私の大好きな騎士さま

ひなのさくらこ

文字の大きさ
上 下
37 / 61

37. 永遠の愛を君に①

しおりを挟む
獲物自らがその細い喉笛を差し出している。それも、食べてくれとねだりながら。知らず口の端を引き上げたウィリアムは、大きく舌を突き出して鎖骨から顎下までを舐め上げた。

「あ…………っ」

ふる……、と身体を震わせたレオノアは、それでも反らした喉を晒したままだ。繰り返し舐め上げ、ところどころ啄み、軽く歯を立てる。柔らかい肌。立ち上る髪の匂い。ウィリアムは余裕のない手つきで夜着を剥ぎ取り一糸纏わぬ姿にすると、右手を脚の付け根に滑りこませた。

「あ……!」

そこは既に濡れていた。慎ましく閉じていた花びらは、押されただけで花開き蜜をこぼした。乾いた親指の腹でどうしようもなく感じる芽を擦ると、そこはたちまちぬるぬるとした蜜にまみれとらえ難くなる。
視線を落とせば、豊かな胸の先は触れてもいないのに色づいてしこり、誘うように尖っていた。くびれたウエスト。すんなりと伸びた白く長い脚は大きく広げられ、標本の蝶を思わせる。

レオノアを形作る全てのものが――手のひらで感じるぬめりや熱までも――愛らしいと思うウィリアムだったが、同時に視界に入った、薄手の室内着を押し上げ存在を主張する雄の象徴に図らずも笑ってしまった。

この、レオノアに似つかわしくないグロテスクな屹立が、あれほどまでに彼女を啼かせ狂わせるのだ。素肌を触れ合わせたいとうなじに舌を這わせながら余計な布を脱ぎ去る。ようやく二人を隔てるものが無くなり、筋肉質の身体を柔くしなやかな裸体に密着させた。

「ああ………」

声を漏らしたのは同時だった。二人でひとつの生きもののようにかたく抱き合う。満たされる思いとは別に逸る身体は、互いの望みを察して少しずつ動き始めた。初めは上半身を揺らし、胸と胸をひたりと合わせ、ずらす。摩擦で起こる熱に甘さが混じる。胸板とは違う固さの、二人の間にある尖り。そこを舐めて吸い、舌先で転がしたいと思いながら、腰を抱き寄せていた左手を緩めた。

「あっ、ウィル……」

しとどに濡れた中へ中指を滑り込ませた。肉がうねり締め付けてくる。くっ、と息をのんだのは、期待している場所の心地よさを、指ですら十二分に感じ取ったからだ。きゅうきゅうと締め付け、指では物足りないと訴えている。今すぐにでも突き入れたいのはやまやまだが、久しぶりだから慣らす必要があるだろう。そう思うウィリアムは、しかし自分の首にしがみついていたレオノアに、そっと雄を握られて声を上げた。

「う………っ、レ、オノア……!」
「わたしにも、触らせて………」

ゆる、と濡れた肉棒を扱かれる。たちまち息が荒くなり、腰骨から指先までを電流のように快感が走った。いけない。このままでは達してしまう。のけ反って必死にこらえ、唸りながら奥歯を噛みしめた。ひと月以上の禁欲がたたったとはいえ、望みを目前にしてここで果てる訳にはいかない。慣らそうと思っていたぬかるみから指を引き抜くと、レオノアの腰を持ち上げ一気に貫いた。

「あああーーーーっ!」
「くっ………!あ……っ、だめだレオノア、そんなに、締めるな………っ!」

視界が白く染まった。は、はっ、と息を短く吐き、全身の筋肉を硬直させる。危なかった。本当に、あとほんの少しで――思わず突き上げた腰をもう一度でも動かしていたら、達してしまっていただろう。油断なく緊張を解かないまま、痙攣するレオノアの耳の後ろに鼻先をこすりつけた。淡い汗のにおいがたまらなくそそる。

初夜はちゃんと寝台の上で、と考えていたことを今更ながらに思い出した。余裕のある大人でありたいとの願いは、最初の夜から叶っていない。ガキのようにガッつき、本能のままに貪ってしまっている。このまま、孕むまで延々と交わり続けたい。理性の仮面は簡単に剥がれ落ちていた。

「この……いたずらっ子め」

うるんだ緑の瞳に焦点を合わせて詰る。すると、うっとりとした口調で返された。

「ん…もっと、さわりたかったのに」

手で握り確かめた剛直の固さを、猛りを包む濡れたひだが絞るようにして確認する。ウィリアムは全身に鳥肌を立てながら呻いた。まずい、このままでは……!

「クソっ、レオノア……っ……!」
「はぁああんん!あっ、あっ、ああーっ!」

下から突き上げながら両手でヒップを上下させる。ああ…このぬめり。傘の部分で掻き出された蜜が雄を伝い、長椅子まで滴る。上体を反らしたレオノアの巻き毛が、ウィリアムの足をさわさわとくすぐった。ヒップを引き寄せ激しく揺さぶりながら、中で感じただけで固くしこった乳首を吸い上げる。これ以上はないと思っていた蜜壷のうねりが一層強くなり、脳髄を焼く快感がまぶたの裏で弾けた。駄目だ、もうイく……っ…!

「ぅあ……っ!は……ッ、あぁ……っ!」
「んあんん……っ……ああーー……!」

一番奥まで突き刺し放出した。高い声を上げたレオノアが、両脚をウィリアムの胴に回ししがみつき、ガクンガクンと全身を波打たせた。長く大量に吐精しながら、突き上げる動きは止めない。気が遠くなる程の快楽に萎えることなく固いままの雄は、変わらず欲望を訴え続けていた。

「はー……っ、あ………。う……あ……っ」

どうにか呼吸を整え、汗に濡れた前髪越しにレオノアを見た。首の力を失くしカクンと肩にもたれかかる上気した顔から、やはり汗で張り付いていた髪を指先で払ってやる。

「ぅん…………ウィル」

目を閉じたまま、唇と吐息でふふっと笑う。

「どうした?」
「私………溶けちゃうかと思った……。こんなに素敵な気分にしてくれて、ありがとう」
「ぐ……っ。こちらこそ。とても………言葉では言い表せないほど、素敵だったよ」

辛うじて平静を装ったものの、ウィリアムを包むレオノアは絶えずうごめき、次の精を求めて吸いついている。放って敏感になった性器を刺激されながらも、耐える己の精神力をひそかに称えながら、ウィリアムは妻の頬にキスをしてから立ち上がった。もちろん、レオノアを串刺しにしたままで。

「はぁぁあぁ………っ…………!!!!」

溶ける、と言ったレオノアは身体の力が入らない状態だった。腕も脚も。支えはウィリアムの両腕と、刺さったままの昂りのみ。自重で深々と犯され、濡れた性器はこれ以上なく密着する。何度も達したことで顔を覗かせていた小さな芽は、ウィリアムの叢でぐりぐりと嬲られた。子宮口への突き上げと全く同時に与えられた快感で、力が抜けていたはずの脚はピンと伸び、息を吐きながら達する。いく、と声を発する間もなかった。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

処理中です...