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10.美少女はどこ?その②
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ララが中扉?あれ?と思っていると、竜人である二人の青年が挨拶もなく無遠慮に水槽に近づいてきた。
一人は金髪金目の美青年風の竜人で、もう一人は黒髪黒目の好青年風であった。
(な~に、ノックもしないで勝手に入ってくるなんて!無視よ無視!)
ララは二人をチラッと見たが無視することにしたので、ピー語でも話し掛けなかった。それどころかワザと水飛沫をあげて泳ぎ、二人に水を掛け洋服を濡らしてやった。
バッシャン!バッシャン!スーイ、スイ、スーイ。
(くらえ、天使の水!そして逃げるが勝ちー)
「なんだ、この生き物は!」
「きっと、ララルーア様のペットが先に送られて来たのでしょう。それにしても躾がなってませんね」
「ケッ、その為に水槽まで用意させたのか、我が儘な女だな!ペットも馬鹿そうだし」
「トカ様、ララルーア様の前でペットの悪口は言わないでください、飼い主にとってペットは家族なんですから」
「はいはい。それにしても変わった生き物をペットにしてるな。『ピンクのジュゴン』なんて初めて見たぞ」
バッザーーーンーーー!
二人は頭から水を被り全身ずぶ濡れになった。
『この馬鹿ペットが!』とピンクのジュゴンを二人が睨みつけようとしたが、なぜかジュゴンは水槽にいなかった。
ブルン、ブルン、ブルン!バッシーン!!
ピンクのジュゴンは水槽の縁に立ち、勢いよく駒のように回転し、尻尾を最強の武器にして二人の青年を殴り倒したのだ。まさかジュゴンから攻撃されるとは思ってもいなかった二人は、受け身を取れずに床に体を打ち付けてしまった。
「トカ様、だ、いじょう、ぶです、か」
全然大丈夫そうでないカイが、トカタオの安否を確かめる為に声を掛ける。
「ああ、いきなりで驚いたが大丈夫だ。なんなんだ、この凶暴なジュゴンは!」
「はぁ~ん、あなた馬鹿ですか?そう馬鹿なのね!誰がジュゴンじゃ、よく見ろ、竜人だ!」
ララルーアは怒りのあまり『ララは赤ちゃん作戦』を忘却の彼方に消し去っている。---ピー語はどうしたララよ。【切り札一号】を使ったのを忘れたか…。うん、きれいさっぱり忘れている。
ララルーアの発言にトカタオとカイは驚きのあまり動けないでいた。本人は竜人だと言っているが、丸っこい体形に柔らかそうな肉付きを見ると、にわかには信じられずにいる。
「ジュゴンが喋っ、」
ドカ!!
まだ立ち上がれていないカイに更なる正義の鉄槌が下された。---余計な事を言うからだよ、カイ。
「本当に竜人なのか…。お前誰だ、どうしてここにいる?」
トカタオがようやくまともな質問をしたので、ララは両腕を腰にあてふんぞり返って名乗りを上げる。
「私はララルーア・ミファン、ミファン家の長女よ。これからよろしくね、お・世・話・係さん」
「………」
(どういう事だ、何一つ当てはまってない…)
トカタオとカイの事前の情報分析によれば、ララルーア・ミファンは【虚弱体質の儚げな美少女・ピンク色の髪と瞳を持つ竜人・南の辺境地の掌中の珠】のはずだった。
目の前のちびっこ竜人は【元気いっぱいの丸っこい身体・深紅の瞳で竜体なので髪は無し・肌はピンク】、ピンクくらいしか共通点はない!
「「どこが美少女だーーー!詐欺だ、」」
パリン、パリン!ドッサ、ドッサ。
トカタオとカイの全力の叫びは、戻ってきた侍女ドウリアの花瓶攻撃によってあっけなく終了した。
主人であるララに無礼を働いていた現行犯なので、ドウリアは一切手加減をしなかった。
「ほほほ、花瓶を一つにするか二つするか悩んだけど、二つで正解でした」
「ありがとう、ドウリア!馬鹿相手に困っていたから助かったわ」
「あらあら、お話が出来る様になって良かったですね」
スーパー侍女ドウリアは何事にも動じない、いきなり会話をしているルルも違和感なく受け入れている。自分の主人が快適に生活できる様に仕えるのが侍女の仕事、基本それ以外はどうでもいいのだ。
「ところで、このゴミ捨てていいですか?」※ゴミとは倒れているトカタオとカイを指している。
「いいよ~♪」
*****************************
今日のララルーアは疲れているが夜通し踊り続けることに決めている。
それも新しいダンスに挑戦するつもりだ。
『新しい事に挑戦する時、ワクワクするな♪』
努力家のララは事前の練習にも熱心に取り組むタイプだ。
『うーん、この振り付けは難しいな』
本を片手に、足を前後に出してステップの確認をしている。
今までのくねくねダンスやツイストダンスと違って複雑な足の動きがついているので、ララはかなり苦戦している。
パラパラ、風に煽られてちょっと本のタイトルが見えた。
【もっと困らせる日常呪い中級ダンス編】
ちょっとだけ→もっと
初級→中級
ララの踊りは確実にレベルアップしている。
♬ちゅるっちゅ、ちゅちゅちゅー♬
一人は金髪金目の美青年風の竜人で、もう一人は黒髪黒目の好青年風であった。
(な~に、ノックもしないで勝手に入ってくるなんて!無視よ無視!)
