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6.再会~兄視点~①
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六歳の妹が番と巡り合った。
人との混血が進み我が家は純粋な獣人ではない、姿だけ見れば人と大差はなく父だけが兎獣人の耳を持っている。だけど獣人の血が流れている両親も俺も『番』と出会えた妹の幸運を喜んだ、それはもう手放しで。
だって獣人の血が流れる者にとって『番』と歩む人生は幸せのそのものだ。
だけどその幸運を素直に喜んだのは最初だけだった。
「えっ、どうして!ちびは帰ってこないの?」
「仕方がないんだ。あの子の番は竜王様だった。それはとても幸せなことだが、同時に危険も多いんだよ。」
「どういうこと?危険なの?じゃあなおさら家族が守ってあげようよ!アンはまだ小さいし甘えん坊じゃないか!きっと怖くて泣いているよ」
「…そうしたいが、私達にはその力がない。もし竜王の番を狙う悪い奴らが襲ってきたら守ることが出来ないんだ。
だからアンは王宮で竜王様に守られて暮らすことになったんだ。それに番に守られて暮らすことはなによりも幸せだからな。
一緒には暮らせないけど、こちらから頻繁に会いに行こう。アンが淋しくないように」
納得はいかなかったけど、妹が危険な目に遭うのは嫌だし番が見つかった獣人は番から離れることを良しとはしないのも当然のこと。
番が幼い時は家族の了承を得て傍で一緒に生活する事もよくある。
俺達家族に流れている獣人の血が『番』を肯定し、この状況を受け入れた。
妹の為になるそう思って受け入れた…それなのにこれ以降妹に会うことは叶わなくなった。
両親が何度となく王宮に出向いて妹との面会を申し込むが認められない。
「どうしてですか!あの子は私達の娘です、会えないなんておかしいじゃないですか!」
「番様は人間の血が濃いようですね。『番』という感覚が薄いのなら家族と会って里心がついたら家に帰りたいと望まれてしまうかもしれません。
そうなればどうなると思いますか?王宮から出たら番様は危険に晒されてしまうのです。
ですから番様が落ち着かれるまで面会はご遠慮ください」
「そんな…、娘はまだ幼いんですよ。番が傍にいても家族がいなければ、」
「ご心配いりません。竜王様だけでなく我々も誠心誠意お仕えしますから、お引き取りくださいませ」
こちらがどんなに訴えても門前払いだった。
俺達は平民で相手は竜王であり王宮、最初から敵いっこなかった。あまりに違い過ぎた身分も力も何もかも…。
『では手紙だけでも』と両親は渡してもらおうとしたが受け取っても貰えなかった。
それでもなんとかして会おうと両親の王宮通いは続いた。
何の進展もない虚しい日々。
そんななか母の妊娠が分かった、アンが『妹が欲しいな』と言って身籠った子だった。
七か月後に生まれた子はアンが望んでいた通り女の子で、両親も俺もアンに妹を会わせてあげるという目標を持つことが出来た。
『妹を望んでいたアンに絶対にこの子を会わせる』
このことだけを胸に王宮に通い続けた。
幼い妹には姉であるアンのことは敢えて教えなかった。まだ子供の妹は外でなにを言うか分からない、何かが王宮の不興を買いアンと会える日が遠くなるのを防ぐためだった。
そして王宮から妹と会う許可が下りた時にはもうすでに六年も月日が経っていた。
夢にまで見たこの日を明日に控え、我が家では前祝いをしていた。
両親は可愛いアンがどんなに大きくなっているか想像し涙し、俺はちびのアンの髪をぐちゃぐちゃにして『お兄ちゃんやめてよー』と言いながら抱き着いてくる妹を想像し笑っていた。
そんな俺達を末の妹は不思議そうに見ていたが、『明日にはいい事があるぞ』と父が言うと嬉しそうにキャッキャッと笑い声を上げていた。
人との混血が進み我が家は純粋な獣人ではない、姿だけ見れば人と大差はなく父だけが兎獣人の耳を持っている。だけど獣人の血が流れている両親も俺も『番』と出会えた妹の幸運を喜んだ、それはもう手放しで。
だって獣人の血が流れる者にとって『番』と歩む人生は幸せのそのものだ。
だけどその幸運を素直に喜んだのは最初だけだった。
「えっ、どうして!ちびは帰ってこないの?」
「仕方がないんだ。あの子の番は竜王様だった。それはとても幸せなことだが、同時に危険も多いんだよ。」
「どういうこと?危険なの?じゃあなおさら家族が守ってあげようよ!アンはまだ小さいし甘えん坊じゃないか!きっと怖くて泣いているよ」
「…そうしたいが、私達にはその力がない。もし竜王の番を狙う悪い奴らが襲ってきたら守ることが出来ないんだ。
だからアンは王宮で竜王様に守られて暮らすことになったんだ。それに番に守られて暮らすことはなによりも幸せだからな。
一緒には暮らせないけど、こちらから頻繁に会いに行こう。アンが淋しくないように」
納得はいかなかったけど、妹が危険な目に遭うのは嫌だし番が見つかった獣人は番から離れることを良しとはしないのも当然のこと。
番が幼い時は家族の了承を得て傍で一緒に生活する事もよくある。
俺達家族に流れている獣人の血が『番』を肯定し、この状況を受け入れた。
妹の為になるそう思って受け入れた…それなのにこれ以降妹に会うことは叶わなくなった。
両親が何度となく王宮に出向いて妹との面会を申し込むが認められない。
「どうしてですか!あの子は私達の娘です、会えないなんておかしいじゃないですか!」
「番様は人間の血が濃いようですね。『番』という感覚が薄いのなら家族と会って里心がついたら家に帰りたいと望まれてしまうかもしれません。
そうなればどうなると思いますか?王宮から出たら番様は危険に晒されてしまうのです。
ですから番様が落ち着かれるまで面会はご遠慮ください」
「そんな…、娘はまだ幼いんですよ。番が傍にいても家族がいなければ、」
「ご心配いりません。竜王様だけでなく我々も誠心誠意お仕えしますから、お引き取りくださいませ」
こちらがどんなに訴えても門前払いだった。
俺達は平民で相手は竜王であり王宮、最初から敵いっこなかった。あまりに違い過ぎた身分も力も何もかも…。
『では手紙だけでも』と両親は渡してもらおうとしたが受け取っても貰えなかった。
それでもなんとかして会おうと両親の王宮通いは続いた。
何の進展もない虚しい日々。
そんななか母の妊娠が分かった、アンが『妹が欲しいな』と言って身籠った子だった。
七か月後に生まれた子はアンが望んでいた通り女の子で、両親も俺もアンに妹を会わせてあげるという目標を持つことが出来た。
『妹を望んでいたアンに絶対にこの子を会わせる』
このことだけを胸に王宮に通い続けた。
幼い妹には姉であるアンのことは敢えて教えなかった。まだ子供の妹は外でなにを言うか分からない、何かが王宮の不興を買いアンと会える日が遠くなるのを防ぐためだった。
そして王宮から妹と会う許可が下りた時にはもうすでに六年も月日が経っていた。
夢にまで見たこの日を明日に控え、我が家では前祝いをしていた。
両親は可愛いアンがどんなに大きくなっているか想像し涙し、俺はちびのアンの髪をぐちゃぐちゃにして『お兄ちゃんやめてよー』と言いながら抱き着いてくる妹を想像し笑っていた。
そんな俺達を末の妹は不思議そうに見ていたが、『明日にはいい事があるぞ』と父が言うと嬉しそうにキャッキャッと笑い声を上げていた。
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