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第六章
クラリスの決断
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「ねえさ……フレディ、どうかした? 何だか顔色が悪いみたいだけど」
ぼんやりしていたクラリスは、ヴィクターの言葉にハッとしてぎこちない笑みを浮かべた。
だいじょうぶ、と唇の動きだけで応える。回復期に入ったとはいえ、病後のヴィクターは疲れやすく、食事をしただけでうとうとすることが多い。今もどこかあどけない目をして、瞬きもゆっくりになっているというのに、クラリスの様子がおかしいと気遣っている。
信頼しきった瞳で自分を見つめる弟に、愛おしさが溢れてくる。柔らかな前髪を指で撫でつけながら改めて自分に誓った。この子のことだけは、絶対に護らなければならない。
――何でもないわ。……でも、そうね。少し疲れたのかもしれない。
「やっぱり? 僕の看病で疲れたんでしょう?」
「あら、それはいけませんね。ご一緒に診察を受けられてはいかがです?」
看護師まで心配そうに声をかけてくれる。クラリスは首を横にふり、ヴィクターの顔を見ながらゆっくり唇を動かした。
――今日は、早く寝むことにするわ。だから、心配しないで。
「そうしたほうがいいよ。もう僕につきっきりでなくていいんだし。そうだ! 明日はお休みにしよう。一日ゆっくり休んで、疲れを取って。ねえ、そうしよう。お願いだから」
「どうぞそうなさってくださいませ。ヴィクター様のお世話は私共にお任せください」
今度は別の看護師がそう口にする。クラリスは自分よりもいくつか年上だろうその看護師をちらりと見て、ぺこりと頭を下げた。
この看護師たちのうちの誰かが、外でヴィクターとクラリスの話をしている。「ハリントン男爵家に引き取られた二人の少年」が、プラチナブロンドの髪と紫の瞳を持っていると、どこかで誰かに喋っているのだ。
それは秘密を洩らしたという自覚もない、他愛のないお喋りだったのだろう。むしろ身寄りのない子供を引き取ったうえ、病気にかかったら手厚い看護を施しているとアレクシスの善行を褒め称えるつもりだったのかもしれない。富裕な男爵が気の毒な子供へ手を差し伸べている立派な話として。
クラリスは看護師の若々しく張りのある頬から目を逸らした。頭を撫でられて心地いいのか、ヴィクターは目を閉じてしまっている。薬を飲ませたばかりだから、そのせいもあるのかもしれない。
と、ヴィクターが一度薄目を開けてクラリスを見上げた。どきりとしたクラリスが微笑むよりも先に、弟はまたすぐ目を閉じる。しばらくじっとしていれば、今度こそ眠ってしまったようだ。すやすやと小さな寝息が聞こえてきた。色白の顔は整っていて、天使のように愛らしい。
「なんて可愛らしい寝顔でしょう。食欲も出てきましたし、もう安心ですね」
クラリスの後ろから覗き込んだ看護師が声をかける。クラリスは肩を揺らしたが、身を引くのを堪えて強張った笑みを浮かべた。青ざめた兄の顔に、看護師は心配そうな声を出す。
「本当に、フレディ様のほうがお顔の色がよくありませんわ。発疹チフスが伝染ることはないと思いますが、念のため先生の診察を受けられてはいかがでしょう」
クラリスは曖昧な笑みを浮かべた。顔色が悪い原因には心当たりがある。
身振りで部屋に戻ると伝え、クラリスは不自然ではない程度に足を速めて部屋を出た。
廊下の先にはメイドが二人いる。背を向けているが、注意を引かないよう、焦る心を押し殺してゆっくりと歩いた。緊張のせいか頭痛がする。今からそんな気の弱いことでどうするのかと自分を叱咤しながら、クラリスは一昨日ローズガーデンで会ったノエル・キーツとのやり取りを思い出した。
もう二度と会えないと思っていた護衛騎士の姿に呆然とするクラリスの隣へ、ノエルは片膝をついて薔薇に手を伸ばした。
「ああ……やはりちょうど見ごろですね」
腰に下げた袋から鋏を取り出し、パチンパチンと音をさせて花を切り取る。そして手際よく棘まで始末をした。
