、これは乗り越えなければならない試練だ。
番を守る、絶対に守る、守るんだ。
万が一にも傷つけないように…。
ああ…、すまない。
こんな不甲斐ない番で…。
だが、手離せないんだ。
君は私の唯一で、かけがえのない人だから。
許してくれ……。
絶対に幸せにして見せるから。
人間である番の心の成長を邪魔しないように、気持ちを押し付けるような手紙も送らずに書いては自分で破り捨て続けた。
~宰相視点~
竜王様に番が見つかったのは喜ばしい事だった。
獣人は番と巡り合えば幸せな人生が約束される。そのうえ本来持っている能力以上の力を得ることが出来るのだ。
齢300歳の竜王様は賢王と名高い人だ、きっと番を得た後はより国の為に尽くしてくれるだろう。
まさかその番のために竜王様が暴走してしまうとは…。
竜王様は誰よりも強大の力を持っているので、その暴走を力づくで止めることなど不可能だった。
番様を殺めた後に自害する未来などあってはならない。
残された選択肢はひとつだけ。
人間の番様が婚姻を結べる年齢になるまで会わないこと。
ぎりぎり近くに置くが、顔を合わせることはしない。そうする事によって竜王様の理性と狂気のバランスを保つのだ。
遠くにやれば番様の身を求めて追いかけてしまうだろう。
だから離宮がちょうどいい。
自分の手元にいる感覚はあるから耐えられるはず…。
正直に言えば誰も『これで大丈夫だ』と確信はない。だが大丈夫だと信じて進言するしかなかった。
仕方がないのだ、これしか方法がない。
我々には竜王様を止める力はないのだから…。
どうにかして竜王様と番様をお守りしたい。
その気持ちに偽りはない、偉大な竜王様とその番は大切なお方なのだ。
臣下達一同も同じ気持ちだ。
きっと竜王様にも伝わったのだろう、苦しみながらも決断して下さった。
我々を信じて、大切な番様を預けて下さったのだ。
もとより忠誠を誓っていたがその気持ちが更に高まる。
絶対に期待の応えてみせる。
竜王様と番様に幸せになって頂く。
絶対に…。
『竜王様と番様が健やかに過ごせるように微力ながらお手伝いさせていただきます』
竜王様に返す言葉にも力が入る。
私は竜王様と番様が10年後に笑っていて欲しかった、そして番としてあるべき姿になって頂くべく様々な指示を各所に出すことにした。
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