4 / 19
4.一人目の婚約者候補①
しおりを挟む
とりあえず夜会に積極的に参加し婚約者候補をじっくりと観察して決めることにした。
なんのひねりもない方法だけれども他人に任せるより自分の目で確かめるほうが安心できる。
特にあのお祖父様だけには最終判断は任せられないわ。
絶対に判断基準が間違っている気がする…。
くぅっ…、もっとまともな人の孫に生まれたかった…。
今更言っても仕方がないので祖父はあれでもう我慢しよう。
とりあえず祖父に似ないで自分自身はいたって普通の感覚の持ち主であること感謝だ。
今日の夜会で見定めるのは一人目の婚約者候補ゴルディ伯爵家当主ケビン様だ。25歳の若さながら伯爵家を継いでおり、見た目も金髪碧眼で麗しの王子様といった感じだ。
それに性格も至って平凡で悪い噂も聞かない。
これならば子爵家の私の婚約者候補にならなくても引く手あまたのはずだが、彼には大きなマイナスポイントがあった。
それはド貧乏である。
先々代の当主が事業に失敗をしてから困窮しており、伯爵家らしからぬ慎ましやかな生活をしているらしい。
つまり彼と結婚したら実家にもメリットはないし、そのうえ華やかな生活とは無縁になるという未来が決定されているのだ。
だから本人は美男子で性格も問題ない人だが、貴族社会では不良物件とみなされ結婚できないのだ。
だがひ孫を求めている祖父は優良物件と認識したのだろう。
うーん、お祖父様は完全に顔しか見ていませんね。
孫の苦労を考えなかったんですかね…。
良心はどこにいったんですか?
家出でもしているんですか。
それとも行方不明ですか?
あっ、捜索願いを出してもいいですか…。
きっと誰が探しても見つからないだろう。
どこかですでに朽ち果てているに違いない。
そうでなければひ孫獲得のために孫を脅しはしない。
お祖父様には呆れてしまうけれども、私は貧乏にはそれほど抵抗はない。
我が家だって平凡な子爵家で特に裕福ではない。
それより重要なことは婚約後にお互いに愛が芽生えて恋愛が出来るかということだ。やはり恋愛だけは諦めたくないし、愛する人と結ばれるのなら多少の困難やド貧乏も笑い飛ばせるはずだ。
つまり明るい未来の為に条件ではなくしっかりと相手を見て選ぶつもりだ。
今夜はケビン様に関するどんな些細なことも見逃すつもりはない。
逃しませんわ、ケビン様。
どうか私に全てを曝け出してくださいませ。
気分は獲物に狙いを定めたハンターだった。言いしれぬ高揚感から手に力が入り持っていた扇が『バキッ』と見事に折れてしまう。
母にバレたら物を粗末にしてとまた叱られてしまうから、こっそりと植木鉢の影に隠して紛失したことにする。
証拠がなければ大丈夫だ、疑わしき罰せずなのだから。
バレた時には…潔く兄のせいにしようと思ったところで大切なことを思い出す。
兄は今日の夜会には来ていない。
熱は下がったが『な…なんか、ふわふわと流れているような感覚がするんだ』とおかしなことを言っているので屋敷から出してもらえなかったのだ。
なんのひねりもない方法だけれども他人に任せるより自分の目で確かめるほうが安心できる。
特にあのお祖父様だけには最終判断は任せられないわ。
絶対に判断基準が間違っている気がする…。
くぅっ…、もっとまともな人の孫に生まれたかった…。
今更言っても仕方がないので祖父はあれでもう我慢しよう。
とりあえず祖父に似ないで自分自身はいたって普通の感覚の持ち主であること感謝だ。
今日の夜会で見定めるのは一人目の婚約者候補ゴルディ伯爵家当主ケビン様だ。25歳の若さながら伯爵家を継いでおり、見た目も金髪碧眼で麗しの王子様といった感じだ。
それに性格も至って平凡で悪い噂も聞かない。
これならば子爵家の私の婚約者候補にならなくても引く手あまたのはずだが、彼には大きなマイナスポイントがあった。
それはド貧乏である。
先々代の当主が事業に失敗をしてから困窮しており、伯爵家らしからぬ慎ましやかな生活をしているらしい。
つまり彼と結婚したら実家にもメリットはないし、そのうえ華やかな生活とは無縁になるという未来が決定されているのだ。
だから本人は美男子で性格も問題ない人だが、貴族社会では不良物件とみなされ結婚できないのだ。
だがひ孫を求めている祖父は優良物件と認識したのだろう。
うーん、お祖父様は完全に顔しか見ていませんね。
孫の苦労を考えなかったんですかね…。
良心はどこにいったんですか?
家出でもしているんですか。
それとも行方不明ですか?
あっ、捜索願いを出してもいいですか…。
きっと誰が探しても見つからないだろう。
どこかですでに朽ち果てているに違いない。
そうでなければひ孫獲得のために孫を脅しはしない。
お祖父様には呆れてしまうけれども、私は貧乏にはそれほど抵抗はない。
我が家だって平凡な子爵家で特に裕福ではない。
それより重要なことは婚約後にお互いに愛が芽生えて恋愛が出来るかということだ。やはり恋愛だけは諦めたくないし、愛する人と結ばれるのなら多少の困難やド貧乏も笑い飛ばせるはずだ。
つまり明るい未来の為に条件ではなくしっかりと相手を見て選ぶつもりだ。
今夜はケビン様に関するどんな些細なことも見逃すつもりはない。
逃しませんわ、ケビン様。
どうか私に全てを曝け出してくださいませ。
気分は獲物に狙いを定めたハンターだった。言いしれぬ高揚感から手に力が入り持っていた扇が『バキッ』と見事に折れてしまう。
母にバレたら物を粗末にしてとまた叱られてしまうから、こっそりと植木鉢の影に隠して紛失したことにする。
証拠がなければ大丈夫だ、疑わしき罰せずなのだから。
バレた時には…潔く兄のせいにしようと思ったところで大切なことを思い出す。
兄は今日の夜会には来ていない。
熱は下がったが『な…なんか、ふわふわと流れているような感覚がするんだ』とおかしなことを言っているので屋敷から出してもらえなかったのだ。
45
お気に入りに追加
2,107
あなたにおすすめの小説
“代わりに結婚しておいて”…と姉が手紙を残して家出しました。初夜もですか?!
みみぢあん
恋愛
ビオレータの姉は、子供の頃からソールズ伯爵クロードと婚約していた。
結婚直前に姉は、妹のビオレータに“結婚しておいて”と手紙を残して逃げ出した。
妹のビオレータは、家族と姉の婚約者クロードのために、姉が帰ってくるまでの身代わりとなることにした。
…初夜になっても姉は戻らず… ビオレータは姉の夫となったクロードを寝室で待つうちに……?!

つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

義娘が転生型ヒロインのようですが、立派な淑女に育ててみせます!~鍵を握るのが私の恋愛って本当ですか!?~
咲宮
恋愛
没落貴族のクロエ・オルコットは、馬車の事故で両親を失ったルルメリアを義娘として引き取ることに。しかし、ルルメリアが突然「あたしひろいんなの‼」と言い出した。
ぎゃくはーれむだの、男をはべらせるだの、とんでもない言葉を並べるルルメリアに頭を抱えるクロエ。このままではまずいと思ったクロエは、ルルメリアを「立派な淑女」にすべく奔走し始める。
育児に励むクロエだが、ある日馬車の前に飛び込もうとした男性を助ける。実はその相手は若き伯爵のようで――?
これは若くして母となったクロエが、義娘と恋愛に翻弄されながらも奮闘する物語。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
※毎日更新を予定しております。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?
112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。
目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。
助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。

私は恋をしている。
はるきりょう
恋愛
私は、旦那様に恋をしている。
あれから5年が経過して、彼が20歳を超したとき、私たちは結婚した。公爵家の令嬢である私は、15歳の時に婚約者を決めるにあたり父にお願いしたのだ。彼と婚約し、いずれは結婚したいと。私に甘い父はその話を彼の家に持って行ってくれた。そして彼は了承した。
私の家が公爵家で、彼の家が男爵家だからだ。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
愛するひとの幸せのためなら、涙を隠して身を引いてみせる。それが女というものでございます。殿下、後生ですから私のことを忘れないでくださいませ。
石河 翠
恋愛
プリムローズは、卒業を控えた第二王子ジョシュアに学園の七不思議について尋ねられた。
七不思議には恋愛成就のお呪い的なものも含まれている。きっと好きなひとに告白するつもりなのだ。そう推測したプリムローズは、涙を隠し調査への協力を申し出た。
しかし彼が本当に調べたかったのは、卒業パーティーで王族が婚約を破棄する理由だった。断罪劇はやり返され必ず元サヤにおさまるのに、繰り返される茶番。
実は恒例の断罪劇には、とある真実が隠されていて……。
愛するひとの幸せを望み生贄になることを笑って受け入れたヒロインと、ヒロインのために途絶えた魔術を復活させた一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25663244)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる