へたれゲーマーだということを証明します

黒き羊

黒き羊

小さな村のはずれにある古びた教会。その中で、一人の神官が静かに祈りを捧げていた。彼の名はミルク。聖職者として表向きは村の人々に敬われていたが、その本性は誰も知らなかった。ミルクは悪魔に魂を売り、邪悪な力を手に入れていた。そして、金銭欲に取り憑かれた彼は、表向きの神聖な顔の裏で巧妙な金策を行っていた。

ミルクはかつて、純粋な心で神に仕えていた。だが、貧しい生活が続く中、彼は次第に欲望に飲み込まれていった。村人たちが彼を頼り、捧げ物を持ち寄るたびに、その量が少ないことに苛立ちを感じ始めた。

「神に祈ることなど、金にはならない…」

そう呟いた夜、彼の前に一匹の黒い猫が現れた。その猫は異様に輝く目をしており、じっとミルクを見つめていた。

「お前は、もっと大きな力を手に入れたいのだろう？」猫が口を開いた時、ミルクは驚きつつもその言葉に心を奪われた。

「誰だ、お前は…？」

「私はただの使いだ。お前に力を与えるものからのな。だが、力には代償が伴う。お前が欲しいのは金だろう？私はその手助けをしよう。ただし、誓いを立ててもらう。」

猫は鋭い爪を光らせながら、にやりと笑った。

悪魔との契約
その夜、ミルクは迷わなかった。貧しさに耐えきれず、彼は猫の言うままに、契約を交わした。それは悪魔との契約だった。契約を交わした瞬間、ミルクの体に黒い煙が巻き付き、彼の魂の一部が悪魔の手に渡ったことを感じた。だが、同時に新たな力が彼の中に湧き上がってくるのも確かだった。

「これで、お前の望みは叶えられるだろう。お前は金を集める術を手に入れたのだ。」

ミルクの目が冷たく輝き、口元には満足げな笑みが浮かんだ。彼は今や、悪魔の神官として、新たな人生を歩み始めた。

金策の始まり
次の日から、ミルクは村人たちに新しい教えを広め始めた。彼は「祈りを捧げれば、豊かな生活が約束される」と言い、村人たちにより多くの捧げ物を要求した。人々は最初こそ疑念を抱いたが、ミルクが見せる不思議な力に魅了され、次第に従うようになった。

しかし、ミルクの金策はそれだけでは終わらなかった。彼は夜ごとに村を出て、別の手段で金を稼いでいた。ミルクは悪魔の力を借りて、他の村や町を訪れ、人々の財産を盗むことを始めた。彼は影のように忍び込み、誰にも気づかれることなく金品を持ち去った。

その力は驚異的だった。悪魔の力を使えば、どんなに厳重に守られた家でも、ミルクは容易に侵入できた。そして、盗んだ金を自分の教会に隠し、村には「神の恵み」と称して配ることで、ますます人々の信頼を得た。

「神官様のおかげで、我々は恵まれた生活ができる！」

村人たちは感謝し、さらに多くの金や品物を彼に捧げるようになった。

盗みの代償
しかし、ミルクの心には次第に恐怖が芽生え始めていた。悪魔との契約により、彼の体は徐々に変わり始めていたのだ。鏡を見ると、自分の目がどこか冷たく鋭くなり、指先も少しずつ爪が長くなっていることに気づいた。彼は、これが悪魔の力の代償であることを理解していた。

「まだ、引き返せるのだろうか…？」

だが、金を集める喜びは、彼の理性を失わせていた。ミルクは盗みを続け、さらなる力を求めて悪魔に祈りを捧げた。しかし、夜ごとに夢に現れる黒い猫の目は、次第に彼を不安にさせた。

「力を得ることはできるが、代償は大きいぞ、ミルクよ。」

悪魔のささやきは、彼の心をかき乱し続けた。

罠
そんなある日、ミルクは隣村の大富豪の家に目をつけた。その家には莫大な財産があると噂されており、ミルクはそれを狙って盗みに入った。悪魔の力を使えば、どんな屋敷も難なく突破できると高をくくっていた。

だが、その家にはミルクの想像を超える罠が仕掛けられていた。彼が侵入した瞬間、家中の灯りが一斉につき、数人の兵士たちが彼を待ち構えていたのだ。

「捕らえろ！こいつが村中の財産を奪っていた神官だ！」

ミルクは逃げようとしたが、悪魔の力で得た肉体はすでに限界を迎えていた。体は重く、力も弱まっていた。兵士たちは彼をあっという間に取り押さえた。

最後の選択
牢に入れられたミルクは、壁にかかった鏡に自分の姿を見て愕然とした。そこに映っていたのは、もはや人間ではなかった。彼の顔はやつれ、目は鋭い光を放ち、手には鋭い爪が伸びていた。

「お前の代償がやってきたのだ、ミルクよ。」

悪魔の声が耳元に響いた。

「お前が望んだ金は手に入れたが、失ったものはそれ以上に大きい。最後に選ぶのだ、自らの命を差し出すか、それともさらなる深い闇へ堕ちるか…」

ミルクは震えながら答えた。「私は…もうすべてを失った。」

その瞬間、彼の体は黒い煙に包まれ、姿を消した。彼がどこへ行ったのかは誰も知らない。だが、村人たちはその後も、彼が夜の闇に紛れて金を求め続けているという噂を語り継いだ。

神に仕えるはずだったミルクの魂は、金に取り憑かれ、ついに悪魔の手に堕ちてしまった。彼の名前は、やがて「悪魔の神官」として恐れられるようになった。