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番外編

夫婦というもの⑰

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「……本当に、するのか?」

座るウィリアムの長い脚の間から顔を見上げた。

「もちろん。だってこの前は、少ししかできなかったもの」

渋り顔のウィリアムから、目の前にそそり立つものへ視線を移す。改めて見るそれはあまりにも大きくて硬く、先端は既に濡れていた。そっと根本を握ると「うっ……」とウィリアムが低く呻いた。チラリと顔を見てから、丸い先端をぺろりと舐めた。

「あ……っ」

ピクンとそれが動く。気持ちいいのかしら。今度は濡れた先を口に咥え、ちゅうっと吸いながら舌でぺろぺろと舐める。確か、手も使うんだったわ。教えてもらった手順どおりに握った両手を上下させた。

ウィリアムの先端が私の口蓋をこすると、愛撫されているみたいに感じる。うっとりしながら何度も丸い部分を上あごにこすりつけた。ん……身体がムズムズする。

シャツをはだけ、露にしているウィリアムの腹筋が強張っている。太ももにも力が入っているみたい。は、はっ、と上で荒い息が聞こえる。きっと気持ちいいんだわ。嬉しくなった私は、口をすぼめて吸い上げながら喉の奥までウィリアムを導いた。

「だめだ……っ、レオノア!」

ウィリアムは叫ぶと、両手で私の頬を包んで持ち上げ、口を外させた。途端に手の中のものがビクンビクンと暴れる。

「どうしてだめなの?気持ちいいんでしょう?」

握ったままの手を上下に動かしながら聞くと、「あぁっ!」と声を上げてのけ反り、慌てた様子で私の手を押さえる。ハアハアと呼吸を乱して私を軽く睨んだ。

「聞こうと思っていたけど、こんなこと誰に教わったんだ。最近まで知らなかっただろう」

そのことが気になって不機嫌なのかしら。気持ちいいはずなのにおかしいわ。喜んでもらえると思っていた私は、奉仕を中断されて面白くない。ウィリアムが片手で私の手を押さえているのをいいことに、蜜をこぼす先端に唇を寄せ、キスをしながら答えた。

「騎士団の奧様会よ。演習前は訓練が激しくなるからすごく疲れるけれど、男性は肉体が疲れると、その………ここが、昂ってしまうって。でも、体力をあまり使わなくて済むように発散する方法があると言われたから、教えていただいたの」

ウィリアムは「全く、何を教えてるんだ………」と眉間を押さえてため息をついた。そんなに悪いことだったの?手の中でピクピクしているウィリアムのものを見つめる。一番初めに見たときには驚いたけれど、今ではとても愛おしい。それに、触ったり舐めたりすると素直に反応してくれるから、可愛らしいくらいだ。私は嘆いているウィリアムの隙を見て、またパクッと咥えて舌を使った。

「レオノア………っ」

私は頭と手を上下させながら、唇でウィリアムをしごいた。割れた腹筋がぐぅっと盛り上がる。ウィリアムが私の頭を撫で、髪の毛を耳にかけてくれた。そんな些細な接触でさえ気持ちよくて、私のあそこがジンとする。
んん……私の身体、変になっちゃってる……?ウィリアムのこれを入れて欲しくて、この硬いものでうんとこすって欲しくて…………。

「グ………っ、あ、ぁ………っ」

私の口から引き抜かれたウィリアムのものから、ビュクビュクと勢いよく精が飛び散った。粘度の高いそれがピシャリと私の頬と胸にかかり、ゆるやかに垂れていく。放心したような顔で私を見たウィリアムは、ハッと我に返ると机に置いてあった布で顔を拭いてくれた。

「す、すまない。かけるつもりはなかったが、飲ませる訳にはいかないと思って」
「私、飲みたかったのに。どうして取りあげちゃうの?」

この前も飲ませてくれなかったのに。頬を膨らませた私を膝に抱き上げると、ウィリアムは私にキスをした。

「こんなもの、レオノアに飲ませられないよ」

頬をペロッと舐めると顔をしかめて「不味い」と言う。拭いきれていない精が残っていたのだろう。私は自分の胸元に目を落とすと、胸の谷間に残っていた精を指ですくい口に入れた。

