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みるくの選択

みるくの選択

みるくは、目の前に広がる小説の原稿に目を凝らしていた。ページには、自らが創り出したキャラクターたちが活き活きと動き回り、物語が紡がれている。彼女はその世界に没入することが好きだったが、最近は少しだけ息苦しさを感じていた。オンラインゲームの世界が彼女を呼んでいるような気がするが、なかなかその気力が湧いてこなかった。

「今日は少しだけでも遊んでみようかな…」そう思いながらも、手は原稿を打ち続ける。「でも、これが終わったら…」

彼女はいつも、自分の創作活動を優先してしまう。ゲームも大好きだったが、物語を描く喜びが勝ってしまうのだ。そんな中、彼女のスマートフォンが鳴った。友達のリョウからのメッセージだった。

『みるく、今日のギルド戦参加しない？みんな待ってるよ！』

そのメッセージを見て、彼女は少し心が揺れた。オンラインゲームの仲間たちと過ごす時間は楽しい。しかし、今は自分の物語を仕上げることに集中したい気持ちが強かった。

「どうしよう…」みるくは思い悩む。ゲームをすることで得られる楽しさと、物語を作り上げる喜びの間で揺れていた。彼女の心には、どちらも大切だという気持ちがあった。

少しの間、迷っていたが、やがて彼女は立ち上がった。自分の部屋の窓を開け、外の風を感じる。「時には、心のリフレッシュが必要だよね。」

みるくはゲームのパソコンを起動し、ログインした。画面に広がる幻想的な世界は、彼女を優しく迎えてくれた。仲間たちのキャラクターが楽しそうに動き回り、チャットの音が心地よく響く。

「みるく、待ってたよ！」リョウの声が画面越しに聞こえた。彼の明るい声に、みるくは心が和む。「久しぶりだね、みんなで冒険するのは楽しいよ！」

彼女はその言葉に励まされ、仲間と一緒にダンジョンに挑むことにした。友達と共に冒険するのは、孤独感を忘れさせてくれる。彼女はいつの間にか、心の中のモヤモヤが晴れていくのを感じた。

ダンジョンの中での冒険は、予想以上にエキサイティングだった。みるくは、自分のキャラクターが仲間と共に戦う姿に没頭し、いつしか笑顔が溢れ出ていた。「やっぱり、みんなと一緒はいいな！」彼女は心からそう思った。

敵を倒す度に、仲間たちとの絆が深まっていく。協力して困難を乗り越えることで、みるくは改めて仲間の大切さを実感した。彼女は、創作活動ばかりではなく、こうした時間も大事だと気づく。

「お疲れ様！今日も楽しかったね！」冒険が終わり、みんながチャットで感想を交わす中、みるくは笑顔を浮かべていた。「また明日も遊ぼう！」

その瞬間、みるくは心の中で新たな決意を固めた。物語を作ることも大切だけれど、友達との時間も同じくらい大切だ。彼女は、両方を大事にすることができると気づいたのだ。

「今度は、物語の中にもゲームの楽しさを取り入れよう！」みるくは心の中でアイデアを巡らせながら、自分のデスクに戻った。今までとは違う視点で物語を書くことで、きっと新しい作品が生まれるはずだった。

そうして、彼女は再びキーボードに向かい、物語を描き始めた。ゲームでの経験や仲間たちとの冒険が、彼女の創作に新しい風を吹き込んでいた。みるくは、自分自身の選択に満足しながら、創作と友情の両立を楽しむことができるようになっていた。

この日をきっかけに、彼女は新たな物語を作り続ける。そして、友達との楽しい時間も忘れずに、大切にしていくことを決意したのだった。彼女の心には、確かなバランスが生まれていた。