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第六章 江戸時代

与謝蕪村(よさ ぶそん)

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与謝蕪村(よさ ぶそん)
与謝蕪村(よさ ぶそん、1716年 - 1783年)は、江戸時代中期の俳人、画家。松尾芭蕉、小林一茶と並び称される俳諧の巨匠として知られています。写生に基づいた繊細な描写と、抒情的な情感あふれる表現で、俳句に新たな境地を開いた人物として評価されています。

生涯

蕪村は1716年、摂津国(現在の大阪府)東成郡毛馬村(現在の大阪市東淀川区)に生まれました。幼名は信章。家は農家でしたが、幼い頃から絵画や文学に興味を持ち、医師を目指して医学を学んだと言われています。しかし、後に絵画や俳諧に専念するため、医学の道は諦めました。

20歳頃、江戸に出て早野巴人に師事し、俳諧を学び始めます。その後、京都に移住し、俳諧の修行に励む傍ら、絵画の才能も開花させました。池大雅に師事して南画を学び、独自の画風を確立しました。

蕪村の俳句は、写生に基づいた繊細な描写と、抒情的な情感あふれる表現が特徴です。自然の美しさや人の心の奥底にある感情を、巧みな言葉遣いで表現しました。また、俳諧の伝統的な形式にとらわれず、自由な発想で新しい表現に挑戦しました。

蕪村は、生前に多くの俳句作品を残しました。代表的な句集には、「夏草や兵どもが夢の跡」、「桃李不言」、「五百句」などがあります。また、絵画作品も数多く残っており、その繊細な画風は現在も高く評価されています。

蕪村は1783年、67歳で京都にて生涯を終えました。その死後もその名声は衰えることなく、江戸時代における最も重要な俳人、画家の一人として称賛されています。

作品

蕪村の作品は、俳句と絵画の両方において高い評価を得ています。

俳句

「夏草や兵どもが夢の跡」
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
「行く春や鳥啼き魚の目は涙」
「古池や蛙飛び込む水の音」
「奥の細道や date ni kure yuku Yuki no furu」
これらの句は、いずれも蕪村の代表作として名高く、その深遠な意味合いと美しい言葉遣いで多くの人々を魅了し続けています。

絵画

「四季山川図巻」
「遊鯉図」
「夏景真山水図」
「五百羅漢図」
「布袋図」
これらの作品は、蕪村の繊細な画風と豊かな表現力を見事に体現しており、江戸時代における南画の代表作として高く評価されています。

影響

蕪村は、俳句と絵画の両方において、その後の世代に大きな影響を与えました。

俳句

蕪村の写生に基づいた繊細な描写と、抒情的な情感あふれる表現は、その後の俳人たちに大きな影響を与えました。小林一茶、森川許六、山口素堂など、多くの俳人が蕪村の影響を受けたとされています。

絵画

蕪村の南画は、その後の日本の絵画に大きな影響を与えました。池大雅、酒井抱一、田能村竹村など、多くの画家が蕪村の影響を受けたとされています。

蕪村は、江戸時代における文化史において重要な役割を果たした人物であり、その作品は今もなお多くの人々に愛されています。

蕪村についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の資料や書籍を参考にしてください。

与謝蕪村記念館(京都市左京区)
与謝蕪村研究会
与謝蕪村全集(岩波書店)
与謝蕪村の作品

夏草や兵どもが夢の跡
桃李不言
五百句
四季山川図巻
遊鯉図
夏景真山水図
五百羅漢図
布袋図
与謝蕪村に関する書籍

『与謝蕪村』(尾崎秀樹著、岩波新書)
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