あなたの『番』はご臨終です!

矢野りと

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閑話~令嬢の処罰~

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ララルーアとにんにんを庭師小屋に閉じ込め結果的に二人に酷い怪我を負わせたヒスイ嬢の取り調べが終わった。騎士団長バロンはその報告のため竜王バイザルの執務室にやってきていた。

「失礼します。事件の報告を致します」
「バロン、今はこの部屋には俺とお前だけだ。臣下としての態度はいらん、兄弟として接してくれ」

バイザルはくだけた口調で話しながら、グラスに琥珀色の酒を注ぎ一つを自分にもう一つをバロンに渡し、椅子に座った。そんな兄に慣れているのかバロンも椅子に座り寛いだ様子で話し始めた。

「今回の事件はララルーアに対する嫉妬で起こしたものだった。ちょっと小屋に閉じ込め懲らしめるつもりだったらしい。だがララの虚弱体質にはそれはちょっとでは済まなかった。まったく馬鹿な令嬢だったな」
「確かヒスイ嬢だったか。トカの関心を引く為とはいえ愚かな事をしたもんだ。それで処罰はどうなった?」
「処罰なんだが厳重注意となった。今回の結果だけを見ると問題は大きいが、やったこと自体は子供のいたずらレベルだったからな。それにトカがヒスイ嬢に過度な制裁を加えているから十分だろう」
「済まなかったな。トカが暴走したのをよく抑えてくれた、有り難う」
「礼は要らない、トカは可愛い甥なんだから当然だ。それよりあんなトカは初めて見た、何かあったのか?」
「……まだ何もない、かな。これからあれば幸いなんだが…」
「兄上、なにを言っている?意味が分からんが」
「フフフ、分からなくていいんだ。いつか笑える日が来るかもな…」

兄の曖昧な物言いに首を傾げるバロンだが、それ以上は聞かないでいた。兄バイザルは言うべき時になるまで何も言わないのを一緒に育ったバロンは知っているからだ。

するとバイザルが楽しい玩具を見つけたとばかりに目を細め、バロンに向かって爆弾を落とした。

「そういえば、バロンお前、ゴリさんになったんだって。それに幼女趣味の変態だって報告が上がっていたぞ。お前大丈夫か、ハッハッハ」
「なっ、ち、違うぞ!俺は断じて幼女趣味じゃないし変態じゃない!」
「でもゴリさんなんだろ。クックック、ゴリさんピッタリだな~」
「これには深ーい理由があるんだ!兄上笑うのは止めてくれ」

バイザルに大爆笑され、バロンは酒を飲み飲みながら必死に言い訳をするのであった。だがバロンよ、深い理由なんてどこにもないのでは?
『可愛いは正義!それが深い理由だ!』---浅いにもほどがある…。
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