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14.観察準備その②
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寝ていたはずのララルーアの叫び声を聞いたドウリアは慌てて部屋に入ってきた。その表情は強張っていて、侵入者に対抗できるように手には短剣を握りしめていた。パッと部屋を見渡すがララも侵入者も姿が見えない。
焦るドウリアは大きな声でララルーアの名前を呼んでみた。
「ララ様!どこですか、ララ様ー!」
「エーン、ここよ。ドウリアここにいるわ、助けて~」
すぐにララはドウリアの呼び声に応えてくれた。その緊張感のないララの声にドウリアは少し安堵した、侵入者などの差し迫った危機ではないと判断したからだ。声は聞こえるけど姿は見えないので、ドウリアはララの声がした方に急いで走って行くと、そこには小さな扉に挟まっているピンクの子豚ちゃんの可愛いお尻があった…。
(あら子豚ちゃんが挟まっているわ、可愛い)とドウリアは一瞬思ってしまったが、よく見たら子豚のお尻ではない。お尻のプリプリ具合は瓜二つだが、尻尾が子豚のそれとは違って、ピンクのツチノコのようだった。
つまりピンクの可愛いちびっこ竜人のお尻が挟まっていたのだ。尻尾をピタンピタンとさせながら、『助けてー』という声が見えない頭から聞こえてくる。
(………ララ様、あなたはいったい何をしているんですか…)
扉にはまって身動きがとれないララを前にしてドウリアは眩暈を覚えた…。実はララが何かを企んでいる事には薄々気づいていたが、とりあえず様子を見る為に騙されているふりをして部屋から出ていってたのだ。
ララは感情表現豊か子である、眠いから寝ると言ってベットに入ったが、その顔は眠いどころかにんまりと笑っていて、ベットから出ている尻尾はパタパタとワクワク感溢れる動きをしていたのだ。
『バレバレですよ、ララ様…』
迫真の演技をしていた女優はドウリアで、ララは大根役者だった。
(ララ様隠し扉から抜け出そうとしてたのですね、そして嵌ったと…)
お説教は後回しにして、兎に角ララを扉から引き抜かなくてはならない。『ちょっとお待ちください』といって、その場を離れたドウリアは手に食用油の瓶を持って戻って来た。
ぬりぬり、ぬりぬり、そしてぬりぬり。
扉とララの身体にまんべんなく油を塗ってから、ドウリアがララの尻尾を持ってせーのっ!と勢いよく引っ張ると
スポッ――ーン!コロコロコロ。
子豚ではなく、ララが無事扉から抜け、床の上を転がっていった。
『わぁーい!良かったーー』と喜ぶ油まみれのララだが、その前には仁王立ちしたドウリアがいた。『きっと怒っているだろうな』とララが恐る恐るドウリアの顔を見るとその顔はにっこりと微笑んでいた。
(良かった~、やっぱりドウリアはどんな時も優しいな)ララがホッとしていると、いきなりララに向かって雷が落ちた。
「この馬鹿垂れが!油が塗ってあるから丁度いい、昼ご飯はちびっこ竜人の丸焼きじゃーーー!」
「ヒィーー―、ごめんなさーいーー」
ララはガクブルしながら土下座して謝り続けた。
そして『優しい人を決して怒らせてはいけない』と生きていくうえで重要な事を学習したのであった。
『わ、私、学習能力は高いのよ。二度とドウリアは怒らせないもん…』
****************************
---ララの丸焼きが免除された後---
「ところでララ様は隠し扉から出て何をするつもりでしたか?」
ドウリアがララに当然の質問をしてきた。いつものララなら『エヘヘヘ、秘密だもん♪』で誤魔化すところだが、丸焼きの危機を体験した恐怖から姿勢を正し素直に答えた。
「実はトカタオ王子の観察をやろうと思っていたの。でも、もうしません」
本当はやりたいが、それは命と引き換えにする仕事ではないとララは諦めることにしていた。
だがドウリアの反応は予想外なものだった。
「あらあら、観察いいではないですか、私も大賛成です。たがお一人で行くのは駄目ですからお供は付けますね」
ドウリアは反対どころか賛成をしてくれた。実は人族の子供は夏休みの宿題として昆虫観察を行う習慣があるので人族であるドウリアは『昆虫の観察は子供の成長に必要』という認識を持っているので、賛成したのだ。---しかしドウリアよ、王子は虫ではないがいいのか。
「本当に?でもこっそり観察するからお供の人も大変だよ、大丈夫かな?」
「大丈夫です。お供の前職は忍びだったのでこっそりは得意です」
「ドウリアすごーい!私、忍びと会うの初めてよ。じゃあ、明日から観察スタートね♪」
いきなり明日からチームでの王子観察がスタートする事になった。