「どうぞ。部屋に戻ってゆっくりご覧ください」
薔薇の茎と一緒に手のひらに触れた紙の感触に、胸がドクンと鳴った。
敷地内であっても、クラリスには護衛がつけられている。今も離れた場所から二人の様子を見ているはずだ。
クラリスはサッと立ち上がり、軽く頭を下げて背を向けた。振り返りたい思いと、一刻も早く手の中のメモを読みたい気持ちが交錯する。我慢できずに空を見上げるふりをして後ろを見ると、ノエルはまだそこにじっと立ってクラリスを見送っていた。
もう決意したはずなのに、思い返すうちにクラリスの心はまたグラグラと揺れ始めた。
――本当に、黙っていていいの? こんなにお世話になったのに。……やっぱり、アレクシス様にだけは言っておいたほうが……
「フレディ?」
飛び上がるくらい驚いて、恐る恐る振り向いた。そこにいたのは予想どおり、クラリスが心に思い描いていた人だ。
アレクシスは僅かに眉根を寄せてこちらを見ている。ライトブルーの上着にベージュのトラウザーズ、純白のクラヴァットはいつもどおり形よく結ばれ、ヘシアンブーツは下ろしたてのようにぴかぴかだ。上着よりも色味の濃いベストのポケットからは金のチェーンが覗き、言うまでもないことだが衣装の仕立ては完璧で、彼は相変わらず、いとも簡単にクラリスの視線を奪ってしまうほどエレガントで素敵だった。
「どこにいくんだ? 散歩の時間じゃないだろう。部屋に戻るのか?」
クラリスは唇を噛んでうつむいた。これ以上アレクシスを見ていたくなかった。
「――どうした。何かあったのか」
指先で頤を持ち上げられる。目を伏せていたクラリスは、心の準備をしてから瞼を持ち上げた。深い青が自分を見つめていて、性懲りもなく胸がぎゅっと苦しくなる。
「顔色があまりよくないな。食事はきちんと摂っているのか? そろそろ夜間の付き添いも不要になってきたようだし、今日は久しぶりに一緒に食事をしよう」
その誘いを、クラリスは首を振って断った。目が潤んでくるのを感じて瞬きを繰り返す。
精いっぱい平静を装うクラリスを見下ろしていたアレクシスは、ふ、と口元だけで笑った。何が可笑しいのだろう。些かムッとしていると、アレクシスは顎を持ち上げた手の親指でクラリスの頬をくすぐった。
「いや、君の瞳は本当に――菫のようだな。可憐で、美しい」
ぽかんとしていたクラリスは、一瞬遅れてボッと顔を赤くした。それを見たアレクシスは楽しそうに笑っている。
酷い。こんな風だから、ますます好きになってしまうのだ。
クラリスは後ろに下がってアレクシスの手から逃れ、焦りながら手帳を取り出した。
「――今夜は早く寝むので、食事は要らない。疲れが溜まっているから、明日は付き添いを休むことにしたと。体調が悪いのか?」
アレクシスの大きな手の温度を思い出しながら、手帳に文字を書いていく。もう二度と彼の手に触れずに済むよう、クラリスは手帳を手放さないようにしていた。
「……そうか。分かった。無理はするなよ。具合が悪くなったらすぐに使用人を呼ぶんだ」
こくりと頷く。もっと根掘り葉掘り尋ねられるかと思って身構えていたのだが、あっさりと納得してもらえて安堵した。
「フレディ」
ホッとしながら踵を返したクラリスを、アレクシスが呼びとめた。
「俺に――何か、話したいことはないのか」
不思議な問いだった。アレクシスはいつものように優しく、気遣うようにクラリスを見つめていたが、その口調はどこか謎めいていて、まるで自分のほうに話したいことがあるようだ。
だが、自分でも説明しきれないことに、クラリスの迷いを振り切ったのはまさにその問いだった。
クラリスは真っすぐにアレクシスを見返し、きっぱりと首を振る。もう迷いはなかった。
「…………そうか」
低い声で応えたアレクシスに頭を下げ、クラリスは背を向けた。涙が出るのではと恐れていたが、紫の瞳は乾いている。クラリスはきっと顔を上げ、部屋へと急いだ。恩知らずだと思われていい。弟を捨てた酷い人間だと思われても構わない。呆れられ、軽蔑され……忘れられてしまえばいいのだ。
私は今日、ウィンズロウ・ハウスを出ていく。たった一人で。
ぼんやりしていたクラリスは、ヴィクターの言葉にハッとしてぎこちない笑みを浮かべた。
だいじょうぶ、と唇の動きだけで応える。回復期に入ったとはいえ、病後のヴィクターは疲れやすく、食事をしただけでうとうとすることが多い。今もどこかあどけない目をして、瞬きもゆっくりになっているというのに、クラリスの様子がおかしいと気遣っている。
信頼しきった瞳で自分を見つめる弟に、愛おしさが溢れてくる。柔らかな前髪を指で撫でつけながら改めて自分に誓った。この子のことだけは、絶対に護らなければならない。
――何でもないわ。……でも、そうね。少し疲れたのかもしれない。
「やっぱり? 僕の看病で疲れたんでしょう?」
「あら、それはいけませんね。ご一緒に診察を受けられてはいかがです?」
看護師まで心配そうに声をかけてくれる。クラリスは首を横にふり、ヴィクターの顔を見ながらゆっくり唇を動かした。
――今日は、早く寝むことにするわ。だから、心配しないで。
「そうしたほうがいいよ。もう僕につきっきりでなくていいんだし。そうだ! 明日はお休みにしよう。一日ゆっくり休んで、疲れを取って。ねえ、そうしよう。お願いだから」
「どうぞそうなさってくださいませ。ヴィクター様のお世話は私共にお任せください」
今度は別の看護師がそう口にする。クラリスは自分よりもいくつか年上だろうその看護師をちらりと見て、ぺこりと頭を下げた。
この看護師たちのうちの誰かが、外でヴィクターとクラリスの話をしている。「ハリントン男爵家に引き取られた二人の少年」が、プラチナブロンドの髪と紫の瞳を持っていると、どこかで誰かに喋っているのだ。
それは秘密を洩らしたという自覚もない、他愛のないお喋りだったのだろう。むしろ身寄りのない子供を引き取ったうえ、病気にかかったら手厚い看護を施しているとアレクシスの善行を褒め称えるつもりだったのかもしれない。富裕な男爵が気の毒な子供へ手を差し伸べている立派な話として。
クラリスは看護師の若々しく張りのある頬から目を逸らした。頭を撫でられて心地いいのか、ヴィクターは目を閉じてしまっている。薬を飲ませたばかりだから、そのせいもあるのかもしれない。
と、ヴィクターが一度薄目を開けてクラリスを見上げた。どきりとしたクラリスが微笑むよりも先に、弟はまたすぐ目を閉じる。しばらくじっとしていれば、今度こそ眠ってしまったようだ。すやすやと小さな寝息が聞こえてきた。色白の顔は整っていて、天使のように愛らしい。
「なんて可愛らしい寝顔でしょう。食欲も出てきましたし、もう安心ですね」
クラリスの後ろから覗き込んだ看護師が声をかける。クラリスは肩を揺らしたが、身を引くのを堪えて強張った笑みを浮かべた。青ざめた兄の顔に、看護師は心配そうな声を出す。
「本当に、フレディ様のほうがお顔の色がよくありませんわ。発疹チフスが伝染ることはないと思いますが、念のため先生の診察を受けられてはいかがでしょう」
クラリスは曖昧な笑みを浮かべた。顔色が悪い原因には心当たりがある。
身振りで部屋に戻ると伝え、クラリスは不自然ではない程度に足を速めて部屋を出た。
廊下の先にはメイドが二人いる。背を向けているが、注意を引かないよう、焦る心を押し殺してゆっくりと歩いた。緊張のせいか頭痛がする。今からそんな気の弱いことでどうするのかと自分を叱咤しながら、クラリスは一昨日ローズガーデンで会ったノエル・キーツとのやり取りを思い出した。
もう二度と会えないと思っていた護衛騎士の姿に呆然とするクラリスの隣へ、ノエルは片膝をついて薔薇に手を伸ばした。
「ああ……やはりちょうど見ごろですね」
腰に下げた袋から鋏を取り出し、パチンパチンと音をさせて花を切り取る。そして手際よく棘まで始末をした。
「どうぞ。部屋に戻ってゆっくりご覧ください」
薔薇の茎と一緒に手のひらに触れた紙の感触に、胸がドクンと鳴った。