「ん……ウィルの味ね」

美味しくはないけれど、不味くもない。不思議なその味を味わうのはこれで二回目だ。でも、二回とも私の口に入ったのはほんの少しだけ。今日こそは全部飲むつもりだったのに。残念に思っていると、人差し指を咥えたままでウィリアムと目が合い、じっと見られてようやく自分の行儀悪さに赤面した。
ぎこちなく指を口から出して手を背に隠す。指なんか咥えて、呆れられちゃったかしら。おそるおそる見上げたら、ギラついた目をしたウィリアムに鎖骨から顎までをべろりと舐められて悲鳴を上げた。

「あ、イヤっ、やめて!」
「なぜ」

短い言葉が詰問じみて聞こえて怖くなる。うなじを甘噛みして舐め上げるウィリアムに、私は涙目で訴えた。

「だって私、お湯を………」
「君は全身甘い」
「あっ!」

いつの間にか外されていたコルセットが床に落ち、剥き出しになった胸を鷲掴みにされる。その拍子に、手のひらと指で胸の尖りを押しつぶされた。

「ここが硬くなってる。この前もだったね。俺のを舐めただけで………?」

ウィリアムの手がすごく熱い。熱を持ったその指で胸を揉み、尖りをクリクリとひねる。荒い呼吸とともに耳に舌が差し込まれねぶられた。呼吸音と舌の音で全身に鳥肌が立ち、私のあそこがじわっと濡れてしまったのがわかる。

「ウィル?あ、あぁっ!」

片腕で身体を持ち上げられ、下半身を覆っていたドレスを剥ぎ取られた。そのまま長椅子へ押し倒され、あっという間に下着まで脱がされる。今私が身につけているのは、太ももまでの白いレースの靴下だけ。

「………何て綺麗なんだ………」

ひとり言のような小さな声で呟くと、閉じていた私の両ひざをぐいと真横に開いた。

「だめっ!ウィル、やめて!」
「執務室でこうやって……この姿の君を愛したいと、どれだけ俺が願っていたか」

懸命に力を入れるけれど、ウィリアムは抵抗をものともせずに上体を屈め、視線を感じてますます濡れるあそこのすぐ側まで顔を寄せる。

「ウィル、おねがい、お願い……!本当に、本当にだめなの。お湯を使ったあとなら………。だからお願い。今はやめて」
「レオノア。膝を抱えてごらん」

何を言われたのか理解できず「え……?」と問い返してしまう。ウィリアムは底光りする青い瞳で私を見据え、獲物を前にした獣のように舌なめずりをしてから繰り返した。

「両膝の裏に手を入れて、抱えるんだ」

精いっぱいの意思表示で首を横に振る。そんなことできない。だって、そんなことしたらウィルはきっと私のあそこを――。

「レオノア」

ウィリアムの声が私を従わせる。震える腕を膝の裏にまわし、膝と膝をくっつけるようにして抱きかかえた。

「もっと横に開いて。膝が肩に付くくらい持ち上げて」

頬が焼けるように熱い。だから、閉じたまぶたの下から転がり落ちた涙の跡は、たちまちのうちに乾いていった。

「…………どんどん蜜が溢れてくるよ。触る前からレオノアの可愛い芽がふくらんでる……ああ……!」
「あっ!」

ウィリアムは私の一番感じるところに吸いつき、舌で嬲った。私は抱えたままの脚をピンと伸ばし、そのまま達する。あまりの快感に、蜜壺がウィリアムを求めてぎゅうっと締まった。

「あっ、ウィル、だめ、だめぇっ!そこ舐めちゃイヤっ!」

ウィリアムは開かれている私の太ももを押さえつけ、我が物顔で蹂躙じゅうりんする。舐めてすすり、歯を立てて吸い付く。それは湯あみをした後の何倍もの執拗しつようさで、気が済んだウィリアムが身を起こした頃には、私は達しすぎてもはや脚を抱えることもできず、ぐったりと横たわっていた。

