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7.再会~兄視点~②
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妹のアンとの再会を前に俺達家族は王宮の偉い人から長々と注意事項を話されていた。
「いいですね、決して番様に失礼な態度を取らないようにしてください。番様は竜王様の妃になるお方です。家族とはいえ平民であるあなた方が馴れ馴れしくしたら番様まで軽く見られてしまうことになり兼ねません。そうなれば後々辛い思いをするのは番様ご自身です。
番様のことを大切に思うならくれぐれも自重してください。言葉使い、態度ともに。
どうかお願い致します」
丁寧な物言いでこちらを見下してはいないのは分かる。だが決して拒否など許されないことが伝わってくる。
もしこれを破るようなことがあれば二度と会わせては貰えないのだろう。
『番様のため』の名のもとに…。
頭に来るほど狡い言い方だが、俺達家族にこの言葉は効いた。アンの不利になるようなことはしたくないのは俺達も同じだからだ。
面会を前にして緊張で身体が震えてくる。両親のほうも同じようで、顔色が悪くなっている。
上の身分の人からの言葉は、その意図がなくても平民の俺達にとっては脅しのように感じてしまう。
「…はい、わかりました」
父が意を決したようにそう言うと、相手は満足そうに頷きながら『ご理解いただけて良かったです』と笑顔を見せた。
だが両親と俺は噓でも笑うことなど出来なかった。この場所でなにか失敗したらもう二度とアンに会えないのだと分かったから。
訳が分かっていない末の妹だけがにっこりと笑っていたのが救いだった。
アンとの再会は極度の緊張のなか行われる事となった。
「お久し振りです、お元気でしたか?
今日は会いに来てくださり有り難うございます」
六年前に別れたアンは驚くほど綺麗な少女になっていた。それに豪華な衣装に洗礼された立ち振る舞いに言葉使い。
どれをとっても昔のアンの面影がなく、戸惑いを隠せない。
うぁ…、ちびの奴変わったな。
なんか…その…。
俺達とは住む世界が違っている。
急に平民のままの自分が恥ずかしくなった。
持っている中で一番良い服を着て来たけど、ここではそれもただの服でしかない。
もしかしたらこんな平民の兄を恥ずかしく思っているのではないか、だから今まで会ってくれなかったのかと考えてしまう。
それほどアンの丁寧な態度は余所余所しく他人行儀に感じてしまった。
隣にいる両親も明らかに動揺している。王宮からは釘を刺されているうえ、アンの態度も一線を引いたものなら、こちらが以前と同じ様にしていいはずがない。
妹のアンではなく『竜王様の番』という存在が俺の心の中で大きくなる。
きっと両親も同じように感じていたのだろう。
そんななか空気を読まない末の妹が
「このひとだーれ?」
と無邪気に笑いながら聞いた。
「こ、こら!この方はな偉大な竜王様の番様だ。
指を差したりするんじゃない。失礼だろうが!」
父はこの場の雰囲気に飲まれたのか、アンを姉と紹介せずに『番様』と言って他人行儀に謝った。
『えっ、どうして。…父さん』と思ったが、アンの後ろに控えている王宮の人達の『無礼は許さない』という無言の表情を見て納得した。
ああ、これでは駄目なんだ。
丁寧に接しないと二度目はないんだ…。
アンの後ろに控えている目がある限り、前のように接することは許されない。
父は『申し訳ありません』と頭を下げてから末の妹を抱き上げながらそっと俺達に目配せをしてきた。
「いいですね、決して番様に失礼な態度を取らないようにしてください。番様は竜王様の妃になるお方です。家族とはいえ平民であるあなた方が馴れ馴れしくしたら番様まで軽く見られてしまうことになり兼ねません。そうなれば後々辛い思いをするのは番様ご自身です。
番様のことを大切に思うならくれぐれも自重してください。言葉使い、態度ともに。
どうかお願い致します」
丁寧な物言いでこちらを見下してはいないのは分かる。だが決して拒否など許されないことが伝わってくる。
もしこれを破るようなことがあれば二度と会わせては貰えないのだろう。
『番様のため』の名のもとに…。
頭に来るほど狡い言い方だが、俺達家族にこの言葉は効いた。アンの不利になるようなことはしたくないのは俺達も同じだからだ。
面会を前にして緊張で身体が震えてくる。両親のほうも同じようで、顔色が悪くなっている。
上の身分の人からの言葉は、その意図がなくても平民の俺達にとっては脅しのように感じてしまう。
「…はい、わかりました」
父が意を決したようにそう言うと、相手は満足そうに頷きながら『ご理解いただけて良かったです』と笑顔を見せた。
だが両親と俺は噓でも笑うことなど出来なかった。この場所でなにか失敗したらもう二度とアンに会えないのだと分かったから。
訳が分かっていない末の妹だけがにっこりと笑っていたのが救いだった。
アンとの再会は極度の緊張のなか行われる事となった。
「お久し振りです、お元気でしたか?
今日は会いに来てくださり有り難うございます」
六年前に別れたアンは驚くほど綺麗な少女になっていた。それに豪華な衣装に洗礼された立ち振る舞いに言葉使い。
どれをとっても昔のアンの面影がなく、戸惑いを隠せない。
うぁ…、ちびの奴変わったな。
なんか…その…。
俺達とは住む世界が違っている。
急に平民のままの自分が恥ずかしくなった。
持っている中で一番良い服を着て来たけど、ここではそれもただの服でしかない。
もしかしたらこんな平民の兄を恥ずかしく思っているのではないか、だから今まで会ってくれなかったのかと考えてしまう。
それほどアンの丁寧な態度は余所余所しく他人行儀に感じてしまった。
隣にいる両親も明らかに動揺している。王宮からは釘を刺されているうえ、アンの態度も一線を引いたものなら、こちらが以前と同じ様にしていいはずがない。
妹のアンではなく『竜王様の番』という存在が俺の心の中で大きくなる。
きっと両親も同じように感じていたのだろう。
そんななか空気を読まない末の妹が
「このひとだーれ?」
と無邪気に笑いながら聞いた。
「こ、こら!この方はな偉大な竜王様の番様だ。
指を差したりするんじゃない。失礼だろうが!」
父はこの場の雰囲気に飲まれたのか、アンを姉と紹介せずに『番様』と言って他人行儀に謝った。
『えっ、どうして。…父さん』と思ったが、アンの後ろに控えている王宮の人達の『無礼は許さない』という無言の表情を見て納得した。
ああ、これでは駄目なんだ。
丁寧に接しないと二度目はないんだ…。
アンの後ろに控えている目がある限り、前のように接することは許されない。
父は『申し訳ありません』と頭を下げてから末の妹を抱き上げながらそっと俺達に目配せをしてきた。
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