日本史

鹿鳴館時代（1883年-1889年）

鹿鳴館時代（1883年-1889年）

概要

鹿鳴館時代（ろくめいかんじだい）は、明治時代初期の1883年から1889年までの約6年間を指す時代区分です。東京に建設された西洋式社交場「鹿鳴館」を中心とした外交政策「鹿鳴館外交」が盛んに行われた時期であり、欧化主義が強まった明治10年代後半を象徴する言葉として使われます。

背景

明治維新（1868年）を経て、近代国家建設を目指した日本は、政治制度や経済体制だけでなく、文化や社会面においても急速な西洋化を進めていました。欧米列強に伍して国際社会の一員となるためには、外交面での躍進も不可欠と考えられていたのです。

鹿鳴館

1883年、外務卿・井上馨の主導により、東京・赤坂に西洋式社交場「鹿鳴館」が建設されました。鹿鳴館は、欧米諸国の外交官や皇族、華族、政財界人などを招いて舞踏会や音楽会を開催する場として利用され、華やかな社交の場として人気を集めました。

鹿鳴館外交

鹿鳴館は、単なる社交場にとどまらず、欧米列強との外交交渉の場としても重要な役割を果たしました。井上馨をはじめとする政府高官たちは、鹿鳴館での舞踏会や晩餐会を通じて、欧米外交官たちと親睦を深め、外交関係の強化を図りました。

欧化主義

鹿鳴館時代は、欧化主義が強まった時代としても知られています。欧米列強の文化や制度を模倣し、日本を近代国家へと脱皮させようとする思想が盛んになりました。服装や髪型、食事のマナーなど、生活習慣の西洋化も進みました。

批判

鹿鳴館外交や欧化主義は、一部の知識人や庶民から批判を受けることもありました。華美な社交にばかり注力する政府を批判したり、欧米文化への盲目的な崇拝を戒める声もありました。

評価

鹿鳴館時代は、日本が国際社会の一員として認められるための重要な役割を果たしました。欧米列強との外交関係を強化し、近代国家としての基盤を築いたという評価があります。一方で、欧米文化への偏重や国民との乖離といった問題も指摘されています。

鹿鳴館時代に関する主な出来事

1883年：鹿鳴館建設
1885年：第一回鹿鳴館舞踏会開催
1887年：伊藤博文外相、欧州諸国歴訪
1889年：鹿鳴館閉鎖
鹿鳴館時代の人物

井上馨：外務卿、鹿鳴館外交の推進者
伊藤博文：外相、欧州諸国歴訪
森有礼：駐米公使、鹿鳴館舞踏会参加
岩倉具視：元老、欧化主義の推進者
鹿鳴館時代に関する作品

小説：森鷗外「舞姫」
映画：成瀬巳喜男「鹿鳴館」
まとめ

鹿鳴館時代は、日本が近代国家へと歩みを進める過程において、重要な役割を果たした時代です。欧米列強との外交関係を強化し、近代国家としての基盤を築いた一方で、欧米文化への偏重や国民との乖離といった問題も露呈しました。鹿鳴館時代を理解することは、近代日本の歩みを理解する上で不可欠です。