自分とお供の二人だけの観察チームに『チームにんにん』と名前をつけて浮かれているララルーアは、『忍びと一緒に観察だ♪』とピョピョンピョンと飛び跳ねて喜びを露わにしている。
お供に誰が選ばれたのかまだララは知らない、しかしドウリアの言う忍びは本物なのだろうか…?そもそも本物の忍びは秘する存在なので公言しないし、ちびっこ竜人のお供をやるほど仕事には困ってないはずだ。
…演技上手な侍女はさらりと噓をつく。
『騙すのではありません。子供に夢を与えるのも必要な事ですから、ふふふ』
焦るドウリアは大きな声でララルーアの名前を呼んでみた。
「ララ様!どこですか、ララ様ー!」
「エーン、ここよ。ドウリアここにいるわ、助けて~」
すぐにララはドウリアの呼び声に応えてくれた。その緊張感のないララの声にドウリアは少し安堵した、侵入者などの差し迫った危機ではないと判断したからだ。声は聞こえるけど姿は見えないので、ドウリアはララの声がした方に急いで走って行くと、そこには小さな扉に挟まっているピンクの子豚ちゃんの可愛いお尻があった…。
(あら子豚ちゃんが挟まっているわ、可愛い)とドウリアは一瞬思ってしまったが、よく見たら子豚のお尻ではない。お尻のプリプリ具合は瓜二つだが、尻尾が子豚のそれとは違って、ピンクのツチノコのようだった。
つまりピンクの可愛いちびっこ竜人のお尻が挟まっていたのだ。尻尾をピタンピタンとさせながら、『助けてー』という声が見えない頭から聞こえてくる。
(………ララ様、あなたはいったい何をしているんですか…)
扉にはまって身動きがとれないララを前にしてドウリアは眩暈を覚えた…。実はララが何かを企んでいる事には薄々気づいていたが、とりあえず様子を見る為に騙されているふりをして部屋から出ていってたのだ。
ララは感情表現豊か子である、眠いから寝ると言ってベットに入ったが、その顔は眠いどころかにんまりと笑っていて、ベットから出ている尻尾はパタパタとワクワク感溢れる動きをしていたのだ。
『バレバレですよ、ララ様…』
迫真の演技をしていた女優はドウリアで、ララは大根役者だった。
(ララ様隠し扉から抜け出そうとしてたのですね、そして嵌ったと…)
お説教は後回しにして、兎に角ララを扉から引き抜かなくてはならない。『ちょっとお待ちください』といって、その場を離れたドウリアは手に食用油の瓶を持って戻って来た。
ぬりぬり、ぬりぬり、そしてぬりぬり。
扉とララの身体にまんべんなく油を塗ってから、ドウリアがララの尻尾を持ってせーのっ!と勢いよく引っ張ると
スポッ――ーン!コロコロコロ。
子豚ではなく、ララが無事扉から抜け、床の上を転がっていった。
『わぁーい!良かったーー』と喜ぶ油まみれのララだが、その前には仁王立ちしたドウリアがいた。『きっと怒っているだろうな』とララが恐る恐るドウリアの顔を見るとその顔はにっこりと微笑んでいた。
(良かった~、やっぱりドウリアはどんな時も優しいな)ララがホッとしていると、いきなりララに向かって雷が落ちた。
「この馬鹿垂れが!油が塗ってあるから丁度いい、昼ご飯はちびっこ竜人の丸焼きじゃーーー!」
「ヒィーー―、ごめんなさーいーー」
ララはガクブルしながら土下座して謝り続けた。
そして『優しい人を決して怒らせてはいけない』と生きていくうえで重要な事を学習したのであった。
『わ、私、学習能力は高いのよ。二度とドウリアは怒らせないもん…』
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「ところでララ様は隠し扉から出て何をするつもりでしたか?」
ドウリアがララに当然の質問をしてきた。いつものララなら『エヘヘヘ、秘密だもん♪』で誤魔化すところだが、丸焼きの危機を体験した恐怖から姿勢を正し素直に答えた。
「実はトカタオ王子の観察をやろうと思っていたの。でも、もうしません」
本当はやりたいが、それは命と引き換えにする仕事ではないとララは諦めることにしていた。
だがドウリアの反応は予想外なものだった。
「あらあら、観察いいではないですか、私も大賛成です。たがお一人で行くのは駄目ですからお供は付けますね」
ドウリアは反対どころか賛成をしてくれた。実は人族の子供は夏休みの宿題として昆虫観察を行う習慣があるので人族であるドウリアは『昆虫の観察は子供の成長に必要』という認識を持っているので、賛成したのだ。---しかしドウリアよ、王子は虫ではないがいいのか。
「本当に?でもこっそり観察するからお供の人も大変だよ、大丈夫かな?」
「大丈夫です。お供の前職は忍びだったのでこっそりは得意です」
「ドウリアすごーい!私、忍びと会うの初めてよ。じゃあ、明日から観察スタートね♪」
いきなり明日からチームでの王子観察がスタートする事になった。
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