「レオニー、レオノア。可愛い……。何度もイっちゃったね?」

ウィリアムは濡れた口元を手で拭いながら、実に楽し気にそう言った。

「…………ウィル、ひどいわ。わたしがあんなに……だ、だめ、って、言ったのに」

鼻をすすりながら言うと、ウィリアムは私の頭を撫でて額と両頬に口づけた。

「レオノアが可愛すぎるから」
「もう!そんなことばっかり。お湯を使って綺麗にしてからってあんなに言ったのに、どうして止めてくれなかったの?」

ウィリアムの首に手をまわし、抱きつきながら詰る。怒っているのに、当の本人は嬉しそうだ。

「本当に可愛かった。風呂に入る前のレオノアの甘さときたら……たまらない」
「んん……もう絶対に……あっ!う、ウィル……」

私の胸を両手で揉んでいたウィリアムは、赤くなった二つの尖りをキュッと引っ張った。

「あんっ!ウィル、それ……」

気持ちいい……!背を反らし胸を突き出す。

「ふふっ。気持ちいいんだね。ここも、こっちも」
「あんんっ、あ、あっ」

ウィリアムはさわさわと肩を撫でてから、私の頭の上で両腕を伸ばすよう誘導する。そしてそこを片手で押さえると、舌で胸の先を舐め、もう片方の手で脚の間の感じるところをつまんだ。

「あ、ウィル、ウィル、ねえ、あ、あん、ウィル、お願い……!」

どんどん身体の内側に熱が溜まっていく。胸の先と、あの感じるところ。気持ちよくて仕方ないのに、まだ、まだ足りないの……!

「ウィルぅ、お願い、ウィルをちょうだい………!!」

自分から脚を開いて腰を振り、精いっぱい強請る。ウィリアムはその淫らな姿を凝視した後、ハァッと息を吐いてから、ゆっくりと私を貫いた。

「あ、あ、あぁ………」

濡れたひだでウィリアムを包み込む。それを待ちわびていた私は、あまりにも敏感になりすぎてあの硬い表面の血管まで感じとれる気がした。根本まで埋まったのと同時に、二人一緒に喘ぐ。あまりにも完璧に、完全に二人が一つになった。自分の身体がドロドロになって、ウィリアムと溶け合ってしまわないのが不思議なくらいに。

ウィリアムを見上げると、苦しそうな顔で額に汗を浮かべている。私の顔を見て、そしてまだ自分が押さえたままの私の両腕を見て――。ウィリアムは我慢が切れたように腰を使いだした。ああ、これが欲しかったの……!
届く範囲全てに口づけようと決めているのか、ウィリアムは私の顔といわず身体といわず唇で触れ、舌でなぞる。終いには上げさせたまま押さえつけている私の二の腕ばかりか、脇の下までも。

「は、あ、あ、あっ、あぁっ、ウィル、そんなところ舐めないでぇ」

ぱちゅんぱちゅんと響く濡れた音の合間に叫んだ。ああ、奥ばかり責められると……!

「ハ……っ、レオノア、君は麻薬だ……!全身甘く馨しく、存在自体が俺を狂わせる………ッ」

ようやく腕を解放したウィリアムは、今度は脚を肩に乗せ、身体を二つに折るようにして腰を打ち込む。あそこがぎゅうぎゅう締まり、頭が真っ白になった。打ち付けられる腰と同じリズムで声を上げて達する。私がイったことは分かっているはずなのに、ウィリアムはますます激しく腰を振った。

「ウィル、わたし、イったの!あ、あんんっ、ウィル、待って、待って」
「待たない。レオノア、もう一度……」

ウィリアムは手を前に回し、動きながら私の一番感じるところを指先で何度も弾いた。

「ああああーーーっ!!」

子宮の入り口をごりごりと抉られ、ウィリアムに快感の芽を弾かれ、私は再び達した。剥き出しの神経を濡れた手で握られたような過ぎた快楽に、目の前に火花が散る。ウィリアムが低く唸って精を放つのをうっすらと感じながら、私の意識は暗闇に沈んでいった。
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