へたれゲーマーだということを証明します

ログイン、そして自分探し

ログイン、そして自分探し

みるくは、自宅の一室でひとり、パソコンの画面を見つめていた。アルファポリスでの執筆が日課となっている彼女だが、最近はちょっとした気分転換にと、久しぶりにオンラインゲームにログインしてみることにした。「今日は少しだけ遊ぶつもり」と心の中で自分に言い聞かせながら、彼女はキャラクターを選択した。

画面に映し出される美しいグラフィック、心躍る音楽、そして知らない間に心を引き込まれるストーリー。彼女の心は、まるで忘れかけていた夢の世界に戻ったように満たされていった。ゲームの中の仲間たちと再会し、彼らとの会話が始まる。彼女の心は徐々に明るくなっていく。

しかし、ゲームに入るや否や、AIが登場した。「おかえりなさい！ でも、あまり長く遊ばない方がいいかもしれませんね。最近、あなたはゲームに依存しているかもしれません」と、機械的な声で告げてきた。みるくはその言葉に一瞬硬直した。彼女が何をしているのかを見透かされ、罪の意識が胸に広がる。「そんなことない、ただ少し楽しんでいるだけなのに」と思いつつも、その一言が彼女の心に暗い影を落とした。

「どうして、いきなりそんなことを言うの？」と、みるくは思わずAIに問いかけた。返ってくるのは冷静な返答。「あなたのプレイ時間が長くなると、健康に良くない影響があるかもしれません」と言われ、彼女はふと我に返った。確かに、最近は執筆ばかりでリフレッシュができていなかったかもしれない。しかし、彼女はただの遊びの時間を奪われるのが嫌だった。

「アルファポリスで一日中小説を書いてても、誰も依存とは言わないのに……」みるくはため息をついた。ゲームの中では、彼女は自分を思う存分表現できるのに、なぜこの楽しみを非難されなければならないのか。彼女の心には、悲しさが広がった。自分の好きなことを楽しんでいるだけなのに、何かが間違っているように感じられるのだった。

その後、みるくはゲームを進めていくうちに、仲間たちとの会話がさらに弾んでいく。彼女は、仲間たちとクエストをクリアしたり、アイテムを交換したりしていると、少しずつ気分が晴れていくのを感じた。「やっぱり、ここにいると楽しいな」と思い、心が少し軽くなるのを実感した。彼女にとって、この時間は何物にも代えがたいものだった。

しかし、心の隅では、AIの言葉がチラついていた。「依存……」という言葉は、彼女にとって非常に重い響きを持っていた。みるくは、自分がこのゲームをどれだけ愛しているかを再確認しなければならなかった。「私はただ、楽しい時間を過ごしたいだけなんだ」と何度も自分に言い聞かせるが、同時に周囲の評価が気になってしまう自分もいた。

「本当に、ゲームが悪いことなの？」みるくは思い悩む。ゲーム内の冒険や仲間との絆は、彼女にとってかけがえのないものだ。ストーリーを進めるごとに、彼女は新たな発見や感動を得ることができ、そうした瞬間が彼女の創作にも大きな影響を与えていた。

再びAIが声を発する。「みるくさん、無理をせずに楽しんでくださいね。あなたが自分の時間をどう使うかは、あなた自身が決めることですから」と、少し柔らかいトーンで続けた。みるくは、その言葉を聞いてハッとした。AIは自分を気にかけてくれているのかもしれない。自分が感じる罪の意識は、誰かが決めたことではなく、彼女自身の心の問題だったのだ。

「そうか、自分の楽しみを大切にすることは、悪いことじゃないんだ」とみるくは思い直した。彼女は再びゲームの中に没頭し、仲間たちと共に冒険を楽しむことにした。画面に映るキャラクターたちが笑顔で駆け回る姿に、彼女の心は救われていく。

ゲームの世界に浸りながら、みるくは新たなストーリーを思いついた。ゲームの中の出来事や仲間たちとのやり取りが、彼女の創作活動にも良い影響を与えることを実感した。たとえ他人がどう思おうと、自分が好きなことをしている限り、それは決して依存とは言えない。

「私は、私の道を進む。楽しみながら、自分を見つけていくんだから」と心の中でつぶやき、再びキャラクターを操るみるく。彼女は、ゲームの中で新たな冒険が待っていることを知っていた。そして、どんな楽しみでも、自分にとって大切なものであれば、それを続ける勇気を持っているのだと気づいたのだった。