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4.家族との再会①
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六年ぶりの家族との再会。
朝からそわそわしてしまい、侍女達にも『番様、落ち着いてくださいませ』と窘められてしまった。
でも待ちに待ったこの時を前にして落ち着いてなどいられやしない。
お父様やお母様は泣いて喜んでくれるかしら。
ふふふ、お兄様はまだ『ちび』って呼ぶかな♪
高まる想いに自然と笑みが浮かんでくる。
今日はどんなに侍女達から注意されても淑女ではいられないなと思う。
いつもなら注意をされることなど絶対にしないけど、『今日は特別だから』と自分に言い訳をして感動の再会の場面で家族全員ではしゃぐ姿を想像して心が躍る。
そして昼過ぎとうとう家族と会える時が来た。
目の前にいる両親と兄に抱き着き喜びを露わにしたかったけれども、六年ぶりの再会に思っていた以上に緊張したのかぎこちなくなってしまった。
心の中では嬉しさのあまり舞い上がっていたけれども、そんなことはおくびにも出さずに、ここで教わった通りに『竜王の番らしく』優雅に挨拶をしてみる。
ふふ、驚くかな?
お転婆な私がこんな挨拶をしたら。
それとも笑うかしら、うふふ。
「お久し振りです、お元気でしたか?
今日は会いに来てくださり有り難うございます」
私の丁寧な物言いに両親と兄は戸惑ったような顔をする。
本当は前のように気軽に話したかった。
両親や兄から『そんなにかしこまって、どうした?』って笑って貰えたらすぐにでも六年前のように話せるはずだった。
照れくさくって自分からは言えなかったけど、そうしてくれると思って微笑みながら待っていた。
お兄様、『お前生意気だな』って前みたいに笑ってくれるよね?
お父様とお母様も抱き締めてくれるわよね…。
両親は少しだけ歳を取り、兄は背が高くなり見違えるほど逞しくなっていた。
そして彼らの後ろから五歳くらいの幼い女の子がちょこんと顔を出してくる。
周りをきょろきょろと見てからその子は私を指さしながら
「このひとだーれ?」
と無邪気に笑いながら両親に訊ねている。
「こ、こら!この方はな偉大な竜王様の番様だ。
指を差したりするんじゃない。失礼だろうが!」
そう言いながら父は私に『申し訳ありません』と頭を下げてから女の子を庇う様に抱き上げる。
母と兄も『悪気はないんです、まだ子供で…』『あ、あの馬鹿な妹を許してください』と謝りながら、女の子に『駄目だろう、ちび』って言っている。
この子が私の妹なのが分かった。
そして私が期待していたんものはすべてこの幼い妹に向けられていた。
あれほど待ち望んでいたものは、私に向けられることはない。
家族のなかでの私の居場所はもう…ないのかな。
私はもういらないの…。
私の心に一滴の黒い染みが落ち広がっていく。
朝からそわそわしてしまい、侍女達にも『番様、落ち着いてくださいませ』と窘められてしまった。
でも待ちに待ったこの時を前にして落ち着いてなどいられやしない。
お父様やお母様は泣いて喜んでくれるかしら。
ふふふ、お兄様はまだ『ちび』って呼ぶかな♪
高まる想いに自然と笑みが浮かんでくる。
今日はどんなに侍女達から注意されても淑女ではいられないなと思う。
いつもなら注意をされることなど絶対にしないけど、『今日は特別だから』と自分に言い訳をして感動の再会の場面で家族全員ではしゃぐ姿を想像して心が躍る。
そして昼過ぎとうとう家族と会える時が来た。
目の前にいる両親と兄に抱き着き喜びを露わにしたかったけれども、六年ぶりの再会に思っていた以上に緊張したのかぎこちなくなってしまった。
心の中では嬉しさのあまり舞い上がっていたけれども、そんなことはおくびにも出さずに、ここで教わった通りに『竜王の番らしく』優雅に挨拶をしてみる。
ふふ、驚くかな?
お転婆な私がこんな挨拶をしたら。
それとも笑うかしら、うふふ。
「お久し振りです、お元気でしたか?
今日は会いに来てくださり有り難うございます」
私の丁寧な物言いに両親と兄は戸惑ったような顔をする。
本当は前のように気軽に話したかった。
両親や兄から『そんなにかしこまって、どうした?』って笑って貰えたらすぐにでも六年前のように話せるはずだった。
照れくさくって自分からは言えなかったけど、そうしてくれると思って微笑みながら待っていた。
お兄様、『お前生意気だな』って前みたいに笑ってくれるよね?
お父様とお母様も抱き締めてくれるわよね…。
両親は少しだけ歳を取り、兄は背が高くなり見違えるほど逞しくなっていた。
そして彼らの後ろから五歳くらいの幼い女の子がちょこんと顔を出してくる。
周りをきょろきょろと見てからその子は私を指さしながら
「このひとだーれ?」
と無邪気に笑いながら両親に訊ねている。
「こ、こら!この方はな偉大な竜王様の番様だ。
指を差したりするんじゃない。失礼だろうが!」
そう言いながら父は私に『申し訳ありません』と頭を下げてから女の子を庇う様に抱き上げる。
母と兄も『悪気はないんです、まだ子供で…』『あ、あの馬鹿な妹を許してください』と謝りながら、女の子に『駄目だろう、ちび』って言っている。
この子が私の妹なのが分かった。
そして私が期待していたんものはすべてこの幼い妹に向けられていた。
あれほど待ち望んでいたものは、私に向けられることはない。
家族のなかでの私の居場所はもう…ないのかな。
私はもういらないの…。
私の心に一滴の黒い染みが落ち広がっていく。
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