へたれゲーマーだということを証明します

80,994,779 G

80,994,779 G

「へたれゲーマーみるくの所持金」

みるくは、自称「へたれゲーマー」である。しかし、その一方で彼女の所持金は驚くべき額に達していた。ゲーム内通貨、なんと80,994,779 G。普通ならこの額を見たら、多くのプレイヤーが「すごい」「尊敬する」と言うだろう。だが、みるくには特に気持ちの高ぶりはない。ゲーム内の通貨は彼女のプレイスタイルに必要不可欠な存在であるが、それが自分の実力やセンスを示すものだとは思っていなかったからだ。

「所持金が多いからって強いわけじゃないんだよなぁ…」

みるくはつぶやきながら、またひとつのゲームにログインした。彼女のゲームスタイルはまさに「へたれ」で、戦闘に出るとすぐに敵にやられてしまうことが多い。そんな彼女にとって、貯め込んだゴールドは、たとえ負けてもすぐに装備を買い替えられる安心材料でしかなかった。

この日も、みるくは友達から誘われたレイドバトルに挑むことにした。普段ならひとりでひっそりと遊ぶ彼女だが、友人からの誘いには弱い。「まあ、失敗してもお金はあるし、なんとかなるか…」そんな気持ちで、みるくは仲間のもとへ向かった。

レイドバトルが始まると、案の定みるくは序盤で戦線から外れてしまった。他のプレイヤーがどんどん前線で活躍する中、みるくは端っこで回復ポーションを使い、こっそり自分のHPを回復していた。

「みるく、大丈夫か？」仲間のひとり、アキラが声をかけてきた。彼は、みるくがへたれだと知りつつも、いつも優しく声をかけてくれる親友だった。

「ごめん、またやられちゃった。でも、回復薬がまだいっぱいあるから、大丈夫！」

その言葉に、アキラは苦笑した。「お前、ほんとに所持金だけはあるよな。そのゴールド、少し俺にも分けてくれよ。」

みるくは、笑いながら「やだよ、自分で稼ぎなよ！」と返した。実は、彼女がここまでの大金を得たのは、一つの特殊なスキルが影響しているのだった。

みるくのスキル「エコノミー・アドバイザー」は、戦闘が苦手な彼女にぴったりの能力だった。このスキルは、モンスターを倒さずとも、ゲーム内で時間を過ごすだけで少しずつゴールドが増えていくという不思議なもので、彼女は毎日ログインするだけで、大金を得ていた。戦闘力が低くても、ゴールドを稼ぐ能力に関してはトップクラスだったのだ。

しかし、その日のレイドバトルで事件が起きた。ボスが最後の一撃を放ったとき、アキラが操作ミスで戦闘不能になってしまったのだ。みるくは焦り、手元にある回復薬や装備を必死に使いながら、どうにか最後まで戦い続けた。

「やっぱり、アキラみたいな頼れる友人がいないと、私なんて…」彼女は、戦闘が苦手でも友人と一緒にプレイする楽しさを再確認し、心の中で決意した。「よし、次は私が役に立てるように、少しずつでも戦闘スキルを磨いていこう。」

レイドバトルの報酬を手にしたみるくは、ふと銀行残高を確認した。80,994,779 Gと表示された数字を見て、彼女は少しだけ微笑んだ。

なかなか、1億の壁を越えられないね。