ララは二人をチラッと見たが無視することにしたので、ピー語でも話し掛けなかった。それどころかワザと水飛沫をあげて泳ぎ、二人に水を掛け洋服を濡らしてやった。
バッシャン!バッシャン!スーイ、スイ、スーイ。
(くらえ、天使の水!そして逃げるが勝ちー)
「なんだ、この生き物は!」
「きっと、ララルーア様のペットが先に送られて来たのでしょう。それにしても躾がなってませんね」
「ケッ、その為に水槽まで用意させたのか、我が儘な女だな!ペットも馬鹿そうだし」
「トカ様、ララルーア様の前でペットの悪口は言わないでください、飼い主にとってペットは家族なんですから」
「はいはい。それにしても変わった生き物をペットにしてるな。『ピンクのジュゴン』なんて初めて見たぞ」
バッザーーーンーーー!
二人は頭から水を被り全身ずぶ濡れになった。
『この馬鹿ペットが!』とピンクのジュゴンを二人が睨みつけようとしたが、なぜかジュゴンは水槽にいなかった。
ブルン、ブルン、ブルン!バッシーン!!
ピンクのジュゴンは水槽の縁に立ち、勢いよく駒のように回転し、尻尾を最強の武器にして二人の青年を殴り倒したのだ。まさかジュゴンから攻撃されるとは思ってもいなかった二人は、受け身を取れずに床に体を打ち付けてしまった。
「トカ様、だ、いじょう、ぶです、か」
全然大丈夫そうでないカイが、トカタオの安否を確かめる為に声を掛ける。
「ああ、いきなりで驚いたが大丈夫だ。なんなんだ、この凶暴なジュゴンは!」
「はぁ~ん、あなた馬鹿ですか?そう馬鹿なのね!誰がジュゴンじゃ、よく見ろ、竜人だ!」
ララルーアは怒りのあまり『ララは赤ちゃん作戦』を忘却の彼方に消し去っている。---ピー語はどうしたララよ。【切り札一号】を使ったのを忘れたか…。うん、きれいさっぱり忘れている。
ララルーアの発言にトカタオとカイは驚きのあまり動けないでいた。本人は竜人だと言っているが、丸っこい体形に柔らかそうな肉付きを見ると、にわかには信じられずにいる。
「ジュゴンが喋っ、」
ドカ!!
まだ立ち上がれていないカイに更なる正義の鉄槌が下された。---余計な事を言うからだよ、カイ。
「本当に竜人なのか…。お前誰だ、どうしてここにいる?」
トカタオがようやくまともな質問をしたので、ララは両腕を腰にあてふんぞり返って名乗りを上げる。
「私はララルーア・ミファン、ミファン家の長女よ。これからよろしくね、お・世・話・係さん」
「………」
(どういう事だ、何一つ当てはまってない…)
トカタオとカイの事前の情報分析によれば、ララルーア・ミファンは【虚弱体質の儚げな美少女・ピンク色の髪と瞳を持つ竜人・南の辺境地の掌中の珠】のはずだった。
目の前のちびっこ竜人は【元気いっぱいの丸っこい身体・深紅の瞳で竜体なので髪は無し・肌はピンク】、ピンクくらいしか共通点はない!
「「どこが美少女だーーー!詐欺だ、」」
パリン、パリン!ドッサ、ドッサ。
トカタオとカイの全力の叫びは、戻ってきた侍女ドウリアの花瓶攻撃によってあっけなく終了した。
主人であるララに無礼を働いていた現行犯なので、ドウリアは一切手加減をしなかった。
「ほほほ、花瓶を一つにするか二つするか悩んだけど、二つで正解でした」
「ありがとう、ドウリア!馬鹿相手に困っていたから助かったわ」
「あらあら、お話が出来る様になって良かったですね」
スーパー侍女ドウリアは何事にも動じない、いきなり会話をしているルルも違和感なく受け入れている。自分の主人が快適に生活できる様に仕えるのが侍女の仕事、基本それ以外はどうでもいいのだ。
「ところで、このゴミ捨てていいですか?」※ゴミとは倒れているトカタオとカイを指している。
「いいよ~♪」
*****************************
今日のララルーアは疲れているが夜通し踊り続けることに決めている。
それも新しいダンスに挑戦するつもりだ。
『新しい事に挑戦する時、ワクワクするな♪』
努力家のララは事前の練習にも熱心に取り組むタイプだ。
『うーん、この振り付けは難しいな』
本を片手に、足を前後に出してステップの確認をしている。
今までのくねくねダンスやツイストダンスと違って複雑な足の動きがついているので、ララはかなり苦戦している。
パラパラ、風に煽られてちょっと本のタイトルが見えた。
【もっと困らせる日常呪い中級ダンス編】
ちょっとだけ→もっと
初級→中級
ララの踊りは確実にレベルアップしている。
♬ちゅるっちゅ、ちゅちゅちゅー♬
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