敷地内であっても、クラリスには護衛がつけられている。今も離れた場所から二人の様子を見ているはずだ。
クラリスはサッと立ち上がり、軽く頭を下げて背を向けた。振り返りたい思いと、一刻も早く手の中のメモを読みたい気持ちが交錯する。我慢できずに空を見上げるふりをして後ろを見ると、ノエルはまだそこにじっと立ってクラリスを見送っていた。
もう決意したはずなのに、思い返すうちにクラリスの心はまたグラグラと揺れ始めた。
――本当に、黙っていていいの? こんなにお世話になったのに。……やっぱり、アレクシス様にだけは言っておいたほうが……
「フレディ?」
飛び上がるくらい驚いて、恐る恐る振り向いた。そこにいたのは予想どおり、クラリスが心に思い描いていた人だ。
アレクシスは僅かに眉根を寄せてこちらを見ている。ライトブルーの上着にベージュのトラウザーズ、純白のクラヴァットはいつもどおり形よく結ばれ、ヘシアンブーツは下ろしたてのようにぴかぴかだ。上着よりも色味の濃いベストのポケットからは金のチェーンが覗き、言うまでもないことだが衣装の仕立ては完璧で、彼は相変わらず、いとも簡単にクラリスの視線を奪ってしまうほどエレガントで素敵だった。
「どこにいくんだ? 散歩の時間じゃないだろう。部屋に戻るのか?」
クラリスは唇を噛んでうつむいた。これ以上アレクシスを見ていたくなかった。
「――どうした。何かあったのか」
指先で頤を持ち上げられる。目を伏せていたクラリスは、心の準備をしてから瞼を持ち上げた。深い青が自分を見つめていて、性懲りもなく胸がぎゅっと苦しくなる。
「顔色があまりよくないな。食事はきちんと摂っているのか? そろそろ夜間の付き添いも不要になってきたようだし、今日は久しぶりに一緒に食事をしよう」
その誘いを、クラリスは首を振って断った。目が潤んでくるのを感じて瞬きを繰り返す。
精いっぱい平静を装うクラリスを見下ろしていたアレクシスは、ふ、と口元だけで笑った。何が可笑しいのだろう。些かムッとしていると、アレクシスは顎を持ち上げた手の親指でクラリスの頬をくすぐった。
「いや、君の瞳は本当に――菫のようだな。可憐で、美しい」
ぽかんとしていたクラリスは、一瞬遅れてボッと顔を赤くした。それを見たアレクシスは楽しそうに笑っている。
酷い。こんな風だから、ますます好きになってしまうのだ。
クラリスは後ろに下がってアレクシスの手から逃れ、焦りながら手帳を取り出した。
「――今夜は早く寝むので、食事は要らない。疲れが溜まっているから、明日は付き添いを休むことにしたと。体調が悪いのか?」
アレクシスの大きな手の温度を思い出しながら、手帳に文字を書いていく。もう二度と彼の手に触れずに済むよう、クラリスは手帳を手放さないようにしていた。
「……そうか。分かった。無理はするなよ。具合が悪くなったらすぐに使用人を呼ぶんだ」
こくりと頷く。もっと根掘り葉掘り尋ねられるかと思って身構えていたのだが、あっさりと納得してもらえて安堵した。
「フレディ」
ホッとしながら踵を返したクラリスを、アレクシスが呼びとめた。
「俺に――何か、話したいことはないのか」
不思議な問いだった。アレクシスはいつものように優しく、気遣うようにクラリスを見つめていたが、その口調はどこか謎めいていて、まるで自分のほうに話したいことがあるようだ。
だが、自分でも説明しきれないことに、クラリスの迷いを振り切ったのはまさにその問いだった。
クラリスは真っすぐにアレクシスを見返し、きっぱりと首を振る。もう迷いはなかった。
「…………そうか」
低い声で応えたアレクシスに頭を下げ、クラリスは背を向けた。涙が出るのではと恐れていたが、紫の瞳は乾いている。クラリスはきっと顔を上げ、部屋へと急いだ。恩知らずだと思われていい。弟を捨てた酷い人間だと思われても構わない。呆れられ、軽蔑され……忘れられてしまえばいいのだ。
私は今日、ウィンズロウ・ハウスを出ていく。たった一人で。
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